高揚感のあと、生活は続く。なぜ僕らは「生活の自動化」にこそ全力を注ぐべきなのか?
どうも!海外でC#とWPFを使って、日々UIと格闘しているITエンジニアです。
皆さんも今、「海外で働くぞ!」って決意を固めたり、あるいはもう内定ゲットして、ビザ申請の書類集めに奔走したりしている頃でしょうか。
いやー、分かります、その感じ。
僕もそうでした。新しい国、新しい挑戦、新しい技術スタック(まあ、C#は変わらなかったけど笑)。空港に降り立った時の、あの「やってやったぜ!」っていう高揚感と、ちょっとした不安が入り混じった独特の空気。あれ、最高ですよね。
家を決めて、ネットを引いて、近所のスーパーの場所を覚えて。最初の1〜2ヶ月って、新しいことだらけで、毎日が冒険みたいです。
でも、
ちょっと落ち着いてきた頃、だいたい3ヶ月目くらいからですかね。
急に「現実」が牙を剥いてきません?
「あれ、このビザって、入国後90日以内に現地の役所でなんか登録しなきゃいけなかったっけ?」
「そういえば、納税者番号(タックス・ファイル・ナンバーとか)って、どうやって申請するんだ?」
「銀行からなんか手紙来たけど、現地の言葉でびっしり書かれてて、何かの『お知らせ』なのか『警告』なのかサッパリわからん…」
そう。海外移住って、飛行機に乗って、家を借りたら「ゴール」じゃないんですよね。
むしろ、そこが「スタートライン」。
僕らエンジニアって、本質的に「非効率なこと」がキライな人種だと思うんですよ。
DRY (Don’t Repeat Yourself) の原則、好きですよね? 同じコードをコピペするの、なんか気持ち悪い。リファクタリングしたくなる。
なのに、生活においては、どうでしょう?
- 年に一度、必ずやってくるビザ(滞在許可証)の更新手続き。その度に「あれ、必要書類なんだっけ?」って移民局のサイトをイチから読み直す。
- 半年に一度くらい、忘れた頃にやってくる健康保険の支払い(あるいは更新)。
- 年に一度の確定申告(タックス・リターン)。「去年の領収書どこやったっけ…」「控除できる項目ってなんだっけ…」と、毎年同じことで慌てる。
- 現地の運転免許証への切り替え、その後の更新。
- アパートの契約更新。
- ゴミ出しのルール。今週は「燃えるゴミ」と「リサイクル」? 「粗大ゴミ」の申し込みってどうやるんだっけ?
こういうのって、ぶっちゃけ「生産性ゼロ」じゃないですか?
僕、WPFでデスクトップアプリの設計をよくやるんですけど、その時って「いかにユーザーの操作を減らすか」「どうやったら直感的に、ストレスなく目的を達成してもらえるか」って、UI/UXを死ぬほど考えるわけです。
なのに、自分の「生活UI」が、めちゃくちゃ使いにくいレガシーシステムみたいになってる。
ボタン(やるべき事)はやたら多いし、マニュアル(手続き方法)は分かりにくいし、しかも頻繁に仕様変更(ルールの改正)がある。最悪です。
海外に来た目的って、人それぞれだと思うんです。
新しい技術にチャレンジしたい。キャリアアップしたい。グローバルな環境で働きたい。現地の文化にどっぷり浸かりたい。家族との時間を大切にしたい。
その「本当にやりたいこと」のための時間、リソース、そして何より「メンタルの帯域幅(Mental Bandwidth)」が、こいう「どうでもいいけど、やらないと詰む雑務」に食いつぶされてる。
これって、バグですよね?
C#でコード書いてる時、バックグラウンドで重い処理が走りまくってて、肝心のUIスレッドがカクカクになったり、最悪フリーズしたりする。あの感じです。
「ビザ更新」とか「納税」っていう重い同期処理が、僕らの「メインスレッド(人生)」を定期的にブロックしに来る。
「今週末は新しいフレームワークの勉強しよう!」
「せっかくだから、現地のミートアップに参加してみようかな」
「家族でちょっと遠くの国立公園までドライブ行きたいね」
そう思ってたはずなのに、気づいたら「役所に提出する書類」を翻訳アプリ片手に読んでる。
「納税申告のやり方」をYouTubeで検索してる。
これ、修正(デバッグ)しませんか?
僕がこのブログで発信したいのは、まさにこれなんです。
「海外移住後の、めんどくさいけど避けられない生活タスク」を、いかにエンジニアらしく「自動化」「システム化」して、自分のメンタルリソースを守り抜くか。
一時的なハックじゃなくて、一度作ったら(あるいは最小限のメンテで)、継続的に自分を助けてくれるシステム。
僕が勝手に**「シームレス・ライフ・システム」**って呼んでるんですけど(笑)、その構築方法を、実体験ベースで共有したいんです。
この記事のテーマは「Post-Relocation: Sustaining the Seamless Life」。
つまり、「移住後も続く、途切れのないスムーズな生活」をどう維持するか、です。
「起承転結」の「起」である今回は、まず皆さんに「問題提起」をさせてもらいました。
あなたの貴重な時間が、生産性のない雑務に奪われていませんか?
そのせいで、本当にやりたかった海外生活の醍醐味を、味わい損ねていませんか?と。
もし「うわ、俺のことだ」「マジであの手続き面倒くさい」って少しでも思ってくれたなら、この記事は間違いなくあなたの役に立ちます。
「承」以降では、じゃあ具体的にどうやって、この「生活のデバッグ」を進めていくのかを、ガッツリ解説していきます。
例えば、
- 「タスク管理」じゃなくて「リマインダーの自動生成」システムの話。
- 現地での情報収集(特に駐在員コミュニティとか、ローカルのサービス)を、どうやって効率化するか。
- 僕が実際に使ってるツール(別に難しいもんじゃないです、皆さんが知ってるツールを組み合わせるだけ)の具体的な使い方。
などなど、すぐに真似できる「人生術」としての自動化ハックを紹介していきます。
僕らはエンジニアです。
非効率なプロセスは、改善(リファクタリング)しましょう。
自分の人生のメインスレッドが快適に動くように、バックグラウンド・プロセス(雑務)は最適化して、別スレッドに追いやりましょう。
そうやって確保した時間とメンタルで、海外生活っていう、この最高にエキサイティングな「新しいチャプター」を、心ゆくまで楽しもうじゃないですか。
生活のデバッグ、最初の一歩。なぜ「最強のカレンダー」こそが、僕らのメンタル帯域幅を守る最強のフレームワークなのか?
さて、前回の「起」では、「海外生活のめんどい雑務は『バグ』だ!」「僕らの貴重なメンタル帯帯域幅(メインスレッド)を圧迫する、重いバックグラウンド・プロセスだ!」という話をしました。
「わかるー!」って思ってくれた人も、「いや、大げさな」って思った人もいるかもしれません。
でも、年に一度のビザ更新の時期に、移民局のサイトがリニューアルされてて、申請フォームの場所が分からなくて半日溶かした経験、ありませんか?(僕はあります)
あの瞬間の「うわ、俺、今、何やってんだろ…」っていう虚無感。
あの時間があったら、C#の新しい非同期処理のパターンでも勉強できたかもしれないのに。
じゃあ、この「人生のバグ」をどうデバッグしていくか。
僕らエンジニアは、巨大なレガシーシステム(=海外生活の雑務)を前にしたとき、いきなり「全部書き換えるぞ!」とはなりませんよね。
まずは現状把握。そして、最もクリティカル(致命的)なバグから潰していくのが定石です。
海外生活における「クリティカル・バグ」って何でしょう?
それは、**「忘れると詰む(=法的トラブル、金銭的損失、最悪強制帰国)」**タスクです。
これらのタスクの最大の厄介な点は、**「低頻度・高インパクト」**なこと。
毎日やる作業じゃないんです。年に一回、とか、2年に一回。
だから、脳みそ(揮発性メモリ)から、いとも簡単に抜け落ちる。
そして、忘れた頃にやってきて、僕らの生活を「クラッシュ」させようとする。
これは、たまーにしか発生しないけど、放置するとOS全体を巻き込んでブルースクリーンになる、タチの悪いメモリリークみたいなもんです。
この「低頻度・高インパクト」バグに対する、最も確実で、最もローコストなソリューションは何か?
AI? ブロックチェーン?
いやいや、違います。
僕らがすでに持っている、最強のツール。
それは、**「カレンダー」と「リマインダー」**です。
「え、なに? 散々あおっておいて、ただのカレンダー?」
って思った人、ちょっと待ってください。
僕が言ってるのは、「ToDoリストを手で書き写す」っていう牧歌的な話じゃないんです。
僕らが作るべきなのは、
「忘れることを『前提』とした、未来のタスクの『自動登録』システム」
です。
思い出してください。
僕らの脳みそ(メモリ)は、信用できません。
特に、新しい環境でのコーディング、現地の言葉、新しい人間関係で、CPUもメモリも常にカツカツな状態です。
そんなところに「2年後のビザ更新」なんていうデータを置いておけるわけがない。
だから、「外部ストレージ(カレンダー)」に確実に永続化し、「必要なタイミング(数ヶ月前)」に「CPU(自分)」に対して強制的に「割り込み(リマインダー)」をかける仕組みを、一度だけ、最初にガチで構築するんです。
これが、フックで言った「Automate local registration processes, tax form reminders, and permit renewals(現地登録、納税フォームのリマインド、許可証更新の自動化)」の「核」となる考え方です。
具体的実装①:ビザ(滞在許可証)更新の「未来予約」
じゃあ、具体的にどうやるか。
例えば、あなたが2年間の就労ビザ(滞在許可証)をゲットしたとします。おめでとうございます!
移民局でカードを受け取ったその日、その足でカフェに入って、スマホを開いてください。
やることはこれだけです。
- カレンダー(Google CalendarでもOutlookでも何でもいい)を開く。
- 「2年後の有効期限日」を確認する。
- その「3ヶ月前」の日付に、新しいイベントを作成する。
- タイトル:
[最重要] [CRITICAL] 滞在許可証 更新手続き 開始- (なぜ
[CRITICAL]とか付けるか? 僕らエンジニアは、ログレベルで物事の重要度を判断するクセがあるからです。笑)
- (なぜ
- 終日イベントに設定。
- 繰り返し:
2年ごと(あるいはビザの有効期間ごと)- (これが「自動化」です。今回更新が成功したら、次の2年後も自動でリマインドされます)
- タイトル:
これで終わり? まさか。
これじゃ、3ヶ月前に「あ、そういえば」って思うだけです。
C#でTask.Run()で投げっぱなしにするくらい無責任です。awaitしましょう、ちゃんと。
4. 「通知(リマインダー)」を、これでもかというくらい追加する。
これが「シームレス・ライフ・システム」のキモです。
* `イベントの 3ヶ月前` (=つまり、半年前):
* 通知設定:`メール`
* 件名(メモ):`[予告] 3ヶ月後にビザ更新開始。そろそろ最新の必要書類を移民局サイトで確認すること。`
* `イベントの 1ヶ月前`:
* 通知設定:`メール` + `スマホ通知`
* メモ:`[準備] ビザ更新まであと1ヶ月。必要書類(会社の在籍証明書、納税証明書など)の収集を開始。写真撮影。`
* `イベントの 2週間前`:
* 通知設定:`スマホ通知`
* メモ:`[実行] オンライン申請フォーム入力開始。予約が必要なら取る。`
* `イベントの 1日前`:
* 通知設定:`スマホ通知`
* メモ:`[最終確認] 明日までに申請(または予約)を完了させる!`
* `イベント当日`:
* 通知設定:`スマホ通知`
* メモ:`[DEADLINE] 今日が3ヶ月前の日!申請終わったか?`
どうです?
これを、ビザを受け取った「高揚感」が残ってるうちに、たった1回だけ設定しておくんです。
これこそが「自動化」です。
**「未来の自分が、過去の自分に感謝する仕組み」を作ること。
これであなたは、次のビザ更新までの1年9ヶ月間、「あれ、ビザいつだっけ?」と考えるためのメンタルリソースを完全に開放(Dispose)**できます。
脳みそから、そのタスクを追い出せるんです。
同じことを、**「確定申告(Tax Return)」**でもやります。
現地の会計年度の締日、申告期限を調べて、「毎年繰り返す」イベントとして登録する。
もちろん、リマインダーは「3ヶ月前(領収書まとめ開始)」「1ヶ月前(申告作業開始)」「1週間前(最終確認)」と、多層的に仕込みます。
「運転免許証の更新」、「アパートの契約更新」、「健康保険の年間支払い」…
すべて同じです。
「低頻度・高インパクト」なタスクは、発生した(あるいは気づいた)瞬間に、未来のカレンダーに「自動リマインダー付き」で放り込む。
これが、僕らが構築すべき「シームレス・ライフ・システム」の**基盤(フレームワーク)**です。
具体的実装②:情報収集(コミュニティ)の「自動キュレーション」
さて、「忘れると詰む」タスクは、カレンダー・フレームワークで対応できました。
でも、海外生活の「バグ」はそれだけじゃありません。
フックの二つ目、「tools for connecting with expat communities and local services(駐在員コミュニティや現地サービスと繋がるツール)」の話です。
海外生活でストレスが溜まるもう一つの要因。それは**「情報不足」あるいは「情報過多(ノイズ)」**です。
- 「あの日本食スーパー、今週からセールだったんだ…知らなかった」
- 「え、このエリアで最近、こんな犯罪が多発してるの?」
- 「あの銀行、外国人は口座維持手数料が上がるってよ」
こういう情報、どうやってキャッチアップしてますか?
現地の日本人向けFacebookグループ? LINEのオープンチャット?
確かに、そういうコミュニティは超重要です。僕も入ってます。
でも、
正直、ノイズ多くないですか?
「今日のランチ、これ食べました(写真パシャー)」
「うちの猫が可愛すぎる(動画)」
「日本が恋しい…(ポエム)」
いや、いいんですよ、それもコミュニティの醍醐味ですから。
でも、僕らが知りたい「クリティカルな情報(ビザの仕様変更、治安情報、お得な制度)」は、そういう日常の投稿の波に、あっという間に流されていく。
結果、どうなるか。
「大事な情報を見逃すまい」と、無意識にSNSを**「巡回(ポーリング)」**してしまうんです。
それこそ、C#で書いたダメなコードみたいに、while(true)でThread.Sleep(1000)しながら、変化がないか無限ループでチェックし続ける。CPUの無駄遣い!
僕らがやりたいのは、**「イベント・ドリブン」**な情報収集です。
「必要な情報が発生した時だけ、通知(イベント)を受け取る」仕組み。
これも「自動化」の思想です。
- RSSリーダー(Feedlyなど)の活用:
- まずは「公式情報」を自動で集約します。
- 「現地移民局のニュースリリース」
- 「在住国の日本領事館からのお知らせ」
- 「現地の主要ニュースサイト(の国際・政治セクションだけ)」
- これらのサイトがRSSを配信していたら、即登録。これで、自分からサイトを見に行かなくても、更新情報が一覧で手に入ります。
- キーワード・アラート(Google アラートなど):
- 「[自分の住んでる街] + [治安]」
- 「[自分のビザの種類] + [変更]」
- 「[現地の言葉] + [税制改正]」
- こういうキーワードを登録しておけば、Web上に新しい情報が出たらメールで教えてくれます。
- コミュニティ情報の「フィルタリング」(ちょっと上級者向け):
- もし、利用しているコミュニティ・プラットフォーム(Facebook, Slack, Discordなど)がAPIや外部連携(IFTTT, Zapier)に対応しているなら、ラッキーです。
- 特定のキーワード(例:「ビザ」「更新」「納税」「警察」「泥棒」)を含む投稿があった場合のみ、自分のプライベートなSlackチャンネルやDiscordサーバーに通知を飛ばすように設定します。
- これがフックの言う「
curated resource lists(厳選されたリソースリスト)」の自動生成です。ノイズだらけのタイムラインから、自分に必要な情報だけをフィルタリングして、専用のリストを作るわけです。
SNSのタイムラインを「眺めに行く(プル型)」のをやめ、必要な情報だけを「送ってもらう(プッシュ型)」ように切り替える。
これもまた、僕らの貴重なメンタル帯域幅を、日々のノイズから守るための、重要な「デバッグ作業」なんです。
さて、「承」では、生活のバグを潰すための「基盤(フレームワーク)」として、
1.「忘れる」を前提とした、カレンダーによる「タスクの未来予約」
2.「ノイズ」を前提とした、RSSやアラートによる「情報の自動キュレーション」
という、2つの具体的なアプローチを紹介しました。
これらは、いわばWPFアプリでいうところの.NET Frameworkや、ベースとなるWindowクラスみたいなものです。
これだけでも、だいぶ生活の「クラッシュ」は防げるようになります。
でも、本当に「シームレス(途切れのない)」で快適な生活(アプリ)を作るには、この基盤の上に、さらに具体的な「実装(コード)」と「便利なライブラリ(ツール)」を組み込んでいく必要があります。
「転」では、いよいよ、この基盤の上に、さらに強力な「自動化ロジック」を構築していきます。
例えば、
- カレンダーに登録した「ビザ更新」イベントに、「去年の申請書PDF」「移民局サイトのURL」「手続きのメモ」をどうやって紐づけて、ワンクリックで参照できるようにするか?(NotionやEvernoteの真価)
- 日々発生する「領収書(確定申告用)」を、どうやってスマホで撮るだけで自動で集約・管理するか?
- もっと能動的な、エンジニアらしい「自動化」とは何か?
次回は、さらにディープな「生活リファクタリング術」に踏み込みます。お楽しみに!
生活UIのリファクタリング。なぜNotion(あるいは、あなた専用のDB)と「非同期処理」が、最強の「人生のフレームワーク」なのか?
前回の「承」では、「忘れると詰む」系のクリティカル・バグ(ビザ更新、納税申告など)を潰すために、最強の基盤(フレームワーク)として「カレンダー」を導入しよう、という話をしました。
「発生した瞬間に、未来のカレンダーに多層リマインダー付きでぶち込む」
これで、僕らの脳み(揮発性メモリ)は、年に一度のタスクから解放され、OS(生活)が突然クラッシュする危機は脱しました。
いわば、ガチガチに例外処理(try-catch)を仕込んだ、防御的プログラミングが完了した状態です。
でも、
これだけじゃ、まだ「快適」とは言えませんよね?
WPFで例えるなら、Window(カレンダー)を一個ドンと置いて、そこにTextBlock(ビザ更新)を配置しただけ。クラッシュはしないけど、超使いにくい。
「で、ビザ更新って、具体的にどうすんの?」っていう「実装」が、何もない状態です。
いざ3ヶ月前になって、カレンダーから「[CRITICAL] ビザ更新やれ!」って通知(割り込み)が飛んできたとしましょう。
その時、あなたがどうなるか。
「うお、来たか…」
「で、えーっと、移民局のサイトのURLって、どこだっけ?」
「去年提出した申請書の控え(PDF)、どのフォルダに保存したっけ…?」
「あれ、会社の在籍証明書って、誰に頼むんだっけ? 人事部のAさん? Bさん?」
…結局、これです。
カレンダーは「いつやるか(When)」は教えてくれたけど、「何を(What)」と「どうやって(How)」を教えてくれない。
結果、僕らのCPU(脳みそ)は、またしても「情報検索」という名の重い処理で占有されてしまう。
これ、ダメですよね。設計がイケてない。
エンジニアリングの世界で、僕らが忌み嫌う状態。
「情報(設定値)が、あちこちに分散している」
からです。
URLはブラウザのブックマーク、PDFはローカルPCの「ダウンロード」フォルダ、手順メモは頭の中(あるいは去年のメール)、担当者名はチャットのログ…。
これ、メンテナンスできますか? できませんよね。
「転」のテーマは、このイケてない「生活UI」の本格的なリファクタリングです。
僕らエンジニアが得意な「設計パターン」を、リアルな生活に導入していきます。
具体的実装③:「単一情報源(Single Source of Truth)」の構築
ソフトウェア設計に「単一責任の原則(Single Responsibility Principle)」があるなら、生活設計には**「単一情報源の原則(Single Source of Truth, SSOT)」**が必要です。
「ある情報に関する『正』は、必ず一箇所にのみ存在する」
この状態を作ります。
ビザ更新に関する情報は、すべて「ある場所」を見れば揃う。
納税に関する情報は、すべて「ある場所」を見れば揃う。
この「ある場所」を作るのに、僕が最強だと思ってるツールが、Notion(あるいはOneNoteでもEvernoteでも、あなたが好きなWiki/DB系ツールなら何でもOK)です。
僕がやってる具体的な実装(Notionの使い方)は、これです。
- 「🌎 海外生活ダッシュボード」という名前のページを作る。
- その配下に、データベース(またはただのページ)で、生活のドメイン(領域)ごとにページを作る。
[ビザ・移民局][納税・タックス][銀行・金融][住居・インフラ](家賃、光熱費、ネット契約など)[健康・医療](保険証、病院リスト)[車・交通](免許証、車両登録)
- 「[ビザ・移民局]」のページを「実装」していく。ここが最重要です。このページに、未来の自分が参照する「すべて」を書き込みます。
- プロパティ(メタデータ):
ビザの種類:(例: “技術・人文・国際業務”)現在の有効期限:(例: “2027-12-01”)ビザ番号:(例: “AB123456”)
- 本文(ここが「実装」):
[最重要] 公式サイトURL:https://[移民局のビザ更新ポータルのURL]
[手順メモ] 未来の自分へ:- (ここをガチで書く。コードのコメント以上に丁寧に!)
1. まず、↑のURLからログインする。2. 去年は「更新申請(Update)」っていうボタンがマイページの右上にあった。3. 必要な書類は、確か以下の3点だった(2025年時点):① 在籍証明書(これは会社のHRのCさんにSlackで依頼)② 納税証明書(これは市の役所のサイトからオンラインで取得可)③ 顔写真(駅前の証明写真機でOK。データも貰うこと)
4. オンラインフォームの「所属部署」の欄は、英語の正式名称(xxx Department)で書かないとエラーになったから注意。
[過去の申請書類(控え)]- (ここに、前回提出した申請書のPDFをドラッグ&ドロップでアップロードしておく)
- (あるいは、OneDriveやGoogle Driveに置いて、その共有リンクを貼る)
- プロパティ(メタデータ):
どうです?
これを、ビザ更新が「終わった直後」、記憶が新しいうちに5分だけ使って、書き殴っておくんです。
「未来の自分、これ読めば分かるだろ」っていうレベルで。
- 「カレンダー」と「Notion」を「データバインディング」する。お待たせしました。ここで「承」で作ったカレンダーと繋ぎます。WPFでいうところのBindingです。
- 「承」で作った、カレンダー上の「[CRITICAL] 滞在許可証 更新手続き 開始」イベントを開く。
- イベントの説明(詳細)欄に、今作ったNotionページの「URL」を、一行だけ、ペッと貼る。
httpsDENOTION.SO/XXXXXX...
さあ、これで「自動化」が完成しました。
未来、何が起きるか、シミュレーションしてみましょう。
- ビザ更新の3ヶ月前、あなたのスマホに通知が来る。「[CRITICAL] ビザ更新やれ!」
- あなたは「うわ、来たか」とカレンダーを開く。
- 説明欄に、見慣れたNotionのURLが貼ってある。あなたは脳死でそれをクリックする。
- Notionが開く。そこには、
- ログインすべき「URL」
- 去年の自分が書いた、懇切丁寧な「手順メモ」
- 参考資料としての「去年の申請書PDF」
- 「誰に」「何を」頼むべきかの「ToDo」
- が、すべて揃っている。
あなた(のCPU)は、「何するんだっけ?」と情報を探しまわる「重い検索処理」から完全に解放されました。
ただ、Notionに書いてある「手順メモ」という名の「仕様書」を読んで、その通りに「実行(Execute)」するだけ。
これこそが、フックにあった「Showcase how to automate local registration processes(現地登録プロセスの自動化)」の、僕なりの回答です。
「タスクの実行(How)」と「タスクの存在(When)」を分離し、SSOT(Notion)で一元管理。カレンダー(When)からSSOT(How)へ、URL一本で繋ぎこむ。
これが、僕の「生活UI」の基本設計です。
納税も、免許更新も、全部このパターンで実装しています。
具体的実装④:雑務の「非同期・バッチ処理」化
さて、設計パターンはもう一つあります。
生活には「低頻度・高インパクト」(ビザ)なタスク以外に、**「高頻度・低インパクト」**な雑務も大量にあります。
代表格が、**「領収書(レシート)管理」**です。
年に一度の確定申告(タックス・リターン)で必要。
でも、一枚一枚はただの紙切れ。
最悪のパターン(同期処理)は、財布がレシートでパンパンになり、年に一度、その「レシートの山」という名の「巨大な非効率データ」を、机に広げて、手で電卓を叩いて入力していく作業。
考えただけで、メインスレッド(人生)がフリーズしそうです。
これも、エンジニアリングの力で解決しましょう。
C#で重いファイルI/OをUIスレッドでやったら、アプリが固まってユーザーに怒られますよね?
どうしますか?
Task.Run()とか使って、**「非同期(Async)」**でバックグラウンド・スレッドに投げますよね?
それ、リアルでもやりましょう。
- 「イベント発生(領収書ゲット)」
- カフェでコーヒーを飲んだ、備品を買った。領収書(レシート)をもらいます。
- 「UIスレッドでの処理(最小限)」
- 財布にしまう? **ダメです。**財布は揮発性メモリです。
- スマホを取り出し、スキャンアプリ(Microsoft Lens, Adobe Scan, なんでもいい)を起動する。
- 領収書を撮影(スキャン)する。
- 「バックグラウンド・スレッドへ(非同期処理)」
- スキャンアプリには、だいたい「撮影したら、自動で指定のクラウドストレージにPDFとして保存」する機能が付いてます。
- 僕は、OneDriveに「
Tax_Return_2025」みたいなフォルダを作って、そこに全部、自動で放り込まれるように設定しています。 - (メールで来る領収書(AWS代とか)も、Gmailフィルタで自動的にこのフォルダに転送、あるいはラベル付けします)
UIスレッド(あなたの意識)がやったのは、「スマホで撮る」という10秒の作業だけ。
撮った瞬間、あなたの脳みそは、その領収書のことを忘れていい(Disposeしていい)。
あとは、バックグラウンド(クラウド)で、データが「キュー」のように勝手に溜まっていきます。
- 「バッチ処理(年に一度)」
- さて、年に一度の確定申告の時期が来ました。
- 「承」で作ったカレンダーが「納税申告やれ!」と通知してきます。
- あなたは「お、来たか」と、OneDriveの「
Tax_Return_2025」フォルダを開きます。 - そこには、この1年間にあなたが非同期で投げ込みまくった領収書PDFが、時系列で「勝手に」溜まっています。
探す手間、ゼロ。
「あの領収書どこだっけ?」というストレス、ゼロ。
あなたは、ただフォルダ内のPDFを上から順に処理(入力)していくだけ。
「高頻度」なタスクは、「発生した瞬間にキャプチャして、非同期でキューに投げ、未来の自分がバッチ処理する」
これが、僕が実装している「雑務の非同期処理」パターンです。
「転」では、「単一情報源(SSOT)」と「非同期・バッチ処理」という、エンジニアなら馴染み深い2つの設計パターンを、リアルな海外生活に「実装」する方法を紹介しました。
「承」で作った「カレンダー」というOS(基盤)の上に、
「Notion」という「データベース(SSOT)」を構築し、
「スキャンアプリ」という「非同期I/Oライブラリ」を導入した。
これで、僕らの「生活アプリ」は、クラッシュしないだけでなく、かなり「快適」に、サクサク動くようになってきました。
「結」では、フックの最後に残った、一番大事な話をします。
「Emphasize the ongoing benefit … freeing up mental bandwidth to truly enjoy the new global chapter.(継続的な利益を強調し、メンタル帯域幅を解放して、新しいグローバルな章を真に楽しむ)」
つまり、こうして僕らが必死に「自動化」「リファクタリング」して確保した、貴重な「メンタル帯域幅(リソース)」を、一体、何に使うべきなのか?
そして、この「生活システム」自体を、どうやって「継続的に改善(メンテナンス)」していくのか?
次回、最終回。このブログで一番伝えたい「人生術」の話をします。
あなたは、雑務を処理するために海を渡ったんじゃない。人生の「メインスレッド」を解放し、最高の「グローバル・チャプター」を実装しよう。
どうも、C#とWPFと格闘中のエンジニアです。
さて、長い旅でした。
「起」では、海外生活の面倒な雑務は「バグ」であり、僕らのメンタル帯域幅という貴重なリソース(メインスレッド)を圧迫する「重い同期処理」だと問題提起しました。
「承」では、そのバグの中でも最もクリティカルな「ビザ更新」や「納税申告」といった「低頻度・高インパクト」なタスクに対し、カレンダーと多層リマインダーという「最強の基盤(フレームワーク)」を導入しました。これで、OS(生活)の突然のクラッシュは防げます。
「転」では、さらに一歩進んで、この「生活アプリ」の本格的なリファクタリングに着手しました。
Notionによる「単一情報源(SSOT)」の構築。カレンダーとNotionをURLで「データバインディング」し、未来の自分が「何を」「どうやるか」で迷わないUIを設計しました。
さらに、「領収書」のような「高頻度・低インパクト」な雑務は、スキャンアプリによる「非同期・バッチ処理」化。
これで、僕らの「生活アプリ」は、クラッシュしないだけでなく、かなりサクサク快適に動作するようになりました。
…で?
僕らは、何のためにこんなことをしてきたんでしょうか?
「生活を自動化する」こと自体が目的だったんでしょうか?
Notionのページをキレイに作って、「俺の生活ダッシュボード、イケてるだろ?」って自己満足するため?
違いますよね。
そんなのは、手段でしかありません。
このブログ記事で使った、ユーザーが指定してくれたフック(お題)の最後の一文。
これが、今回の「結」であり、僕がこの長い記事で伝えたかった「すべて」です。
“Emphasize the ongoing benefit of these systems, freeing up mental bandwidth to truly enjoy the new global chapter.”
(これらのシステムの継続的な利益を強調し、メンタル帯域幅を解放して、新しいグローバルな章を真に楽しむ)
そう。
僕らが必死こいて「自動化」「システム化」してきた、たった一つの目的。
それは、**「メンタル帯域幅を解放(Dispose)するため」**です。
僕らの脳みそ、僕らの意識、僕らの「集中力」。
この、一日に使える総量(キャパシティ)が決まっている、超・貴重なリソース。
この「CPU」を、「ビザいつだっけ?」「領収書どこだっけ?」「納税どうやるんだっけ?」っていう、クソどうでもいいバックグラウンド・プロセス(雑務)から、解放するためです。
解放された「メンタル帯域幅」で、僕らは何をするのか?
じゃあ、こうして必死に捻出して、確保した「メンタル帯域幅」で、僕らは何をすべきなのか?
決まってますよね。
「あなたが、その国に来た『本当の目的』」
に、全振り(フルコミット)するんです。
あなたが、わざわざ慣れない土地に来て、言葉の壁と戦いながらも、手に入れたかったものは何ですか?
- エンジニアとしての爆発的な成長じゃないですか?
- C#の新しいバージョン、.NETの新しいフレームワーク(MAUIとか?)、WPFのさらに奥深い設計パターン(PrismとかMVVMの神髄とか)を、とことん突き詰める時間。
- 業務で使ってる技術だけじゃなく、PythonやGo、あるいはクラウド(Azure, AWS)の新しいサービスをキャッチアップして、自分の市場価値をぶち上げるための学習時間。
- 現地のトップエンジニアたちと、ミートアップやカンファレンスで(拙い英語でもいいから)議論して、日本では得られない「視点」を手に入れること。
- グローバルな「キャリア」の構築じゃないですか?
- 目の前の設計・開発タスクを完璧にこなすだけじゃなく、チームの生産性を上げるための「提案」をしたり、新しいアーキテクチャを設計したりする時間。
- 次のキャリア(シニアエンジニア、テックリード、あるいはマネジメント)を見据えて、上司と1on1で深い話をしたり、社内のネットワーキングを広げたりすること。
- **人生を豊かにする「体験」**じゃないですか?
- その国でしか見られない絶景を、週末に家族や友人と見に行く時間。
- 現地の言葉を本気で勉強して、ローカルのレストランで店主と冗談を言い合えるようになること。
- 新しくできた趣味(サーフィンでも、ワインでも、美術館巡りでもいい)に、没頭する時間。
- あるいはシンプルに、平日の夜、面倒な雑務に一切煩わされず、大切な人とゆっくり食卓を囲む、穏やかな時間。
僕らは、「納税申告書を完璧に仕上げる」ために海を渡ったんじゃない。
「移民局のWebサイトの仕様変更に、誰よりも早く気づく」ために来たんでもない。
僕らが本当にやりたい「メインスレッド」は、これら(成長、キャリア、体験)のはずなんです。
「ビザ更新」や「納税申告」が、僕らの「メインスレッド(人生)」を定期的にブロックし、フリーズさせる。
そんな設計は、もう終わりにしましょう。
「生活の自動化」とは、最強の「自己投資」です。
一度システムを構築すれば、そのリターン(=解放されたメンタル帯域幅)は、この先、海外に住み続ける限り「毎年」発生し続けます。
こんなに利回りの良い投資、他にありますか?
ソフトウェアと同じ。この「生活システム」も、「保守」し、「改善」し続ける
さて、最後にもう一つだけ。
エンジニアの皆さんなら、もうお気づきですよね。
僕らが「転」までに構築したこの「シームレス・ライフ・システム」。
これ、一度作ったら「永久に」動くものでしょうか?
動きませんよね(笑)
ソフトウェア開発に「終わり」がないのと同じです。
「外部環境(API)」は、勝手に仕様変更してきます。
- 移民局のサイトがリニューアルされて、URLが変わった。
- ビザ更新に必要な書類が、今年から一つ増えた。
- 納税のルールが変わって、控除項目が変更された。
こういう「仕様変更」は、必ず、起きます。
ここで、この「システム」を持っている人と、持っていない人の差が、決定的に開きます。
システムを持っていない人(=脳みそに記憶してる人)
「え、なんかルール変わったらしい」と慌てて、またイチから、Googleで検索し直しです。
「去年はどうやったっけ?」という知識(キャッシュ)は、古くて役に立たず、破棄されます。
そして、膨大な時間(CPU)を使って、新しい仕様を再学習し、なんとかその場を乗り切る。
これ、毎年やってませんか?
システムを持っている人(=NotionにSSOTを構築した人)
「お、ルール変わったな」と気づいたら(あるいはカレンダーのリマインドで気づいたら)、
まず、自分のNotionの「[ビザ・移民局]」ページを開きます。
そして、**その「手順メモ」を、新しい仕様に合わせて「書き換える」**だけです。
- 古いURLを、新しいURLに修正する。
- 「必要な書類」のリストに、一つ追記する。
- 「未来の自分へ」のメモに、「2026年から、このフォームも必要になったから注意!」と一行書き足す。
これだけ。
これが「システムを保守(メンテナンス)する」ということです。
ゼロから調べるコストが「100」だとしたら、
差分だけを更新するコストは「5」か「10」で済みます。
これこそが、フックの言う**「Ongoing benefit(継続的な利益)」**です。
一度作った資産(システム)が、最小限のメンテナンスコストで、未来永劫、あなたを助け続けてくれる。
あなたは、毎年「100」のコストを払い続けますか?
それとも、最初の構築コスト「50」と、毎年の保守コスト「10」を払って、残りの「90」のリソースを、あなたの「メインスレッド」に投資しますか?
いますぐ、あなたの「人生のデバッグ」を始めよう
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
僕が伝えたかったことは、全部伝えました。
これは、小手先の「ライフハック」じゃないんです。
僕らエンジニアが、日々、仕事でやっている「設計」「実装」「テスト」「リファクタリング」という最強の思考ツールを、自分自身の「人生」という名の、最も重要なプロジェクトに応用しようぜ、という「人生術」の提案です。
あなたの「人生のメインスレッド」は、雑務(バックグラウンド・プロセス)なんかに邪魔させていいほど、安っぽくありません。
あなたは、もっとクリエイティブで、もっと価値のある「実装」をするために、今、ここにいるはずです。
全部を一気にやろうとしなくていいです。
まずは、今日、この記事を読み終わったら、
あなたのカレンダーを開いて、
「次のビザ(滞在許可証)の有効期限日」
を確認してください。
そして、その「3ヶ月前」の日付に、[CRITICAL] ビザ更新開始というイベントを、
繰り返し:[あなたのビザの年数]ごと
で、登録してみてください。
説明欄に、Notionの新規作成ページのリンクを貼るところまでできたら、完璧です。
それが、あなたの「シームレス・ライフ・システム」構築の、最初の一歩(git init)です。
あなたの「新しいグローバル・チャプター」が、雑務に煩わされない、最高にエキサイティングなものであり続けることを、心の底から願っています。
僕も、僕のシステムを保守しながら、C#とWPFと格闘し続けます。
お互い、楽しんでいきましょう!
最後まで読んでくれて、ありがとうございました!

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