海外で働き始めたばかりの頃、正直「英語が聞き取れない」よりも、もっと深刻な悩みがあった。
——“脳がすぐに処理落ちする” という問題だ。
ミーティングで英語を聞き取りながら内容を理解し、技術的な課題をその場で判断し、さらに自分の意見まで組み立てる。
やることが一気に押し寄せてくる、その瞬間に思った。
「これ、言語の問題というより脳のスペックが追いついてないわ……」
日本で働いていたときは、ドキュメントもメールも日本語。
会議は前提も共有されているし、途中で考えが詰まっても何とかなる空気がある。
でも海外ではそうはいかない。
一度頭がフリーズしたら、そこから会話に戻るのはほぼ不可能。
「Sorry, what was that?」なんて言ってる時点で流れはもう過去形だ。
■「記憶できない」「集中が続かない」=技術力が伝わらない
最初の数ヶ月、こんなことが続いた。
- 仕様レビューの会議で、意見を言おうとして内容を忘れる
- 複雑なバグの原因を説明したくても、頭が情報を保持できない
- 朝は集中できても、午後にはもう“脳のガス欠”
その結果どうなるか?
技術力以前に、“信頼を得るチャンス”を逃し続ける。
これはショックだった。
「英語が話せれば大丈夫」だと思っていたけれど、本当の壁はそこじゃない。
“脳のメモリ管理”と“処理速度” だったんだ。
■ 正直、知っておきたかった。「脳を鍛える=エンジニアの武器」
ある日、チームリードに言われた言葉が頭から離れない。
“It’s not about knowing more. It’s about recalling fast.”
(たくさん知ってるかじゃない。瞬時に取り出せるかだ)
この言葉でハッとした。
自分は知識を溜め込むことばかり意識していた。
本、技術記事、Udemy…。
でも勝負の場で必要なのは、「その知識を瞬時に取り出す力」 だった。
■ つまり、こういうこと
海外の現場で生き残っていくためには、
“脳を鍛える”ことはスキルアップじゃなく、サバイバル戦略。
そしてこれには、意外にも**科学的な「脳のチューニング方法」**が存在する。
脳の“ワーキングメモリ”を強化する方法、
集中力の“スイッチ”を作る習慣、
アイディアを瞬時に引き出す記憶法…。
どれも努力とか根性ではない。
道具のように、仕組みとして使える。
なぜ僕たちの脳はフリーズするのか? 〜海外エンジニアが直面した“見えない壁”〜
「脳が追いつかない」。
海外に出て最初に感じた“敗北感”は、英語ではなかった。
それは、情報の処理スピードに対する無力感 だった。
🔍 原因①:英語ではなく、ワーキングメモリの限界だった
最初はこう思っていた。
“英語さえ上達すれば、ミーティングでもっと話せるようになるはずだ。”
でも半年経っても改善しない。
単語は聞き取れるようになったのに、内容がまとまらず、意見が出てこない。
そこで初めて知ったのが、“ワーキングメモリ(作業記憶)” の存在だ。
脳内で一時的に情報を保持しながら、思考や判断をする力のこと。
これはPCで言うならRAM(メモリ)。
知識(ストレージ)がどれだけあっても、このメモリが小さいと処理は止まる。
✅ 英語×技術 = ワーキングメモリを一気に消費するコンボ
つまり、英語力ではなく「脳のメモリ不足」が、思考停止の正体だった。
🧪 原因②:情報は理解しているのに、“取り出せない”問題
海外の同僚にこう言われたことがある。
“I know you know. But you need to show you know.”
(わかってるのは知ってる。でも、それを見せないと伝わらないんだ。)
この言葉に刺された。僕は理解しているのに、言語化がワンテンポ遅れていた。
――その原因は、“想起力(Recall Power)” にあった。
- 新しいAPIを理解しても、説明する段階で「あれ?なんだっけ?」
- 設計レビューで反論を思いつくが、言葉になる前に議論が進む
- 「Good point. Anything to add?」と言われ、頭が真っ白
知識はある。でも、瞬時にアウトプットする筋肉がない。
これは筋トレしていないのにベンチプレスを上げようとしてる状態だった。
⏳ 原因③:「集中力」は続けるものじゃなく、”入るもの”だと知らなかった
日本にいた頃、集中は“根性”の問題だと思っていた。
「よし、集中しよう」→ コーヒー → 気合い → 30分後に通知で死亡。
でも海外の現場では、常に刺激が多い。
Slack、Zoom、急な呼び出し。集中が途切れるのが日常。
そこで気づいた。
❌ 集中=意思の力で続けるもの
✅ 集中=正しい手順で“入る”もの
外国人の同僚たちは、定時に「Deep Work Time」と書かれたブロックをスケジュールに入れていた。
通知オフ、席を立ち、同じルーティンをしてから作業に入る。
それはまるで、アスリートが試合前にルーティンを踏むように、脳を“集中モード”に切り替える儀式だったんだ。
😵 典型的な「脳エラー」体験集(全部、僕がやらかした)
| 現象 | 海外現場でのリアル |
|---|---|
| Memory Crash | ミーティング内容を保持できず、「Sorry, say again?」を連発 |
| Recall Lag | 理解してるのに言葉になるまで3秒、議論はもう過去形 |
| Focus Drift | 午後になると、画面の文字がただの線に見える |
これらはスキル不足ではなく、脳のパフォーマンス設定が日本仕様のままだったからだ。
✋ ここで一度、誤解を訂正しておきたい
「それって生まれつきの頭の良さでしょ?」
違います。断言します。
脳科学が証明しているのはこうだ。
🧠 脳のワーキングメモリ、集中の持続、記憶力 —— どれも鍛えられる
しかもそれは、IQに関係ない“習慣と仕組みの問題”。
海外の優秀なエンジニアたちは、単に技術だけではなく
“脳をメンテナンスする方法” をシステムとして持っていた。
🔄 僕が試して効果を実感した「脳アップグレード」への3ステップ
※ここからがこのシリーズの本質。承ではその背景を紹介。
| ステップ | アップグレードする能力 |
|---|---|
| Step 1 | 記憶の取り出し力(Recall) |
| Step 2 | 集中のスイッチ(Deep Focus) |
| Step 3 | 思考の整理力(Cognitive Clarity) |
この3つをカスタマイズすれば、
英語×技術という負荷環境でも、頭をフリーズさせずに戦えるようになる。
脳をチューニングする——記憶・集中・思考を武器に変える実践ハック
海外エンジニアとして働き始めて気づいたのは、
**優秀なエンジニアほど「自分の脳をチューニングしている」**という事実だ。
ツールより前に、IDEより前に、
まず “頭のOS設定” を整えてから仕事に入る。
最初は「なんかこいつら儀式やってるのか?」くらいに見てたけど、
やってみて分かった。
これは戦闘準備だ。
ここからは、僕が海外で実践してきた 「Recall(記憶)」「Focus(集中)」「Clarity(思考)」 の3領域で
“仕事の結果に直結した方法”を共有する。
🧠 1️⃣ RECALL ─ 忘れない脳:記憶を“取り出す”筋肉を鍛える
「覚える」ではなく、「取り出せる」ことが重要。
以下、僕が最初に導入した“記憶回路の再構築”テク。
🔁 ■ Active Recallメソッド(受動ではなく、能動で覚え直す)
やり方はシンプル。でも効果は爆発的。
| Before | After(Active Recall導入後) |
|---|---|
| 英語記事を3回読む | 一度読んだら、閉じて“思い出す” |
| 理解した“つもり”止まり | 頭から再現=記憶として定着 |
| 読み返しても自信なし | 書き出せれば自信のある記憶 |
僕の実践例(ミーティング前の準備)
- 読んだ仕様書を閉じる
- → 白紙にキーワードだけ自力で書き出す
- → スキマを埋めるように再確認
たったこれだけで、発言時の「言葉が出ない」が激減した。
🎯 ■ “会議3ポイントメモ”戦術(覚えるのは3つで十分)
昔の僕:全部覚えようとして全部忘れる
今の僕:3つに絞り、戦略的に覚える
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 🎯 POINT 1 | 一番言いたい自分の主張 |
| 🤔 POINT 2 | 相手に聞く質問 |
| 🔍 POINT 3 | リスク or 懸念点 |
これをミーティング前に書いておくだけで、
記憶負荷が激減して、会話に集中できるようになった。
🎯 2️⃣ FOCUS ─ 深く潜る脳:集中を“気合い”ではなく“手順”にする
集中は意志では作れない。
「集中に入るスイッチ」を持つかどうか だった。
🔒 ■ Deep Work Ritual(集中モードの起動儀式)
僕が現場で実践してる“起動手順”はこれ:
| ステップ | 動作 | 意味 |
|---|---|---|
| 1 | Slack通知OFF | 外部からの割込み排除 |
| 2 | タイマー25分 | “終わりがある”ことで安心 |
| 3 | 1行TODOを書く | 脳を迷子にしない |
| 4 | ルーティン動作 | 呼吸 or 指を鳴らすなどトリガー |
この“儀式”を入れてから、
「よし、やるか」→ 気づいたら3時間経ってた が起きるようになった。
🚪 ■ コンテクスト切替ブロック(会議→開発で脳が死なない方法)
会議直後にコードなんて書けない。
あれは“脳のモードが違う”から。
そこで取り入れたのが 「Transition Time」。
✅ 会議と開発の間に5分の脳リセットを入れる
✅ その間にタスクを「視覚化」して整える
これをやり始めてから、
「さっき何やってたっけ…?」という時間喪失が消えた。
🧭 3️⃣ CLARITY ─ 混乱しない脳:複雑な問題を“構造化する”習慣
優秀なエンジニアは、頭が良いのではない。
考え方の“整理力”が異常に高い。
🗺️ ■ 問題マップ:バグを“思考で追跡する”技術
昔の僕:NullReferenceException → とりあえずデバッグ
今の僕:発生位置の前後10分を“マップ化”して追跡
書くルールは簡単:
▶ Symptom(現象)
└ Cause(原因候補1・2・3)
└ Evidence(根拠)
これによって、コードを追う前に、思考で8割絞れる ようになった。
🧩 ■ 1テーマ1ノート法(情報の分離保管)
技術ノートを“時系列”で書くのはNG
→ 見返しても役に立たない。
Instead:
| ノート名 | 使い道 |
|---|---|
Bug_BrainLog.md | 解決プロセスだけを記録 |
IdeaBox.md | 思いつき/次やりたいこと |
DecisionLog.md | なぜその設計にしたか |
「書くこと」=「考え直すこと」。
これを続けてから、判断が速くなり、議論で詰まらなくなった。
脳を整えることは、キャリアを設計することだ
気づくのに時間がかかった。
僕たちエンジニアにとって、“脳”は単なる器官じゃない。
それは、コードを書く手、チームで話す声、判断する意思—— すべての基盤 だった。
海外で働くようになって、痛いほど実感したのは、
技術力より先に「思考の性能」が評価されるという現実だ。
🌍 海外現場で見た「信頼されるエンジニア」の共通点
ここで、僕が海外チームで出会った“尊敬されるエンジニア”たちに共通していたことを挙げたい。
それは、IQでも学歴でも、英語力ですらなかった。
| 信頼される人 | 信頼されない人 |
|---|---|
| 脳の負荷を管理し、常に冷静 | パニック時に黙る or 話すほど混乱 |
| 情報を整理して伝える | 思いついたまま話す |
| 問題を構造で捉える | エラーとだけ戦って消耗 |
わかったのは、こういう人たちは特別賢いわけじゃない。
“脳の使い方”を自分で設計している だけだった。
🔄 脳ハックがキャリアに繋がる“評価の構造”
実際、僕のキャリアもこれで変わった。
| 脳の習慣 | 評価で現れる形 |
|---|---|
| Recall(想起トレーニング) | ミーティングで意見が出せる → 「頼れる」 |
| Focus(集中ルーティン) | 納期と品質が安定 → 「安心できる」 |
| Clarity(構造思考) | 問題を先回りして提案 → 「信頼できる」 |
この3つが揃ったとき、
初めて言われた言葉がある。
“We need you in this project.”
(このプロジェクトには、君が必要だ)
それは技術ではなく、
脳を整えた自分自身が評価された瞬間だった。
🛠️ 読者が明日からできる「脳アップグレードTo-Do」
ここからが重要。
読んで「なるほど」で終わらせないための、即行動リストを置いていく。
✅ 1日目:記憶回路を起動する(Recall)
- ミーティング前に「3ポイントメモ」を作る
→ 自分の意見 / 質問 / 懸念 の3つだけ - 読んだ記事や仕様、閉じてから1分で要約する
→ 書けない部分が、記憶ではなく“理解もできてない部分”
✅ 2日目:集中スイッチの儀式を作る(Focus)
- デスクに座る前に、25分タイマーを用意
- Slack・通知OFF → 1行タスクを書く → 呼吸1回
→ これだけで“脳がやる気を出す”
✅ 3日目:問題を図で捉える(Clarity)
- バグ or 仕様の議論を始める前に
「Symptom → Cause → Evidence」マップを書く - コードをいじる前に
**「紙に3つの原因候補を書く」**だけでいい
🧭 最後に伝えたいこと:脳は結果を裏切らない
僕たちは思っている以上に、自分の脳を過小評価してきた。
でも脳は正直だ。使い方を変えれば、必ず応えてくれる。
そしてその成果は、コードや英語ではなく、
“信頼”や“役割”という形で返ってくる。
🔔 もし迷ったときは、こう自問してほしい
❓ 「今つまずいているのは、技術の問題か?
それとも、脳の設定の問題か?」
🥂 結論:脳を鍛えることは、キャリアを設計することだった
- 英語に苦戦していた僕が、
“意見を求められる立場”に変われたのは
脳のOSアップデート をしたから。 - 「自信がない」ではなく
“想起・集中・構造”という武器を手に入れたから。
だから、こう締めくくりたい。
脳は、生まれつきではなく、設計できる。
そして、海外で戦うエンジニアの最強の武器になる。
ここまで読んでくれたあなたへ。
このシリーズ、続編として 「具体的なトレーニング集(7日間チャレンジ)」
も用意できますが、興味ありますか?
📩 「やってみたい」と一言くれれば、すぐ組みます。
あなたの脳、まだ本気を出していません。

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