― 英語が苦手でも、武器さえあれば戦える ―
「英語ができないから…」で終わらせない世界
正直な話、僕は今でも英語に自信があるわけじゃない。
Slackの通知に「Let me clarify〜」とか「Could you elaborate〜」みたいな英語が並んでたら、ちょっと構えてしまう。Zoom会議で「じゃあ、○○さんの意見をどうぞ」なんて急に振られようもんなら、一瞬フリーズすることもある。
でも、そんな僕でも今は海外のチームでWPFの設計レビューを英語でやってる。
自分で書いたUI仕様の説明文を読み上げたり、Pull Requestのコメントに対して英語でロジックの意図を返したり。
もちろん完璧じゃないし、文法なんて怪しいところも多い。でも、「伝わる」こと、「仕事が前に進む」ことに関しては、確実に成果を出せるようになってきた。
その理由はひとつ。
「英語ができるようになった」わけじゃなくて、「英語を助けてくれるツールを正しく使えるようになった」から。
❓Google翻訳だけで乗り切れるのか?
「開発中、わからない英語が出てきたらGoogle翻訳でOKでしょ?」
そう言われることは多い。でも、本当に“仕事の英語”はそれで足りるのか?
例えば、以下のようなケースを想像してほしい。
- UIレビューのコメントで「This interaction seems counterintuitive in the current UX context」と言われたとき
- Pull Requestで「Can we generalize this method to handle other scenarios?」とレビューされたとき
- 海外の同僚からSlackで「I think your implementation is almost there, just a small tweak might do the trick.」と送られてきたとき
Google翻訳にそのまま貼り付けると、たしかに“意味”は出てくる。
でも、「何が期待されているのか」「どう返せば建設的なやりとりになるのか」は、わかりにくいままだ。
💡“道具”としての英語力と、“翻訳”の限界
エンジニアとしての英語って、「語学力」というより**“ツールの使い方”に近い**と僕は思ってる。
知らないライブラリに出会ったときと似ている。「どう使えばいいのか」「どう組み合わせればいいのか」がわかれば、それなりに使いこなせるようになる。
でも、逆に言えば、使うツールを間違えると一気に非効率になる。
例えば、設計レビューに必要なのは「技術的な正確さ」だけじゃなく、「ニュアンス」「合意形成」「トーン調整」だったりする。
そうなると、Google翻訳一発で済ませるには無理がある。
🌏「ツールが味方になった瞬間」の衝撃
僕が一番最初にその「限界」を感じたのは、あるコードレビューのやりとりだった。
public bool IsVisible => _status == Status.Enabled && _user.IsAdmin;
この条件が複雑に感じる、と言われたので、
“Do you mean this condition is too complex? Or should I move this to a helper method?”
と英語で返したんだけど、自分でも「この英語、ちょっと違和感あるな」と感じてた。
そのときに試しに使ってみたのが、DeepL翻訳+Grammarly+Writefullのコンボ。
(それまで存在すら知らなかった)
DeepLで意図を翻訳し直し、Grammarlyで自然な文に修正し、Writefullで「レビュー時の提案表現」としての適切さを確認した。
結果、以下のように書き換えて送ってみた:
“Would it be clearer if I extracted this condition into a helper method? Let me know if the current logic feels confusing.”
すると、レビュー側から即レスが来た。
“Yes! That would help a lot. Thanks for being proactive 🙌”
このやりとりは、僕にとって**「翻訳ツールが、ただの変換機ではなく“会話の相棒”になった瞬間」**だった。
📘ツールを“英語の外注先”にしない
ここで大事なのは、「翻訳ツールに頼るな」じゃなく、「翻訳ツールを、うまく使え」ってこと。
英語が得意じゃないからこそ、どのタイミングでどのツールを使うか、それを把握することで「英語できる風」に振る舞える。
実際、僕がSlackやNotionに書いてる英文の8割以上は、ツールに下書きを助けてもらっている。でも、それをただの「Google翻訳」で済ませるのか、目的に合ったツールに役割を分担させるのかで、最終的なアウトプットの質は大きく変わる。
“翻訳”じゃなく“戦略”をくれる、目的別ツール5選
ここからは実際に、僕が日々使っている英語ツール5選を紹介します。
ただの「翻訳ソフト」ではありません。
これは、開発現場で“英語ができる風”に振る舞うための武器セットです。
目的別に紹介するので、あなたの使いたい場面に合わせて導入してみてください。
① DeepL:直訳を超える“意図までくみ取る”翻訳エンジン
- おすすめの用途:Slackメッセージ/仕様説明/レビュー返信文の下書き
英語ツールの話になるとまず名前が上がるのがこれ。
もう言わずと知れた優秀翻訳エンジンですが、個人的には「日本語→英語」よりも「自分の雑な英語→自然な英語」に直す用途で重宝してます。
例えば:
📝 自分が書いた文:
“I think this logic can be reusable in other pages.”
🧠 DeepLで整形された文:
“I believe this logic could be reused on other pages as well.”
ニュアンスの柔らかさと丁寧さが一気に上がります。
👉 Tips:社内Slackの下書きとして、一度DeepLで整えてから投稿すると印象が変わる!
② Grammarly:文法ミスだけじゃなく、“トーン”も直してくれる神校正
- おすすめの用途:英文メール/Pull Requestコメント/Notion記述
Grammarlyは「英語の添削ツール」として知られていますが、無料版でも十分使えます。
ただのスペルチェックだけでなく、「ちょっとカドが立ってる」文章を、ビジネス英語に柔らかく整える」のが最高の使い道。
たとえば、こんな修正をしてくれます:
📝 元の文:
“I don’t agree with this implementation.”
🧠 Grammarlyで修正された提案:
“I’m not sure this implementation fully addresses the requirement. What do you think?”
言い方ひとつで印象が変わる、それを教えてくれるのがGrammarlyのすごさ。
👉 Tips:PRコメントを提出する前にGrammarlyを通すと、レビュー文化が強いチームでもトラブル回避がしやすい。
③ Writefull:アカデミックや開発現場で“正しい表現”を逆引きする
- おすすめの用途:技術仕様書/ドキュメント作成/英語表現の確認
これはあまり知られていませんが、Writefullは**「この言い回し、合ってる?」を実例付きで教えてくれる**超便利ツール。
たとえば、関数名の説明文を英語で書こうとして、
🧐 「~を初期化する関数です」を自然な表現にしたい…
というとき、「initialize function」や「responsible for setup」などを入れて検索すれば、実際に学術論文や技術資料で使われている言い回しが出てきます。
👉 Tips:開発ドキュメントを書くとき、定型的な言い回しを探すのに最適!
④ Ludwig.guru:ネイティブが書いた“例文”で正しい文脈を探せる
- おすすめの用途:提案文・議論文の構成チェック/英文レビュー
Ludwigは、検索した文章や単語が「実際にどういう文脈で使われているか」を見せてくれるサイトです。
英語表現に自信がないとき、
📝 “The result is acceptable.”
→「この ‘acceptable’ って失礼じゃない?」
というような迷いがあるときに、その表現がどのような記事・文脈で使われているかを見て、自信を持って使えるようになります。
👉 Tips:海外レビューで言葉の選び方に迷ったら、Ludwigで類似事例を調査!
⑤ QuillBot:パラフレーズ(言い換え)で伝え方の幅を広げる
- おすすめの用途:同じ内容を“違うトーン”で書きたいとき/英語表現の多様化
例えば、「もっとポライトに言いたい」「カジュアルに言い直したい」そんなときに使えるのがQuillBot。
📝 元の文:
“Let’s change the logic here.”
🎯 パラフレーズ提案(カジュアル):
“How about adjusting the logic a bit here?”
🎯 パラフレーズ提案(フォーマル):
“Would you consider revising the logic at this point?”
👉 Tips:複数の言い換えパターンを比較して、自分の英語に“表現の幅”を持たせられる。
🎯それぞれのツールを“戦略的に組み合わせる”
僕自身の使い方はこんな感じです:
| シチュエーション | ツール構成例 |
|---|---|
| Slackでレビューのお願いをするとき | DeepL → Grammarly |
| PRコメントの返信を書き直すとき | DeepL → Writefull or QuillBot → Grammarly |
| Notionに仕様を書くとき | Writefull → Ludwig |
つまり、英語を「直訳する」のではなく、“開発現場にフィットさせる”ことを目的にしたツール構成が鍵なんです。
ツールを使っても「通じない」時がくる。それでも前に進むには?
正直な話をしよう。
ここまで紹介してきたツールたちは、どれも素晴らしい。
でも、それでも“通じない瞬間”はある。
「翻訳は完璧だったはずなのに、なぜか会話が噛み合わない」
「文法もトーンも整えたのに、空気が重くなる」
「“言葉”は正しくても、“伝わっていない”と感じる」
…そんな経験、ありますよね?僕は何度もあった。
🧊事例①:「レビューコメントが攻撃的だ」と言われた日
とあるPull Requestで、僕はこうコメントした。
“I suggest extracting this into a separate method. This is too messy to follow.”
DeepLで訳したものをGrammarlyで整えてから書いた。英語としては合っていたと思う。
でも、それに対して返ってきたのは、
“Please be mindful of tone. This came across a bit harsh.”
一瞬、頭が真っ白になった。
攻撃するつもりなんてなかった。
ただ、“読みにくいコードをリファクタしてほしい”という、普通のレビューコメントのつもりだった。
でもそのとき初めて、「ツールで整えた文章でも、“誰が・どういう立場で・どんな文脈で”言うかによって伝わり方は変わる」という現実を突きつけられた。
🔄言い換えよりも大事な「リカバリー力」
僕がそのとき取った行動は、即座にコメントを編集して以下のように変更したことだった。
“Sorry if this sounded too direct — I just meant that splitting this logic might make it easier to follow. Totally open to suggestions!”
英語が完璧じゃなくても、謝意を込めて補足する。
この対応に対して、レビュー相手からはすぐにリアクションが返ってきた。
“Appreciate the clarification! No worries 👍”
完璧な英文よりも、「対話しようとする姿勢」のほうが、グローバル環境では評価される。
そう強く感じた瞬間だった。
🧠事例②:「あなたの質問、意味がわからない」と言われたZoom会議
設計レビューの会議で、「データの取得処理をAPI層とViewModel層のどちらに置くか」について議論していたときのこと。
僕が発言した:
“Do we prefer putting this fetch logic in ViewModel for better readability?”
すると相手のアメリカ人エンジニアが一瞬黙ってから、
“I’m not sure what you mean. Could you clarify what exactly you’re trying to say?”
え?何が通じなかったんだ?
その場では焦ってしまい、しどろもどろになりながらも何とか言い直した。
“I mean, is it more readable if the API call stays in the ViewModel instead of Repository?”
すると相手は「ああ、そういう意味ね」と頷いてくれた。
🧩“構造化されてない英語”は、文法よりも通じにくい
この経験からわかったのは、英語そのものの正しさよりも、「構造化されてるかどうか」が重要だということ。
日本語だと「こういう意図でこういう話をしてて、だからこうしたい」という流れをあいまいに話しても何となく通じる。でも英語は、「主張」→「理由」→「具体例」の順序が整ってないと、すごく伝わりにくい。
僕の最初の質問は、“理由”と“意図”が入り混じっていて、構造的にあいまいだった。それが「通じない」の原因だったんだ。
✍ ツールを超える“対話設計”の考え方
ここから学んだことはシンプルだ。
🛠 **ツールは「表現の補助」**に過ぎない。
🧭 伝えるためには、「伝わる構造」と「対話の設計」が必要。
たとえば次のようなテンプレートで話すようにすると、英語が下手でも通じやすい。
💬構造化テンプレート:非ネイティブ向け発言フレーム
My question is whether we should put the logic in ViewModel.
The reason is it might help keep the Repository layer simpler.
What do you think?
このように「問い → 理由 → 相手の意見を促す」という構成にすれば、ツールに頼らなくても、構造そのものが“伝わる力”を持つ。
💡翻訳ツールは“伴走者”であって“代行者”じゃない
ここで伝えたいのは、「ツールがあっても英語力がいらない」という話ではない。
むしろ、ツールは“翻訳”ではなく“支援者”として位置づけるべきということだ。
たとえば:
- DeepLで下書きを作っても、自分の意図と違うなら修正する
- Grammarlyが「Politeな表現」に直しても、場面によってはDirectに戻す
- QuillBotが言い換えても、自分の言葉じゃないなら使わない
英語でのコミュニケーションは、「自分で責任を持つ」ことを前提にしたアウトプットでないと信頼されない。
それは、どんなに流暢な人でも変わらない。
評価されるのは「流暢さ」じゃない。「設計された英語」が信頼を生む
ここまで3回にわたり、「英語が得意でなくても、目的に合ったツールを戦略的に使うことで、開発現場で成果を出す英語コミュニケーションは可能だ」という話をしてきました。
しかし本当の意味で英語に“強くなった”と感じたのは、ツールをいくつも使いこなせるようになったときでも、流暢に話せるようになったときでもありません。
それはむしろ、「自分の伝え方」に“設計思想”が入った瞬間でした。
🛠 英語は“設計対象”にできる
UIのレイアウトを構造的に考えるように、
ViewModelの責務を分離するように、
英語でのやりとりも“設計”できるんです。
ここからは、僕が実践してきた「英語コミュニケーションの設計術」を紹介します。
それは非ネイティブだからこそ身につけやすい、「意図のある英語」であり、評価につながる英語力でもあります。
✅ 評価される非ネイティブ英語の特徴とは?
僕が数年にわたり海外開発チームで働いてきて、実際に周囲の信頼を得てきた中で見えてきた共通点があります。
それは「英語がうまい人」ではなく、**「英語を通して仕事が前に進む人」**が評価されるということ。
つまり、ポイントはこの3つです。
① 曖昧さを減らす、構造的な伝え方
ツールを使って完璧な英文を作っても、話の構造がバラバラだと伝わりません。
たとえばこんな言い方が効果的です:
Just to clarify:
1) We're going to merge this by Friday.
2) We’ll run regression tests on staging tomorrow.
3) Let me know if anything is blocking the QA team.
構造が明確な英語は、多少ブロークンでも**「理解されやすい=評価されやすい」**。
② 主体性を見せるリアクション
会議やSlackで、自分が話していないときにも「存在感を示す方法」はあります。
例えば会議中:
- “Got it.”
- “That makes sense.”
- “Thanks for explaining that.”
たったこれだけで、「ちゃんと話を追ってくれている」「信頼できるメンバーだ」と認識されやすくなる。
ネイティブのように饒舌でなくても、「気配を出す」英語は評価されます。
③ “感謝・共感・提案”の3点セット
英文コミュニケーションで相手の信頼を得るテンプレートがあります。
それがこの3点セットです:
Thanks for pointing that out. (感謝)
I hadn’t thought about that perspective. (共感)
Maybe we could try caching the response as a middle ground? (提案)
この3点がそろっていると、たとえ英語が多少ぎこちなくても、人間として「信頼できる」「協調的だ」と評価される。
英語力よりも「態度設計力」が試される瞬間です。
✍ 実際のSlack例:”良い英語”はこう設計する
Before(ツールだけ使った不自然な文)
“Your code is wrong. Fix it.”
After(設計された非ネイティブ英語)
“Thanks for sharing this! Just noticed that the validation might not cover null values—should we add a check there?”
この違いは、「英語が自然」かではなく、**“対話として成立しているか”**です。
設計された英語は、ツール以上に「相手の行動を引き出す英語」になります。
🚧 ツールは“入り口”、信頼は“設計”から
DeepL、Grammarly、Writefull、QuillBot、Ludwig。
これらのツールは、非ネイティブにとって本当に強力な味方です。
でも、それらを使っても「伝わらない」「信頼されない」ことはある。
そのときこそ考えてほしいのは、**「伝え方の設計」**です。
- この相手にはどういう言い方が安心感を与えるだろう?
- 今の状況で最も期待されているのは“何の英語”だろう?
- 自分の伝えたいことを、最も理解しやすい構造にするには?
そうやって設計された英語は、流暢じゃなくても、圧倒的に“伝わる”英語になります。
🧠 まとめ|非ネイティブが「英語で戦える」ための視点
| 視点 | ポイント |
|---|---|
| ツールの使い分け | DeepLは下書きに、Grammarlyはトーン調整に、Writefullは技術表現に使う |
| 構造的な英語の発信 | 主張 → 理由 → 提案の構造を意識する |
| リアクション力で存在感を出す | “Got it.” “Thanks for sharing.” “That helps!” など小さな反応を意識的に出す |
| 設計されたフィードバック | 感謝・共感・提案の3点セットで相手の受け取り方が変わる |

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