—「健康オタク」と呼ばれても生き残るために—
「どこで食べても、太る…」という現実にぶち当たった日
エンジニアとしてアメリカに来て、まず一番驚いたのは「外食がデカい、重い、甘い」だった。
「今日はちょっとサラダでも…」と入ったカフェのシーザーサラダが、唐揚げ山盛り+チーズドレッシングのカロリーモンスターだったり、朝ごはんにオートミールを頼んだら、謎のバターシロップがかかって出てきたり。
最初の数週間はそれでも「アメリカの洗礼だな〜」と笑ってたけど、ふと体重計に乗ったときに目を疑った。**たった1ヶ月で5キロ増。**日本にいた頃は、リモートワークでもそこまで増えなかったのに。
しかも、忙しいと外食かテイクアウトに頼らざるを得ない。プロジェクトが佳境を迎えると、会社のチームで「ピザでも取るか」が定番。1ピースずつ食べていたはずが、いつの間にか1ホールなくなってたりする(あるあるすぎて笑えない)。
健康でいることは「自己管理」じゃなく「サバイバル戦略」
「まぁ太るくらい…」と思うかもしれない。けど、それが続くと確実に集中力が落ちる。午後になるとぼんやりしてコードのレビューが鈍くなり、夜には反動で甘いものが欲しくなる。そのループが続くと、パフォーマンスも英語力も下がるのを実感する。
このままだと「健康崩してプロジェクト離脱」の未来が見える——。そう気づいた僕は、やっと腹をくくった。
「**自炊を習慣にするしかない。**しかも、エンジニア脳でも続く“再現性のある戦略”が必要だ」
なぜ、外食の誘惑に打ち勝てないのか?
アメリカはとにかく「ジャンキーであることがデフォルト」。
たとえばこんな環境が普通だ:
- コンビニで売ってるサンドイッチは大抵「マヨ・肉・チーズ」の三重奏
- レストランの「ヘルシー」メニューでも、塩分・脂質は日本の倍以上
- スタバのスコーン1個で、平日ランチのカロリーオーバー(400kcal超)
要するに、普通に食べる=太る構造。
しかもアメリカの外食文化は「シェア前提」「デカ盛り歓迎」「残してOK」なので、ついつい「あと少し」って食べちゃう。
でも、ここに気づけたのはよかった。
「意志の問題じゃなく、仕組みの問題だ」と。
一人暮らしでも、時間がなくても、自炊を続けるには?
自炊って、面倒くさいし、特にエンジニアみたいな人間には「思考の割り込み」がつらい。
コードに集中してたのに、「何作る?」「材料ある?」「洗い物…」と考えるのは、まさにコンテキストスイッチの地獄。
だから僕は考えた。
🧠「思考コストを限界まで削った自炊習慣を作れば、エンジニアでも続くんじゃないか?」
そうして試行錯誤した末にたどり着いたのが、**「3つの自炊戦略」**だった。
次の章では、その中身を詳しく紹介する。
たとえば、
- 週1買い出しで回せるミールプレップ(まとめ調理)
- 「味をつけない」という逆転発想のマルチユース素材
- 時間ゼロで作れるPython的レシピテンプレート
これを使えば、外食地獄に流されることなく、自分のパフォーマンスをコントロールできる生活が作れるようになる。
意志力ゼロでも続いた。僕がたどり着いた3つの“戦略的”自炊習慣
ここからは、僕が実際にアメリカ生活の中で構築した“エンジニア向け自炊戦略”を紹介しよう。
ポイントは、「気合で乗り切る」ではなく、意志力を使わずに回るシステムを作ること。
🛠 戦略①|1週間分の「構成パーツ」を日曜にまとめて調理する(=ミールプレップ)
まず、一番大事なのが週末まとめ調理(Meal Prep)。
海外のエンジニアYouTuberたちがよくやってるあれだが、侮るなかれ。
たとえば、僕のある週のミールプレップ例はこんな感じ:
| 食材 | 処理内容 | 用途例 |
|---|---|---|
| 鶏むね肉 | 塩なしで茹でる | サラダ、スープ、炒め物のベースに |
| ブロッコリー | レンチンして冷蔵保存 | 弁当やパスタのトッピング |
| キヌア+玄米 | 炊いて小分け冷凍 | カレー、ボウル飯、スープのかさ増し |
| ゆで卵 | まとめて8個作る | 小腹対策、プロテイン補給用 |
ここでのコツは、味をつけないこと。
あえてプレーンにしておくことで、1週間の中で変化をつけられる。
味は食べるときに「後がけ」でコントロール。塩分・油分・糖質を自分で“再設計”できるのが、最大の強みだ。
🧂 戦略②|“味は最後に決める”で、調理ハードルをゼロにする
アメリカのスーパーで売っている冷凍食品やレトルトって、基本的に「完成形」が多い。
けど、それがかえって応用が効かない。
僕が意識しているのは、「素材に近い状態で保存し、食べるときに自由に味付けする」というルール。
このやり方のメリット:
- 「何味にしよう…」と悩まない(思考の負荷が減る)
- 連日同じ素材でも飽きない(味でバリエーションをつけられる)
- 自分の体調に合わせてカスタマイズできる(スパイシー or 低刺激)
たとえば、プレーンの鶏むね肉を
- ポン酢+ごま油でアジアン風
- ヨーグルト+カレー粉でインド風
- ケチャップ+バルサミコ酢で洋風チキン煮込み風
と変幻自在に使いまわせる。これは忙しいエンジニア生活にぴったりだった。
⏱ 戦略③|「調理時間5分以下レシピ」テンプレートを5つ作っておく
仕事終わりで疲れてると、「冷蔵庫に食材はあるのに、作る気が起きない」という現象が起きる。
この心理的ブロックを突破するために、僕は**5つの“頭を使わずに作れる定番レシピ”**を用意している。
📦 例)僕の定番「5分以下レシピ」
- プロテインボウル飯
冷やご飯+鶏肉+ブロッコリー+ポン酢+刻み海苔 - 即席豆腐スープ
豆腐+乾燥わかめ+白だし+お湯で即席味噌汁風 - アボカド卵丼
玄米+アボカド+ゆで卵+醤油+ごま油 - フライパンいらず炒め風
冷凍野菜+茹で肉を電子レンジでチン+市販ソース少量 - 夜食ヨーグルトパフェ
ギリシャヨーグルト+バナナ+ナッツ+蜂蜜(甘い物欲を満たす)
このテンプレを1週間のどこかで使いまわせば、「何も作れなかった日=ゼロ」にはならない。
👨💻 エンジニア脳がハマるのは、“選択肢を固定した自由”だった
意外かもしれないが、自炊が続くかどうかは**「自由に決められる余白の中で、選択肢を限定しておくこと」**にかかっている。
プログラミングと似ていて、**再利用性(汎用素材)+テンプレ化(レシピ)+保守性(保存性)**を整えると、サステナブルになる。
誘惑にどう勝つ?“食のカオス”とどう向き合ったか
いくら自炊を習慣化しても、アメリカで暮らしていると**「外の誘惑」**は避けられない。
特に以下の3つは、自炊派を何度も揺るがす“壁”だった。
🍕 その1|「ピザ文化」との闘い:職場・会議・チームビルディングの罠
アメリカのIT職場あるある。それは、「イベント=ピザ」の公式。
- デプロイ完了お疲れ会 → ピザ
- スプリントレビュー後 → ピザ
- 突発の夜間対応 → ピザ+エナジードリンク
ピザはアメリカ人にとって「空気」みたいな存在。断るのは空気読まない人認定されそうで、最初は毎回食べていた。
でも、これを月3〜4回やってたら、あっという間に脂質+糖質コンボで体が重くなる。
👣 僕の対策:あえて「1ピース+自弁」で“参加と自衛”のバランスを取る
ピザを完全拒否するのは、さすがにチームの空気を壊す。
だから僕は「ピザ1ピース+自分のプロテイン弁当」をセットにしていた。
一見すると「量少なそうに見える」けど、意外とこれが満足度高い。
何より、「ピザも楽しむけど、自分の健康も守る」姿勢がチームに好意的に映ることが多かった。
🍪 その2|「差し入れ文化」との闘い:甘い誘惑が職場を支配する
アメリカのオフィスでは、誰かの誕生日・昇進・休暇前などで甘い差し入れが常に出回る。
ドーナツ、ブラウニー、M&Mクッキー、マフィン…。
最初の頃は「少しだけ…」のつもりが、午後の眠気もあって毎日食べていた。
🧠 僕の対策:差し入れは“レビューだけ”食べる
レビューとは?
僕の中では、「香りと質感、ちょっとした味見だけをする」という小さな儀式。
- クッキーなら半分だけ割って、香りを確認し、指先の食感を感じる
- 1口だけ食べて、「あ〜甘いな」で止める
完全拒否は逆にストレスが溜まるし、文化的にもやや冷たい印象になる。
けど、この**“レビューだけルール”**は、
「付き合い」と「自制」のちょうどいい落とし所だった。
🍟 その3|「週末の爆食」にどうブレーキをかけたか?
平日がんばって自炊していると、週末に反動がくる。
「せっかくだし、バーガーでも行くか」「Uber Eatsでガッツリいこう」と自分にご褒美を与えたくなる。
でも、それが2週、3週と続くと、あっという間に平日の努力が帳消しになる。
🥣 僕の対策:「自炊で贅沢」する日を作る
ここで大事だったのが、「週末は外食」ではなく「週末こそ、自炊で贅沢メニュー」という発想の転換。
たとえば、
- 鮭のホイル焼き+味噌汁+雑穀米
- アボカドサーモン丼 with 温玉
- 高級チーズを使った全粒粉ピザを自作
料理自体が「プロジェクト」みたいで楽しく、しかも健康的。
外食以上に満足度が高く、「食べたあとに後悔しない」というのが最大のメリットだった。
🍽 結局、外食に勝つには「自炊を面倒にしない」こと
誘惑に負けないのは、意志の強さではない。
“自炊が楽で、うまくて、満足度高い”という状態をいかに作れるか。
「外食したいけど、冷蔵庫にアレがあるし…」
「Uber Eatsで30分待つくらいなら、自分でパパッと作った方がうまい」
こう思えるようになってから、外食の頻度は激減した。
そして体重も、集中力も、英語での会議パフォーマンスも明らかに改善した。
“食習慣のデザイン”が、仕事力と生存率を変えた
🍴 食を整えたら、仕事のパフォーマンスが戻ってきた
振り返れば、アメリカ生活初期に一番しんどかったのは、**“眠気と集中力の波”**だった。
- 午後2時〜3時に激しい眠気がきてコードレビューがグダる
- 夜になると妙にお腹が空き、ドカ食いしてしまう
- 朝はギリギリ起きて、Slackの返事も遅れがち
けれど、自炊習慣を整えてからは血糖値の乱高下が減ったのか、明らかに集中力が持続するようになった。
「なんか体が軽い」「夜中に眠れる」「午前中にコードが進む」――これだけでも、仕事全体が“勝ちパターン”に入る感覚があった。
そして英語での会議中も、以前より頭が回る。複雑なディスカッションでも、言葉に詰まる回数が減った。
つまり、「食習慣が英語力にまで影響を与えていた」という事実に気づかされたのだ。
💡 僕が辿り着いた“マイ食習慣デザイン”とは
ここで、僕が最終的に設計した「健康×自炊システム」をシェアしたい。
📘 My Food Routine(平日版)
| 時間帯 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 朝 | プロテイン+オートミール or ゆで卵+玄米 | 糖質は低GI+タンパク質で集中力をキープ |
| 昼 | ミールプレップ弁当(鶏むね+野菜+キヌア) | 食後の眠気が起きにくく、作業再開しやすい |
| 夜 | 自炊軽食(具沢山スープ or ボウル飯) | 手早く作れて、消化も軽い。睡眠の質にも直結 |
| 間食 | ナッツ or ギリシャヨーグルト+ベリー | 眠気防止&甘い物欲を満たす |
このルーティンにしてから、生活が“無理なく整う”ようになった。
特別なことはしていない。ただ、テンプレと材料さえ揃えておけば、考えなくても自然に健康が維持される設計になっている。
🧘♂️ 健康を守ることは、意識高い系じゃない。「生き延びる技術」だ
以前の僕は、正直「健康オタク」みたいな行動をするのが恥ずかしかった。
海外に来てまで自炊とか、空気読まずピザ断るとか、なんか“KY”っぽく見える気がして。
でも今は違う。
自分の集中力、持久力、ストレス耐性を守るのは、自分しかいない。
しかも、グローバル環境では「意識の高い人=仕事でも信用されやすい」という事実もある。
メンタルを崩してプロジェクトからドロップアウトする人も少なくない中、“継続して働けること”自体がスキルなんだ。
🧩「仕事が忙しいから健康は後回し」ではなく、「仕事を成功させたいなら健康を仕組み化する」
アメリカでの生活を通じて気づいたこと。
それは、**健康は「目的」じゃなくて「条件」**だということ。
良いコードを書くにも、チームで信頼を築くにも、異文化に適応するにも、全部“体が動いてナンボ”。
そしてその体は、「自炊」という日々の習慣に支えられている。
誰もが完璧にできるわけじゃない。
でも、1品だけ、1食だけでも「自分で用意したものを食べる」という選択を増やすだけで、確実に変わっていく。
🏁 おわりに:海外エンジニアこそ「自炊のシステム設計者」であれ
僕は今も週末になると、Spotifyで音楽を流しながら食材を切り、キッチンに立つ。
まるで一週間分のエンジニアリングのように。
コードと同じで、**「設計し、改善し、最適化する」**ことで、自炊も回るようになる。
それはやがて、仕事の土台となり、人生の安定性を支える。
海外にいるからこそ、自分の体と生活を守る術を“言語化”しておくこと。
それが、エンジニアとして長く、健やかに働くための“サバイバル・スキル”だと信じている。

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