「UI設計は、どう書類に落とし込めば“伝わる”のか?」
「UI設計が得意」とは言っても、それをレジュメやポートフォリオにどう表現するかとなると、急に手が止まる——これは、僕自身が海外転職の準備をする中で、何度も直面した壁だった。
なぜならUI設計の仕事は、目に見える画面そのものだけでなく、
- 背後にある「なぜそう設計したのか?」という意図
- ユーザー行動やユースケースを読み取った上での構造設計
- 開発チームやステークホルダーとの調整・合意のプロセス
といった**“不可視の価値”**が非常に大きいからだ。
だが、履歴書や職務経歴書、ましてや英語のポートフォリオとなると、この「プロセスや設計意図」がごっそり抜け落ちてしまう。
画面キャプチャだけ載せても、「で、これの何がすごいの?」とスルーされる。
逆に、細かいUI要素やコード構成ばかり説明しても、「設計者としての戦略性」が見えてこない。
特にWPFで設計してきた僕たちは、MVVMパターンやデータバインディングといった技術的工夫を当たり前にしているが、それを英語で“設計力”として翻訳するには、一段上の視点が必要になる。
つまり、
「What I built(何を作ったか)」ではなく、
「Why I built it that way(なぜその設計にしたか)」を語れるかどうか——ここが評価の分かれ目だ。
たとえば、単に「レスポンシブ対応をしたUI」と書くのではなく、
「ユーザーの95%がラップトップとタブレットを併用していたため、各フォームを解像度別に設計・検証し、コンポーネントを再利用可能な構成で整備した」
と表現する。
この違いが、採用担当者にとって「この人は“設計意図”を持って動けるエンジニアだ」と映るか、それとも「なんとなくWPF使ってた人」に留まるかを分ける。
次回は、この“翻訳術”をどう書類に落とし込むかを、実例とともに深掘りしていきます。
“設計力”を言語化する:英語レジュメ&ポートフォリオの書き方テンプレ
WPFエンジニアとしてUI設計に関わってきた人にとって、最大の課題は「その設計がなぜ価値あるのか」を非技術者にも通じる英語で表現することです。
以下は、僕自身が実践してきたフレームワークとテンプレートです。
✅ 英語職務経歴書でのUI設計スキルの表現テンプレ(“成果”+“設計意図”)
📄 フォーマット:
Designed and implemented [UI Component/System] using [Technology/Pattern] to [solve problem or enhance UX].
Focused on [key design principle or user need], resulting in [measurable outcome or user impact].
🧠 例1(業務用フォームアプリの設計):
Redesigned a multi-step input form in a legacy WPF application using MVVM and command bindings, reducing user input errors by 40%.
Prioritized clarity and accessibility based on feedback from non-technical users, implementing visual cues and validation previews.
🧠 例2(ダッシュボードのUI構造設計):
Architected a modular WPF dashboard interface with reusable DataTemplate components for financial reporting tools.
Focused on cross-team configurability and maintainability, enabling non-dev users to adjust layouts without code changes.
🎯 ポイント解説:
- “UI implementation”だけでなく、“設計上の目的”を常にセットで書く
→ 設計者の視点があるかをチェックされている - 数字やBefore/Afterの比較で説得力を出す
→ エンドユーザー視点での「結果」を明示する - 英語は“短く、伝わる単語”で
→ ローカルな用語(例:バリデーション→validation error preview)に言い換える
✅ 英語ポートフォリオ:構成は「画面」より「意図とプロセス」
スクリーンショットはもちろん大事ですが、それ以上に価値があるのが**「なぜそう設計したのか?」の説明パート**です。以下の構成が鉄板です:
📁 推奨構成:
- Project Overview(目的・背景)
- User Needs & Problems(誰に向けて、どんな課題を解決したか)
- Design Strategy & Decisions(構造設計や画面遷移の設計思想)
- Implementation Details(技術スタックと構造図)
- Outcomes / Lessons Learned(改善されたこと、学び)
📷 スクリーンショットに添えるべき英語キャプション例:
- “Designed for error prevention in manual data entry workflows”
- “Color-coded system status dashboard optimized for real-time operations”
- “Hierarchical navigation structure to support complex form dependencies”
🧩 補足Tips:
- GitHub上でReadmeに簡単に構成して載せるのも◎
→ 記述が「UX/UI寄り」だと、開発寄りのレポジトリより注目されやすい - スクリーンショットは「1機能1画面」ではなく「ユースケース別にまとめる」のが効果的
→ ユーザー視点に立った設計をアピールできる
スクリーンショットでは伝わらない、“設計意図”の翻訳術
ポートフォリオにUIのスクリーンショットを並べるのは、よくあるアプローチです。
ですが、あなたが設計者としての価値を正しく評価されたいなら、それだけではまったく不十分です。
なぜなら、画面は“結果”であって、“思考のプロセス”や“判断基準”は見えないからです。
海外の面談やレビューでは、以下のような点を言語化できるかどうかが、設計者としての評価を大きく左右します。
💬 よく聞かれる3つの設計的質問(=ストーリーが求められる場面)
- 「なぜそのレイアウトを選んだのか?」
→ レスポンシブ性?ユーザーフロー?デバイス制限?業務フロー? - 「ユーザーのどんな課題を解決したのか?」
→ 操作ミス?情報の見落とし?パフォーマンスの不満? - 「実装にどんな工夫をしたのか?」
→ DataTemplate再利用?State管理の工夫?MVVM分離の工夫?
これらに対して、あなたが**“画面の裏にある思考”**を英語で語れる準備があるかどうか。
その力が、スクリーンショット以上にポートフォリオの評価を決めるのです。
🧠 設計意図の翻訳術:Before / After のストーリーで語れ
評価されるポートフォリオには、「設計前と設計後の変化」がストーリーとして書かれています。
以下のようなフォーマットが効果的です。
📌 英語テンプレ:
Before: Users struggled with [specific problem], leading to [consequence or inefficiency].
After: I redesigned the UI to [design strategy], resulting in [improvement or user benefit].
🧠 例:
Before: Users had difficulty tracking shipment statuses across departments due to scattered screens.
After: I designed a centralized status board with color-coded indicators and filters, reducing search time by 60%.
Before: Field operators on tablets experienced frequent input errors in high-glare environments.
After: I adjusted UI contrast levels, increased font sizes, and implemented error-preventive input patterns.
このように、「何が問題で、どう解決したか」を可視化することで、画面キャプチャでは伝わらない“設計判断の背景”が際立ちます。
🔄 スクリーンショット+設計ノート=“語れる”ポートフォリオ
ポートフォリオには、以下のような**1ページの“設計ノート”**を添えるのがおすすめです。
📝 推奨フォーマット(1機能につき1枚):
- Feature Name: Shipment Status Dashboard
- User Context: Back-office logistics team
- Problem Identified: Scattered shipment data across multiple views
- Design Objective: Centralize critical info, enable visual prioritization
- Design Solution: Grid-based dashboard with live status updates
- Outcome: Reduced screen transitions, increased issue detection rate
これを英語で簡潔にまとめることで、「あ、この人は設計者としてプロセスを理解してるな」と伝わる。
実際、これを添えることでポートフォリオの印象が一段階上がるのを実感しました。
🧭 海外での「設計者評価」は“見た目”以上に“思考の証明”を重視する
WPFのように技術的自由度の高いUIフレームワークでは、設計者の力量がコードにも画面にもにじみ出ます。
しかし、評価するのはあくまで“他者”です。あなたの意図は言語化されなければ、伝わらない。
英語での転職やチーム移動を目指すなら、画面だけでなく、その設計に至るまでのロジック・背景・戦略を、「翻訳」して共有する力こそが、最も差がつくポイントです。
“設計者としての価値”が伝わるレジュメとポートフォリオを仕上げるために
ここまで、英語圏でUI設計力を正当に評価してもらうための書き方・見せ方のポイントを紹介してきました。
そして最後に強調したいのは──
あなたの設計力は、”見せ方”次第で数倍の評価になる。
これは、海外キャリアを意識したときに痛感した事実です。
だからこそ、最後の「仕上げ」には時間をかけてほしい。以下にそのためのチェックリストと実用テンプレートをまとめました。
✅ 公開前チェックリスト:この7点が揃えば“設計者としての履歴書”になる
| No. | 項目 | チェック内容 |
|---|---|---|
| 1 | 設計意図の説明 | UIの背景や狙いを明文化しているか? |
| 2 | ユーザー視点の記述 | 誰のどんな課題を解決したかが伝わるか? |
| 3 | Before/Afterのストーリー | 改善の結果やビフォーアフターが数字で示せているか? |
| 4 | UI構造の説明 | Navigation/Component構成など設計的視点が盛り込まれているか? |
| 5 | 英語表現が自然か | 冗長な日本語直訳ではなく、現地感ある英語になっているか? |
| 6 | スクリーンショットの配置 | 文章と画面の関係が読みやすい構成になっているか? |
| 7 | 公開ツールの適正 | GitHub/Notion/Portfolioサイトなど目的に合った媒体を選べているか? |
✍️ 英語表現テンプレート:設計ストーリーを語る基本構文5選
| 用途 | 英語フレーズ | 説明 |
|---|---|---|
| 機能の説明 | This feature was designed to... | 設計目的の導入部として有効 |
| 課題背景 | The challenge was that users... | Beforeの背景共有に使える |
| 設計意図 | We decided to structure the UI in this way because... | 意思決定の根拠を説明 |
| 結果・効果 | As a result, we saw a... | 定量・定性評価を入れる |
| 学び・応用 | This approach can also be applied to... | 再現可能性や応用力をアピール |
💡 ポートフォリオに使えるツール構成例(GitHub/Notion/個人サイト向け)
| 目的 | ツール | 活用方法 |
|---|---|---|
| コード公開 | GitHub | WPFプロジェクトの構成+READMEに英語の設計ノートを添付 |
| 設計プロセス記述 | Notion | Before/After・設計の背景・画像+コメントで簡単にまとめられる |
| 見せる用ポートフォリオ | SvelteKit / Astro / VitePress | 英語圏向けのデザイナー・開発者ポートフォリオに近づける構成が可能 |
🎁 補足Tip:NotionにまとめたUI設計資料をPDF出力して「ポートフォリオ添付資料」として送るのも◎
→ 転職活動で非常に好印象でした(実体験)
🔚 おわりに:あなたの設計は“語れる武器”になる
WPFという枯れた技術に見えて、実はUIアーキテクトとしての思考を育てられる土壌だった——
それを証明する場が、このポートフォリオであり、英語レジュメです。
これから海外で働きたい方、外資系案件に挑戦したい方にとって、
**「設計力を翻訳し、語れる状態にすること」**が最大の差別化要素になると、僕は信じています。

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