Sustaining the Learning Momentum― 学び続けるエンジニアであるために ―

はじめに

「学び続けなきゃ」と頭では分かっているのに、実際には続かない。エンジニアをやっていると、そんな葛藤にぶつかることってありませんか?僕自身、海外で働くようになってから、これを何度も痛感しました。

新しい技術やフレームワークは次から次へと出てくるし、職場では英語でのコミュニケーションに毎日エネルギーを持っていかれる。気づけば「勉強したいけど、今日は疲れたから明日でいいか…」と先延ばしして、気づいたら一週間経ってる。そんな経験を何度もしました。

でも海外で働くエンジニアとして日々感じるのは、「学びを止めたら取り残される」という現実です。特に僕のようにC# WPFをメインに設計開発をしていると、正直「レガシー感」を意識せざるを得ない場面もあるんですよね。周りを見渡すと、クラウド、AI、Webフロントの新しいフレームワーク…。正直、キャッチアップするだけで精一杯です。

きっかけは「挫折」から

僕が「学びを続けること」に本気で向き合うようになったのは、海外勤務2年目のある出来事でした。あるプロジェクトで新しい設計手法を導入しようとしたとき、僕の知識が明らかに古いままだったんです。レビューで同僚から指摘を受けたとき、悔しさと同時に「やっぱり自分の勉強不足だ」と痛感しました。

しかも、ただ単に「新しい技術を知らなかった」というだけではなく、**「学び続ける仕組みを自分の中に持っていなかった」**ことが原因でした。日本にいた頃は、周りに合わせて学ぶ機会が自然とあった。でも海外に来てからは、自分で自分をアップデートする仕組みを作らないと、誰も助けてくれない。これは環境の違いを痛烈に感じた瞬間でした。

成長マインドセットとの出会い

そのとき出会ったのが「成長マインドセット(growth mindset)」という考え方です。失敗や不足を「自分のダメさ」と切り捨てるのではなく、「伸びしろ」として捉える視点。これは海外の職場文化にも根付いていて、同僚たちもよく「It’s a learning opportunity.」なんて口にします。最初は「言い訳っぽいな」と思ったけど、実際にその姿勢を見ていると、失敗を前向きに捉える人の方が次の挑戦を怖がらないんですよね。

僕も「失敗したからこそ次に学べる」という考えに切り替えたことで、以前より気楽に勉強を続けられるようになりました。例えば、英語でのプレゼン練習。最初はミスを恐れて口が重かったけど、「どうせ失敗してもネタになる」と思えるようになってから、練習の回数が増えて、気づけば人前で話すのも苦じゃなくなっていた。

学びを「習慣」に落とし込む

さらに僕にとって大きかったのは、**「学びをイベントじゃなく、ルーティンにする」**という考え方です。週末にまとめて勉強するのではなく、毎日の中で小さな学びを積み重ねる。例えば、

  • 朝コーヒーを飲みながら5分だけ英語の記事を読む
  • コードレビューのときに「自分が知らない書き方」を必ず1つ拾う
  • 寝る前に1問だけLeetCodeを解く

こういう小さなサイクルが「学びの習慣ループ」を作り出してくれる。正直、最初は効果が見えないけど、数か月経つと「あれ、前よりコードがすらすら読める」とか「最新の技術記事に抵抗がなくなった」みたいな変化を感じるんです。

海外で働くと加速する「情報のアップデート」

海外にいると特に痛感するのは、情報の鮮度の速さです。ミーティング中に「この新しいライブラリが便利だよ」と誰かが口にした翌週には、もうプロジェクトに取り込まれていたりする。スピード感が日本にいた頃とは段違いで、「知らないと置いていかれる」がリアルに起きるんです。

だからこそ、「未来のために頭をアップデートしておく」ことが必須になる。AIやクラウドの技術はもちろん、UI/UXのトレンドだって無視できない。C# WPFだけに閉じていたら、キャリアの選択肢は確実に狭まる。ここで大事なのは「全部追いかける」ことじゃなく、自分の専門を軸にしつつ、周辺知識を少しずつ広げることだと気づきました。

実践の積み重ねが習慣になる

「学び続けなきゃ」と思っても、頭の中の決意だけではなかなか続きませんよね。僕も最初は「毎日1時間勉強しよう」とか「この技術書を1か月で読み切ろう」と意気込んだことがあります。けれど、正直に言うと長続きしませんでした。疲れて帰宅して、本を開いても3ページで眠くなる。次の日にはもうやる気が出ない。まさに三日坊主の典型でした。

そこで気づいたのが、**「大きな目標は小さな習慣からしか生まれない」**ということでした。ここから、僕の「学びの仕組みづくり」が始まります。

小さなゴールを設定する

最初に取り入れたのは、**「習慣ループ」**の考え方です。これは行動科学の世界でも有名で、「きっかけ → 行動 → ご褒美」という流れを繰り返すことで、習慣が定着するというもの。

例えば僕の場合:

  • きっかけ:朝コーヒーを入れる
  • 行動:ニュースサイトで英語の記事を5分読む
  • ご褒美:自分に「今日も一歩前進した」と小さく声をかける

たったこれだけですが、「コーヒー=勉強の合図」と脳が結びつくようになり、自然と学びが続けられるようになりました。

大事なのは「無理をしないこと」。1時間勉強するのはハードルが高いけれど、5分なら誰でもできます。僕はこの「5分ルール」をいろんな場面に応用しました。

  • 通勤電車で1記事だけ技術ブログを読む
  • コードレビューで「知らない書き方を必ず1つ調べる」
  • 寝る前にLeetCodeを1問だけ解く

やってみると分かるんですが、「1問だけ」「1記事だけ」と思って始めると、意外と調子が出て10分、20分やってしまうことが多いんです。要するに、学びのエンジンをかけるハードルを下げることが大切なんですよね。

仲間を巻き込む

もうひとつ僕が海外で気づいたのは、「一人で頑張るより仲間を巻き込んだ方が続く」ということです。僕のチームでは、毎週金曜に「Tech Sharing」という30分の勉強会があります。最初は発表者として参加するのがすごくプレッシャーだったんですが、やってみると学びのペースメーカーになるんです。

「来週発表だから、今週は新しいライブラリについて調べなきゃ」
「同僚がDockerのTipsを紹介してくれたから、自分も試してみよう」

こうした場に参加することで、自然と「インプットとアウトプットのサイクル」が回り始めました。学んだことを人に説明するのって、実は最強の勉強法なんですよね。理解が浅いところはすぐに突っ込まれるし、逆に「面白い!」と反応してもらえるとモチベーションが一気に上がります。

ツールの力を借りる

さらに実践を後押ししてくれたのが、ツールの活用でした。海外で働くようになってから特に助けられたのは、次のようなサービスです:

  • Notion:学んだことを1日1メモ書きする。後で見返すと「こんなに積み上げてきたんだ」と自己肯定感につながる。
  • GitHub Gist:コードの小さなTipsをストック。検索できる自分専用の辞書になる。
  • Anki:英語やアルゴリズムの知識をフラッシュカード化して反復。短時間で効率よく記憶できる。

これらを使うと、「学びが点ではなく線になる」感覚が生まれます。バラバラの知識がツールを通じて繋がり、まるで自分の「学びデータベース」ができていくような感覚です。

未来を意識した学び

習慣化やツール活用に慣れてきたころ、次に考えたのは「どんな分野を学ぶか」でした。正直、C# WPF一本で食べていけるかと言われると、答えはノーだと感じます。僕の周りでも、クラウドやWebに軸を移す人、データサイエンスを学び始める人、AIを取り入れる人など、キャリアの幅を広げているエンジニアが多いんです。

そこで僕も、自分の専門を軸にしつつ「未来に役立つ領域」に少しずつ触れることを意識しました。例えば、

  • WPFのUI設計に加えて、WebフロントのReactを触ってみる
  • バックエンドのC#だけでなく、クラウド(Azure, AWS)の基礎を学ぶ
  • AIの記事を読む習慣をつけ、機械学習の基本概念を理解する

全部を深掘りするのは無理ですが、「入り口を押さえる」だけでも会話ができるようになる。これが海外の職場では本当に役立ちます。なぜなら、新しい技術の話題が出たときに「それ何?」で終わるのと、「ああ、それは〜ですよね」と軽く会話に入れるのとでは、チームからの信頼感が全く違うからです。

失敗しても「習慣」が助けてくれる

もちろん、僕も完璧に続けられているわけではありません。忙しい時期は1週間まったく学べないこともあります。それでも以前と違うのは、習慣があるから戻ってこられるということです。

以前は「勉強が途切れる=挫折」と思っていました。でも今は「また習慣ループを再開すればいい」と考えられる。だから一度の失敗で自己嫌悪に陥らずに済む。これは大きな精神的な変化でした。

学びが開いた新しい景色

習慣として学びを続けるようになってから、僕の働き方やキャリアの見え方が大きく変わりました。最初はただ「置いていかれたくない」という焦りから始まった学びでしたが、今では**「学びが自分の未来を広げてくれる」**という実感に変わっています。

ここでは、その変化をいくつかのエピソードを交えて紹介したいと思います。


1. 学びが「自信」に変わる瞬間

最初の変化は、会議での自分の立ち位置でした。以前の僕は、海外のチームでの技術ディスカッションになると、正直かなり引き気味でした。英語の壁もあるし、最新技術の知識が追いついていないと、意見を言うのが怖かったんです。

でも、習慣として小さな学びを積み重ねていると、不思議と「会話に入れる」瞬間が増えていきました。
例えば、クラウド移行の議論の場で「Azure Functionsを使うとこの部分がもっとスケーラブルになりますよね」と一言加えられたとき。実際に僕がクラウドの専門家なわけではありません。でも日頃から触れていたおかげで、会話の土台に乗れる程度の知識は持っていた。

その一言でチームの視線が集まり、「じゃあもう少し調べてみてよ」と役割を任されたとき、心の中で「学びってこういう形で報われるんだ」と実感しました。小さな積み重ねが、自信の芽になる。その経験は今でも僕を支えてくれています。


2. 習慣が「キャリアの選択肢」を増やす

学びを続けていると、面白いことにキャリアの可能性が広がっていくのを感じます。

僕はC# WPFをメインにやってきましたが、正直この技術スタックだけでずっと食べていけるかどうかは不安でした。ところが、Webやクラウドに少しずつ触れるようになってから、社内の別プロジェクトから声がかかるようになったんです。

「新しいWebアプリのUIをWPF経験者の視点でレビューしてくれないか?」
「クラウドとデスクトップの連携部分を一緒に設計してほしい」

つまり、自分の専門と学んだ新分野がつながって、新しい仕事のチャンスになるんです。これには驚きました。もし学びを止めていたら、僕は「WPFの人」という枠に閉じ込められていたはずです。でも今は「UI/UXや設計に強いけど、クラウドも分かる人」として見てもらえる。これはキャリアの武器になります。


3. 「失敗」への見方が変わった

成長マインドセットを意識するようになってから、失敗に対する感覚も大きく変わりました。

以前は、ミーティングで英語が聞き取れずに答えられなかったり、新しい技術の提案で指摘を受けたりすると、「自分はダメだ」と落ち込んでいました。でも今は、「これは学びのネタになる」と切り替えられるようになったんです。

実際、あるとき僕が導入した設計パターンがプロジェクトに合わずに失敗したことがありました。以前なら自己嫌悪で数日引きずったと思います。でもそのときは、次の日にチームメンバーに「昨日の失敗を反省して、代わりにこういう方法を試してみたい」と提案できた。すると意外にも「その姿勢いいね」と言ってもらえて、信頼がむしろ増したんです。

海外の職場では特に、失敗を恐れずに改善を繰り返す人が評価されると感じます。だからこそ、学び続ける習慣が「挑戦を後押ししてくれる」んですよね。


4. 学びが「人とのつながり」を作る

もう一つ大きな気づきは、学びが人との接点を増やすということです。

例えば、社内の勉強会でReactをテーマに発表したとき。僕自身はReactの初心者だったので、発表内容も基本的なものに過ぎませんでした。でも、それをきっかけにReact経験者の同僚と会話が生まれ、「じゃあ一緒に小さなサンプルアプリを作ってみよう」とコラボに発展したんです。

学びをアウトプットすると、「まだ完璧じゃないのに発表して大丈夫かな」と不安になります。でも実際には、それが仲間を巻き込むきっかけになる。海外では特に、自分の知識レベルに関係なく「シェアしようとする姿勢」自体が歓迎される文化があります。そのおかげで、僕は社内外に学びのネットワークを広げることができました。


5. 「未来に備える頭」になっていく

そして一番大きな変化は、「未来に備える視点」が育ったことです。

習慣化する前の僕は、目の前のタスクをこなすのに精一杯で、未来のことなんて考えられませんでした。でも学びが日常に組み込まれると、「次にどんな技術が来るか」「これが自分のキャリアにどうつながるか」を自然と考えるようになるんです。

例えばAI。僕は専門家ではありませんが、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場で「自分の仕事はどう変わるか?」を常に意識しています。だからこそ、プロジェクトでAIツールを試す提案をするのも抵抗がなくなったし、周りからも「新しいことに敏感な人」と見られるようになった。

この「未来にアンテナを立てる習慣」は、学び続けてきたからこそ得られたものだと思います。


学びが止まらない「好循環」へ

こうした経験を通じて分かったのは、学びは習慣になった瞬間に「義務」から「好循環」に変わるということです。

  • 学ぶから → 自信がつく
  • 自信がつくから → 挑戦できる
  • 挑戦するから → 失敗も増える
  • 失敗から → 新しい学びが生まれる

このサイクルが回り始めると、もう「学びを続けよう」と頑張らなくても、自然と学びが止まらなくなるんです。僕にとってはこれが、海外で働くエンジニアとしての大きな転機でした。

学びを生き方にする

ここまで僕が海外で働きながら感じてきた「学びを続ける難しさ」と「それを習慣化する工夫」、そして「そこから得られた変化」について話してきました。最後に伝えたいのは、学びはもはやスキルアップのためだけじゃなく、生き方そのものになっているということです。


1. 学びが「キャリアの軸」を形づくる

僕は長い間、「キャリアの軸って何だろう」と悩んでいました。日本にいた頃は「C# WPFで設計ができる人」としての役割があり、それで十分だと思っていたんです。でも海外に出てみると、その「役割」は一瞬で相対化されました。周りにはもっと幅広いスキルを持つエンジニアがいて、僕の武器は正直限定的に見えました。

でも、学びを続ける中で気づいたんです。軸はスキルそのものじゃなく、学び続ける姿勢の中から形づくられるということに。

  • 新しいことをキャッチアップしようとする好奇心
  • それを小さく試してみる行動力
  • 失敗しても学びに変える柔軟さ

これらは「どんな技術を扱うか」に関わらず、僕のキャリアの土台になる。今では「僕はWPFエンジニアです」ではなく、「僕は学びを続けることで変化に対応できるエンジニアです」と自信を持って言えるようになりました。


2. 学びが「自分らしさ」をつくる

海外に出て一番面白いと思ったのは、「エンジニア像」が人それぞれ違うということです。ある人はコードの最適化に情熱を注ぎ、ある人はユーザー体験にこだわり、ある人はチームビルディングを得意にする。日本にいた頃は「フルスタック」「マネジメント」といった型にはまったキャリアのイメージを持っていましたが、海外ではそんな固定観念が壊されました。

僕自身も、「学びを続ける」というスタンスが自分らしさを作っていると感じています。毎日少しずつでも吸収してアウトプットする。それを繰り返すことで、気づけば「変化を楽しむ人」という印象を持たれるようになりました。これは専門分野よりも大事な“自分の色”になっています。


3. 海外で働くエンジニアへのメッセージ

これから海外で働こうとしている人に僕が伝えたいのは、「完璧な準備はいらない」ということです。

僕も渡航前は、「もっと英語を勉強してから」「もっと最新技術を学んでから」と先延ばししていました。でも実際に海外に出てみると、学び続ける姿勢さえあれば十分戦えることに気づきました。

  • 英語は間違えても「次に直せばいい」
  • 技術は追いつけなくても「学び続ける姿勢を見せれば評価される」
  • キャリアの方向性は「学びの積み重ねの中で見えてくる」

だからこそ、渡航前に必要なのは「全部知っておくこと」ではなく、「これから学び続ける仕組みを持っているかどうか」だと思います。


4. 学びは小さな一歩の積み重ね

最後に、僕が今でも大切にしている言葉を紹介します。

“You don’t have to be great to start, but you have to start to be great.”
(最初からすごい必要はない。でも、すごくなるためには始めなければならない。)

海外で働く中で、学びの旅に終わりはないと痛感しています。新しい技術は毎年のように生まれ、英語力だって「完璧」なんて存在しない。だからこそ大事なのは、「今日も5分だけやってみる」「1つだけ新しいことを試す」という小さな一歩です。

そしてその一歩を積み重ねていくと、ある日振り返ったときに「自分はこんなにも成長していたんだ」と気づける。学びを続けるとは、そういう未来を信じて歩き続けることだと思います。


まとめ

  • 学びは「スキル」ではなく「生き方」になる
  • 習慣化がキャリアの軸と自分らしさを形づくる
  • 完璧な準備よりも、学び続ける仕組みを持つことが大事
  • 小さな一歩の積み重ねが未来をつくる

僕にとって、海外で働くことは「学びを止めない生き方」を選ぶことでした。そしてその選択が、今の僕を作っています。

これを読んでいるあなたが、もし海外で働くことに興味を持っているなら、ぜひ「学び続ける自分」を信じてほしいです。挑戦は不安もありますが、学びを続けることでその不安は確実に乗り越えられます。

そして気づいたときには、きっとあなたも「学びを生き方にしているエンジニア」になっているはずです。

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