Blazor時代のUI設計:WPF設計者がどう乗り換えるか?

  1. Blazor時代のUI設計:WPF設計者がどう乗り換えるか?
    1. 「WPFでの経験、どう活かせるんだろう?」と感じた瞬間
    2. Blazorって何?ざっくりまとめると…
    3. でも、UI設計の本質は“変わらない”
    4. 乗り換えのハードルはある。でも、それを超えた先にあるメリットも大きい
    5. このシリーズで扱うこと
    6. なぜ今Blazorに注目すべきか?
    7. まとめ:変わる技術、変わらない設計力
  2. WPFとの違いを理解しつつ、BlazorのUI設計を攻略する
    1. 1. BlazorのUI構成:Razorコンポーネントの世界
      1. 1-1. Razorコンポーネントとは?
      2. 1-2. WPFとの比較ポイント
    2. 2. MVVMに近いけど違う?Blazorの状態管理
      1. 2-1. 状態管理の考え方の違い
      2. 2-2. MVVM的設計は可能?
    3. 3. Razorコンポーネント設計のポイント
      1. 3-1. コンポーネントの責任範囲を明確に
      2. 3-2. データの受け渡しはパラメーター経由
      3. 3-3. スタイル管理はCSS主体
    4. 4. WPF設計者が意識すべきBlazorの“落とし穴”
      1. 4-1. UIとロジックの分離度が低い?
      2. 4-2. 状態管理のスコープが狭いことに注意
      3. 4-3. CSSによるスタイル管理の慣れ
    5. まとめ:WPF設計者は「設計力」を武器にBlazorを攻略できる
  3. Blazorでの状態管理とWPF設計の違いを乗り越える具体策
    1. 1. Blazorにおける状態管理の全体像
      1. 1-1. コンポーネント内部状態
      2. 1-2. Cascading Parameters(カスケーディングパラメーター)
      3. 1-3. DI(依存注入)でサービスとして状態を共有
      4. 1-4. 外部ライブラリの状態管理パターン
    2. 2. WPFのViewModelとBlazorの状態管理の違い
    3. 3. 具体的な設計例:画面間で共有する「カート機能」の設計
      1. 3-1. WPFでの設計例
      2. 3-2. Blazorでの設計例
    4. 4. イベントとコマンドの違いを理解する
      1. 4-1. WPFのコマンドとは?
      2. 4-2. Blazorのイベント処理
    5. 5. 複数コンポーネント間の状態共有のポイント
    6. 6. WPF設計者が意識したいBlazor設計のコツ
      1. ✅ コンポーネントを小さく、単機能にする
      2. ✅ 状態はできるだけ局所管理、必要なら共有サービスへ
      3. ✅ CSS管理は早めに習熟する
    7. まとめ
  4. WPFからBlazorへの段階的移行とチームでの設計統一戦略
    1. 1. 実務でよくある課題:WPF資産をどう活かすか?
    2. 2. 段階的移行のパターン例
      1. 2-1. 並行運用パターン
      2. 2-2. 部分的Web化パターン
      3. 2-3. API分離・UI差し替えパターン
    3. 3. 移行時の設計ルール統一のコツ
      1. 3-1. 状態管理の統一基準を作る
      2. 3-2. コンポーネント設計の共通言語を持つ
      3. 3-3. デザイン・テーマの整合性
      4. 3-4. ドキュメントとコードレビューで設計意図を共有
    4. 4. チーム全体で「UI設計力」を高める仕組みづくり
      1. ✅ 定期的な技術勉強会を開催
      2. ✅ ペアプログラミングやコードレビューでナレッジ共有
      3. ✅ UI設計に関するガイドラインの整備
    5. 5. 移行で意識したい“設計の本質”を再確認
    6. 6. まとめ:未来を見据えたUI設計者としての進化

Blazor時代のUI設計:WPF設計者がどう乗り換えるか?

「WPFでの経験、どう活かせるんだろう?」と感じた瞬間

WPFを長年使ってきたあなたなら、こんな思いを抱いたことがあるかもしれない。

「Webも捨てがたいけど、UI設計はやっぱりWPFの方が自由で作りやすいよな…」
「でも最近は、会社でもBlazorとかReactの話が増えてきてるし…」

僕もまさにそんな気持ちからBlazorに飛び込んだ一人だ。
正直に言うと、最初は戸惑いも多かった。


Blazorって何?ざっくりまとめると…

  • Microsoftが提供する最新のWeb UIフレームワーク
  • C#で書けて、Webブラウザ上で動く(JavaScript不要)
  • Server-SideとWebAssemblyの2種類のホスティング方式がある
  • Razorコンポーネントという単位でUIを構成する

…WPFのXAMLとは違うけど、
「C#で書けるUI」という点は共通しているのが心強い。


でも、UI設計の本質は“変わらない”

たとえUI技術が変わっても、

  • 「ユーザー操作と画面の状態をどう整理するか」
  • 「コンポーネント(部品)の責任をどう切り分けるか」
  • 「再利用性・保守性をどう担保するか」

といったUI設計の根本的な課題は変わらない。

これは、WPFで経験した「MVVMの設計力」や「ResourceDictionaryでのテーマ管理」の経験が、
Blazorでもそのまま生かせるということだ。


乗り換えのハードルはある。でも、それを超えた先にあるメリットも大きい

  • Webアプリとしてデプロイが楽になる
  • モバイルも含めたクロスプラットフォーム展開が可能に
  • Microsoft製品との親和性が強く、Azureとの連携もスムーズ

こうした未来志向のメリットを享受しつつ、
WPFで培った設計力を武器に新技術に挑戦できるのは大きな強みだ。


このシリーズで扱うこと

このVol.6では、以下のポイントに沿って、

  • WPF設計者がBlazor UI設計で押さえるべき共通点と違い
  • コンポーネント設計の考え方と、状態管理のポイント
  • 実務でBlazorに移行する際の落とし穴と回避策

を、現場目線でじっくり解説していく。


なぜ今Blazorに注目すべきか?

Blazorはまだ「Web界隈の主流」とは言えないかもしれないが、
Microsoftが強力に推している技術であり、

  • C#と.NETの資産をWebへ持ち込める
  • 新規プロジェクトだけでなく、既存WPF資産との連携も進んでいる

という点で、**WPF設計者のキャリアにとって重要な“次のステップ”**となる。


まとめ:変わる技術、変わらない設計力

WPFからBlazorへの移行は、
コードの書き方やUI表現は変わるが、

「設計の本質=ユーザー体験をどう設計し、どう実装するか」

は不変であり、むしろ設計力を強化するチャンスでもある。

WPFとの違いを理解しつつ、BlazorのUI設計を攻略する

1. BlazorのUI構成:Razorコンポーネントの世界

Blazorでは、UIは「Razorコンポーネント」と呼ばれる単位で構成される。
これはWPFの「UserControl」や「CustomControl」に近い考え方だが、いくつか違いがある。


1-1. Razorコンポーネントとは?

  • .razorファイルとして実装され、HTMLとC#が混ざった記法で記述する
  • UIのレイアウト(HTML) と ロジック(C#) を一つのファイルで管理する
  • ネスト可能で再利用可能なUIパーツとして機能する

1-2. WPFとの比較ポイント

項目WPFBlazor
UI定義XAML(宣言的UI)Razor(HTML+C#混在)
UIとコードの分離XAML + CodeBehind/ViewModel一つの.razorファイルに両方記述
コンポーネント単位UserControl、CustomControlRazorコンポーネント
データバインディング双方向バインディング(TwoWay)双方向バインディング可能(bind)
スタイルResourceDictionaryCSS、Scoped CSS

2. MVVMに近いけど違う?Blazorの状態管理

WPFはMVVMパターンが鉄板で、
ViewModelに状態とロジックを分離するのが定石だ。

一方、Blazorはコンポーネント単位で状態を持ち、
状態の管理・更新はコンポーネント内で完結することが多い


2-1. 状態管理の考え方の違い

  • WPF
    • ViewModelは独立したクラスとして存在し、ViewはBindingだけする
    • コマンドやプロパティ変更通知で双方向連携
  • Blazor
    • コンポーネントがUIとロジックを併せ持ち、状態はプライベートフィールドやプロパティで管理
    • @bindディレクティブで双方向バインディング
    • 状態変更時は StateHasChanged() でUIを更新

2-2. MVVM的設計は可能?

もちろん、BlazorでもMVVM風の設計は可能だが、
必須ではないのが大きな違い。

  • 状態をViewModelクラスに分離し、DI(依存注入)で渡すこともできる
  • ただしコンポーネント自体がViewとViewModelの役割を兼ねることが多い

3. Razorコンポーネント設計のポイント

BlazorでのUI設計は「コンポーネント設計」が命。


3-1. コンポーネントの責任範囲を明確に

  • 1コンポーネント=1機能単位で設計
  • 親子関係で状態やイベントを受け渡す
  • State管理は可能な限り局所化

3-2. データの受け渡しはパラメーター経由

  • 親→子へは @Parameter 属性を使ってデータを渡す
  • 子→親へは、EventCallback を使い、イベントを通知

3-3. スタイル管理はCSS主体

  • WPFのResourceDictionaryとは違い、CSSやScoped CSSで見た目を管理
  • BlazorではCSS分離が原則なので、設計上はUIロジックとCSSを分けて管理する意識が必要

4. WPF設計者が意識すべきBlazorの“落とし穴”


4-1. UIとロジックの分離度が低い?

  • WPFに慣れた設計者は「UIとロジックは分離すべき」という意識が強い
  • Blazorではコンポーネント内にUIとロジックが混在しがちで、慣れないとコードが肥大化することも

4-2. 状態管理のスコープが狭いことに注意

  • 状態管理はコンポーネント単位が基本
  • 複数コンポーネントで状態を共有する場合はStateContainerやFluxパターンなどの導入が必要になる
  • これはWPFのViewModel共有とは違う考え方

4-3. CSSによるスタイル管理の慣れ

  • WPFのテーマやリソース辞書管理に慣れていると、CSS設計に戸惑う
  • BlazorではCSSのグローバル影響やスコープを理解し、CSS設計のベストプラクティスを学ぶ必要がある

まとめ:WPF設計者は「設計力」を武器にBlazorを攻略できる

  • WPFで培った「責任分割」「再利用性」「状態管理」の設計思考はBlazorに活きる
  • コード構成やUI定義の書き方は違うが、設計の本質は同じ
  • Blazor独特のポイント(コンポーネントの状態管理、CSS設計)に慣れれば、WebでもUI設計の力を発揮できる

Blazorでの状態管理とWPF設計の違いを乗り越える具体策

1. Blazorにおける状態管理の全体像

Blazorアプリは、UIの状態をいかに管理するかが設計のキモ。
WPFのMVVMのViewModelとは異なり、Blazorでは状態管理に複数のパターンが存在し、使い分けが必要だ。


1-1. コンポーネント内部状態

  • 最もシンプルな状態管理方法
  • コンポーネント内部のprivateフィールドやプロパティで状態を持つ
  • 状態更新時は StateHasChanged() を呼んでUIを再描画
  • 小規模な機能や画面単位の状態管理に適している

1-2. Cascading Parameters(カスケーディングパラメーター)

  • 親から深い子孫コンポーネントまで状態やサービスを渡せる仕組み
  • グローバルに近い状態や、テーマ情報などの共有に使われる

1-3. DI(依存注入)でサービスとして状態を共有

  • シングルトンやScopedライフサイクルの状態管理サービスを作成
  • 画面間や複数コンポーネントで状態を共有できる
  • ReduxやFlux風の状態管理を自作可能

1-4. 外部ライブラリの状態管理パターン

  • Fluxor、Blazor-State、Redux.NETなどの導入で大規模状態を管理
  • 大規模アプリに適し、状態の一元管理や履歴管理ができる

2. WPFのViewModelとBlazorの状態管理の違い


ポイントWPF MVVMBlazor状態管理
状態の保管場所独立したViewModelクラスコンポーネント内or状態管理サービス
UI更新通知INotifyPropertyChangedStateHasChanged()
状態共有ViewModelを複数Viewで共有DIサービスやCascading Parameterで共有
コマンド実装ICommandインターフェイス使用メソッドを直接イベントハンドラに紐付け
イベントの伝播DelegateCommandなどを利用EventCallbackで親子間イベント通知

3. 具体的な設計例:画面間で共有する「カート機能」の設計


3-1. WPFでの設計例

  • CartViewModelを用意し、商品追加・削除のロジックを実装
  • 複数Viewが同じCartViewModelインスタンスを参照
  • プロパティ変更通知でUI更新をトリガー

3-2. Blazorでの設計例

  • CartStateService というサービスクラスを作成し、DIでコンポーネントに注入
  • 商品追加・削除メソッドと状態保持用プロパティを実装
  • 状態変更時は NotifyStateChanged のようなイベントを発行し、登録コンポーネントが再描画
public class CartStateService
{
public event Action OnChange;

private List<Product> cartItems = new List<Product>();

public IReadOnlyList<Product> CartItems => cartItems;

public void AddItem(Product item)
{
cartItems.Add(item);
NotifyStateChanged();
}

public void RemoveItem(Product item)
{
cartItems.Remove(item);
NotifyStateChanged();
}

private void NotifyStateChanged() => OnChange?.Invoke();
}
  • コンポーネント側で OnChange イベントを購読し、状態変更時に StateHasChanged() を呼ぶ

4. イベントとコマンドの違いを理解する


4-1. WPFのコマンドとは?

  • ICommandを実装し、CanExecuteとExecuteメソッドでUIイベントを制御
  • ボタンの有効/無効状態とロジックを一元管理

4-2. Blazorのイベント処理

  • メソッドを直接UI要素にバインド(@onclick="OnClickHandler"
  • コマンドの概念はないが、ロジックで有効/無効を制御し、ボタンのdisabled属性を制御する

5. 複数コンポーネント間の状態共有のポイント


  • 状態共有はサービスとして切り出し、DIで注入するのが基本
  • EventCallback や Action を使い親子間でイベント通知
  • 深い階層にはCascading Parameterで状態を渡す
  • 状態管理ライブラリ導入も検討

6. WPF設計者が意識したいBlazor設計のコツ


✅ コンポーネントを小さく、単機能にする

  • WPFでUserControlを分割する感覚を活かす
  • Razorコンポーネントも粒度を細かくし、責務分離を徹底

✅ 状態はできるだけ局所管理、必要なら共有サービスへ

  • 状態をむやみに大きくせず、UIの局所で完結させる
  • 複数コンポーネントで必要な状態はサービスに切り出す

✅ CSS管理は早めに習熟する

  • スタイル管理はWPFとは違うので、CSSの基本とScoped CSSを学ぶ
  • 見た目の再利用はCSS設計から考える

まとめ

  • Blazorの状態管理は多様だが、WPFのMVVM経験は大きな武器になる
  • ViewModelと状態管理サービスの役割の違いを理解することが重要
  • イベント処理やUIの分割方法はWPF設計者のスキルが活きる
  • CSS設計に早めに慣れることもポイント

WPFからBlazorへの段階的移行とチームでの設計統一戦略

1. 実務でよくある課題:WPF資産をどう活かすか?

企業の既存システムは多くがWPFベースで、
「完全にBlazorに一気に切り替えるのは難しい」
という現場がほとんど。

そこで重要なのは、

  • WPF資産を最大限活かしつつ
  • 新規・将来機能をBlazorで開発する

という段階的な移行戦略だ。


2. 段階的移行のパターン例


2-1. 並行運用パターン

  • WPFとBlazorのアプリを別々に並行開発・運用
  • 新機能はBlazorで、既存機能はWPFのまま
  • 最終的にBlazorに機能移管を進める

2-2. 部分的Web化パターン

  • WPF内にWebView(Chromium Embedded Frameworkなど)を埋め込み
  • 一部画面・モジュールをBlazorで作成し、WebView経由で呼び出す
  • 段階的にWeb化を進める

2-3. API分離・UI差し替えパターン

  • ビジネスロジックは.NET Core Web APIとして共通化
  • UIはWPFとBlazorで別々に開発
  • 将来的にBlazorにUIを統一

3. 移行時の設計ルール統一のコツ


3-1. 状態管理の統一基準を作る

  • 両技術で状態の持ち方を比較・整理
  • 共有サービス設計やデータフローの基準をチームで定める

3-2. コンポーネント設計の共通言語を持つ

  • WPFのUserControlとBlazorコンポーネントの役割を対応付ける
  • 命名規則、責務範囲を明文化し共有

3-3. デザイン・テーマの整合性

  • カラー、フォント、アイコンなどのテーマ情報は共通化
  • CSSとResourceDictionaryの差異を橋渡しするルール作成

3-4. ドキュメントとコードレビューで設計意図を共有

  • 設計書・仕様書にWPF→Blazorでの考慮ポイントを明示
  • チーム全員が理解できるようレビュー基準を設ける

4. チーム全体で「UI設計力」を高める仕組みづくり


✅ 定期的な技術勉強会を開催

  • WPFとBlazorの設計・実装の違いをチームで学ぶ場を作る
  • 実例コードやトラブル事例を共有

✅ ペアプログラミングやコードレビューでナレッジ共有

  • 移行期は意識のズレが起きやすい
  • ペアでレビューしながら設計意図を伝える

✅ UI設計に関するガイドラインの整備

  • 設計思想、パターン、スタイルのルールブックを作成
  • 新人・外部メンバーもスムーズに参加可能に

5. 移行で意識したい“設計の本質”を再確認


  • UIはユーザー体験を作るための「手段」
  • 技術は変わっても、ユーザーの期待・操作フローは変わらない
  • 設計はユーザー視点を起点にすることが最重要
  • WPFで磨いた設計力を軸に、Blazorでもユーザー体験の質を高め続ける

6. まとめ:未来を見据えたUI設計者としての進化

  • WPF設計者はBlazorに乗り換えることで、Web/クロスプラットフォームのUI設計者へとキャリアアップできる
  • 移行は段階的に、設計ルール・チーム文化を整備しながら進めるのが成功の鍵
  • 技術に振り回されず、設計の本質を押さえ続けることが最大の武器になる

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