– 英語で語れる“設計の意図”が、信頼を生む –
「あなたの設計のどこが優れているんですか?」に、言葉で答えられますか?
海外転職をめざして、いざ書類選考を通過すると、次に待っているのが英語での面接・技術説明。
このステージで、特にUI設計に携わってきたWPFエンジニアにとって、避けて通れない問いがある。
“Why did you choose that UI structure?”
“How does your design improve the user experience?”
“What were the trade-offs in your approach?”
ーーこうした問いに、英語で、論理的かつシンプルに答えられるか?
僕が最初に海外企業と面接したとき、英語そのものよりも、“設計意図を自分の言葉で語れない”ことのほうが大きな壁だった。
🗣 「設計を語る力」は、語学力ではなく“設計の解像度”
「英語力に自信がないから、UI設計について話せない」
そう思っていた僕に、あるメンターが言ってくれた言葉がある。
“It’s not about language. It’s about clarity of thinking.”
つまり、英語の前に大事なのは、「なぜその設計にしたのか」を自分の中で明確に持っているか? ということだった。
言い換えれば、こうだ。
- 「XAMLのTemplateBindingを使った理由は?」
→ 「再利用性」と「デザイナーとの役割分担性」をどう設計したか - 「UIをタブ構成にした意図は?」
→ 「情報密度」「ユーザーの意思決定フロー」「スクリーン不動産の最適化」など、判断軸を持っていたか - 「MVVMの責務分離は?」
→ ViewModelとModelの粒度をどう設計し、テスト性やメンテナンス性にどう貢献したか
自分の中での設計軸がはっきりしていれば、英語は後からついてくる。
逆に、軸がなければ日本語でも伝わらない。
🧭 面接で「伝える」べきは、“選択”と“意図”のセット
UI設計に正解はない。だからこそ、面接で問われるのは**「あなたは、なぜそれを選んだのか?」**
たとえばこんな質問:
❓“Why did you use MVVM instead of code-behind?”
ここで、ただ「MVVMがベストプラクティスだから」と答えてしまえば、それ以上の会話は広がらない。
でも、こんなふうに答えればどうだろう?
✅ “Because our team had both designers and backend-focused developers, we needed clear separation between logic and UI. MVVM helped ensure better maintainability and testability, and allowed us to scale UI changes independently.”
ポイントは3つ:
- Context(背景):チーム構成や開発環境
- Decision(選択):MVVMを使ったという設計判断
- Impact(効果):誰に、どう役立ったのか
この構成で語れると、相手は「この人は設計者としての視点を持っている」と感じる。
💬 UI設計の英語面接でよくある質問5選
僕自身が面接で何度も問われた、UI設計者にとっての典型的な質問をまとめておく:
| 質問 | 求められていること |
|---|---|
| ❓ Why did you choose this layout? | UI配置に対するUX的配慮と意図の明示 |
| ❓ How did you validate your design? | ユーザビリティ検証やフィードバックループの有無 |
| ❓ How do you handle component reuse? | 再利用性と保守性の観点からのアーキテクチャ判断 |
| ❓ How do you manage communication between View and ViewModel? | データバインディングやイベント伝播の設計意図 |
| ❓ What trade-offs did you face in your UI design? | パフォーマンス vs 表現力など、設計上のトレードオフを理解しているか |
こういった問いに、“経験ベースで語れる言葉”をストックしておくことが、海外面接では非常に大きな武器になる。
設計の“意図”を、英語で自然に語るために
– 「こうした理由で、こう設計した」が言える人になる –
🎙️ UI設計者として、“語れること”が最大の信頼になる
WPFで複雑なUIを作り込んできた。XAMLの構成やMVVMの分離にも自信がある。
ーーでも、それを言語化しない限り、海外面接では「見えない実力」のまま終わってしまう。
この章では、UI設計者としての経験を、英語で自然に伝えるための実践スキルを紹介します。
✅【1】設計意図を語る“英語フレーズ”テンプレ集
UI設計の判断には、「なぜそうしたか」が必ずあるはず。
それを以下のようなフレーズに置き換えると、説得力が増します。
| シーン | 英語表現例 |
|---|---|
| 配置の理由を述べる | We chose this layout to keep the primary actions within the user's visual focus. |
| 情報設計について語る | We grouped related inputs to reduce cognitive load and improve data entry speed. |
| コンポーネント設計の意図 | We built reusable UI components to ensure design consistency and speed up development. |
| 状態管理の戦略 | We used the MVVM pattern to separate logic from presentation and support unit testing. |
| デザイナーとの連携について | I worked closely with the UX designer to validate the interface against real user behavior. |
「難しい単語より、“相手に伝わる構造”」を意識しましょう。
一文一義で、“理由”と“効果”をセットで語るのがポイントです。
✅【2】レビューや議論で使える“5つの対話テンプレ”
英語面接は、ただ一方的に説明する場ではありません。
特にUI設計職では、「対話力」も試されます。
以下は、**レビュー・ディスカッションの場で役立つ“即使えるフレーズ”**です:
| 用途 | フレーズ | 使いどころ |
|---|---|---|
| 自分の選択肢を説明 | One trade-off we considered was between performance and flexibility. | 設計判断の背景にあるバランス感覚を共有する時 |
| 選択理由を提示 | We went with this approach because it minimized UI state complexity. | “なぜこの設計に?”という問いに答える時 |
| 提案をする | Would it make sense to simplify this interaction flow from the user's point of view? | UI改善案を出す時 |
| 相手に確認 | Does this structure align with your expectations for component hierarchy? | 技術的前提を確認したい時 |
| 方向転換を柔らかく提案 | An alternative could be to use templating here to avoid code duplication. | 対立を避けつつ代案を出したい時 |
🗝語彙より“対話の流れ”を制することが、面接での安心感に直結します。
✅【3】“沈黙を恐れない設計者”が、むしろ信頼される
海外面接でよくある不安が、
「英語でスムーズに説明できなかったらどうしよう」
「沈黙してしまったらマイナス評価になるのでは?」
というもの。
でも、UI設計の面接ではむしろ、
「一呼吸置いて、構造を整理してから話し出す人」のほうが信頼される
という事実があります。
たとえば…
沈黙 → 図を描く → 一言目に”Let me walk you through this flow.”
これだけで、「この人は設計思考で動いている」と印象づけられるのです。
✅ メモをとってから話す
✅ 図解して説明する
✅ まず“観点”から切り出す(例:”From a user journey perspective…”)
こうした“思考の見える化”こそが、言語力以上に評価される場面です。
🧠【4】WPFの“あるある技術”を、国際視点で説明する練習
以下は、実際に僕が英語で説明できるよう練習した技術項目です。
**ポイントは「技術用語」ではなく、「その技術を選んだ理由と、その結果どうなったか」**にフォーカスすること。
| 技術要素 | 英語での語り方例 |
|---|---|
| MVVM | MVVM helped us keep logic testable and decoupled from UI, which improved maintainability. |
| XAML Resource Dictionary | We used resource dictionaries to centralize styles, which simplified theme updates. |
| ControlTemplate | Custom templates allowed us to align UI elements with UX guidelines across screens. |
| DependencyProperty | We leveraged DependencyProperty for data binding and enabling UI behaviors like animations. |
| ReactiveCommand (from ReactiveUI) | ReactiveCommand gave us a predictable flow for async UI interactions and improved test coverage. |
これらを「英語で説明→録音→聞き返す→ブラッシュアップ」というステップで練習したことが、僕の面接突破率を確実に押し上げてくれました。
✅【5】相手の質問意図を“聞き返す”ための表現
会話の中で質問の意図が曖昧なとき、「聞き返せる力」こそが、実は“本物の対話力”の証拠です。
こんなフレーズを覚えておくと便利です:
| 状況 | フレーズ |
|---|---|
| 質問の意味が不明瞭 | Just to clarify, are you asking about the technical approach or the user outcome? |
| 内容を確認したい | Do you mean the implementation side, or the UX impact of the layout? |
| 考える時間を取りたい | That's a great question. Let me think for a second… |
| 図を描きたい時 | Would it help if I sketched out the screen structure I'm referring to? |
こうした表現は、「ちゃんと考えて設計してきた人だな」という印象を与えます。
ネイティブのように話すことより、“構造的に話せること”が評価される世界なのです。
“設計者の会話力”が問われるとき:英語でのUIレビューを乗り切る技と構え方
「英語が苦手で…」
そう言っていた日本人エンジニアが、ある日、ドイツのスタートアップとの面接でこう語っていた。
“I designed the layout so that the operator never needs to take their hands off the keyboard.”
面接官の反応はこうだった:
“That’s brilliant. You’re thinking from the user’s muscle memory.”
このやりとりを見て、僕は気づいた。
“伝えたいことを、英語で完璧に言う必要なんてない”
それよりも、“相手が興味を持つ視点”をちゃんと掴んで語れるかがすべてだと。
この章では、実際の英語面接・レビューシーンを想定して、**「自分の設計をどう伝えるか」**の具体例と対話術を紹介していく。
🎤 よくある面接質問と、UI設計者の回答例
❓ “Can you describe a UI you’ve designed that you’re proud of?”
✅ “Sure. I worked on a WPF-based inventory tool for warehouse staff.
The key idea was to reduce hand movement — so we aligned all primary actions to the left side and added keyboard shortcuts.We saw a 30% drop in average task time after deployment.”
📌ポイント:ユーザー中心設計 → UI構成の工夫 → 効果まで語る3段構成。
❓ “How do you decide component boundaries in your UI design?”
✅ “I think in terms of user tasks.
If a task has a clear start and end, I try to encapsulate it as a component.
That makes the UI easier to reason about and reuse across modules.”
📌ポイント:技術視点ではなく“ユーザーの行動”を起点に話すことで、理解されやすくなる。
❓ “What do you consider when designing for accessibility?”
✅ “We check contrast ratios, keyboard navigation, and screen reader compatibility.
In one project, we moved from button icons to text+icons because users were confused.
Small changes made a big difference in clarity.”
📌ポイント:実例を添えるだけで、言葉が生きる。
🖼 英語が苦手でも通じる“視覚的プレゼン”のすすめ
英語で話すのが難しいなら、「見せる」ことで伝える設計者になればいい。
僕が実際にやって効果があったのは、以下のようなA4一枚の構成図を面接中に共有することだった。
図例:Inventory画面のレイアウト設計図(簡易スケッチ)
+------------------------------------------------+
| [Search bar] [Filter options] |
|------------------------------------------------|
| [Inventory list - scrollable] |
| → Row hover highlights, double-click to edit|
|------------------------------------------------|
| [Quick action panel] [Bulk operation dropdown] |
+------------------------------------------------+
この簡易図を使って以下のように話す:
“As you can see, we grouped filters and actions separately.
The idea was to avoid clutter and help users find the most common operations quickly.
The left-right layout reflects task priority.”
図があることで、英語が拙くても“設計の全体像”が共有できる。
🔄 質問を“聞き返して補足”する力も武器になる
設計レビューでの英語面接は、一問一答ではなく、インタラクティブな対話の場。
その中で特に大事なのが、「聞き返して会話を正しく捉える力」。
たとえば:
🗨️ 相手:「How do you handle dynamic layout changes in WPF?」
英語で不明確なときは、こう返していい:
“Just to clarify — do you mean runtime layout changes, or responsiveness based on window size?”
または:
“Do you mean layout updates based on user interactions, or based on data changes?”
この「質問の意図を解釈しなおす」姿勢があるだけで、“コミュニケーション設計力がある人”として評価されやすくなる。
✏️ 英語に自信がないときの“構造テンプレ”での話し方
英語が流暢でなくても、以下のテンプレで話すだけで論理的に聞こえる:
🧱 「背景→課題→選択→効果」
✅ “In the legacy version, users had to click 3 times to edit one item.
That caused frustration.
So we designed inline editing in the grid, using DataTemplates.
It reduced the time to action and made the UI feel more responsive.”
このパターンで答える練習をしておけば、どんなUI設計の質問にも“型”で乗り切れる。
🌍 英語が得意じゃないからこそ、設計で勝負できる
UI設計者の仕事は、「使いやすさ」を設計すること。
英語が得意かどうかよりも、「相手にとって伝わる工夫をしているか」が見られる。
だからこそ:
- 英語での見せ方を工夫しよう
- 話すことより**“伝わる”こと**を重視しよう
- UI設計と同じように、会話も“ユーザー視点”で設計しよう
面接官も“設計者の会話”を評価している。
「自分の設計を語る言葉」は、武器になる
– 言語の壁を越えるのは、“思想のある設計”と“語る勇気” –
💡 設計経験を「物語」として語れる人が、信頼をつかむ
WPFで積み重ねてきたUI設計の経験。
それを、ただの技術リストではなく、ひとつのストーリーとして語れるようになると、面接の空気が変わる。
たとえば、こんな話し方:
“In our previous system, users struggled with screen transitions — they’d often get lost in modal dialogs.
So I redesigned the navigation as a persistent sidebar with section highlights.
We tested it with 5 users and saw faster onboarding, even for non-tech staff.”
このエピソードには、課題の観察 → 解決の構造化 → 検証までの流れがある。
ただのUI修正ではなく、**「誰かの課題を構造的に解決した設計」**だと伝わる。
これこそが、設計者が語れるべき“仕事の美しさ”。
🧠 「設計視点のある質問」ができる人は、最後に印象を残す
面接の最後、必ずこう聞かれる。
“Do you have any questions for us?”
ここで多くの人は、「とくにありません」「御社のカルチャーについて…」と無難なことを聞いてしまう。
でも、UI設計者ならではの視点で質問を返せば、会話の主導権を最後にもう一度取れる。
例1|開発チームとの連携に切り込む
“How do designers and developers typically collaborate in your product teams?
Are there shared tools or practices for handoff and review?”
▶ UIと開発の橋渡し役として働く意思が伝わる。
例2|設計文化に切り込む
“How are UI decisions validated in your team?
Do you involve users in early design phases, or rely on internal heuristics?”
▶ UXの成熟度やレビュー文化に関心を持っていることが伝わる。
例3|パフォーマンスと設計バランスに切り込む
“Are there common trade-offs your team faces between UI richness and app performance, especially in desktop environments?”
▶ WPF経験者らしい視点で、実用性と設計のバランスへの理解がにじむ。
こうした質問は、“英語力”より“視点の深さ”が問われる領域。
だからこそ、日本語のときと同じように、自分の価値観で語ればいい。
✉️ 面接後に差がつく、英語の「サンキューメール」例
忘れがちだが、面接後に送るお礼メールは、最後の印象を左右する武器になる。
以下は、UI設計職向けにカスタマイズした英文例:
Subject: Thank you for the opportunity
Dear [Interviewer’s Name],
Thank you again for the insightful conversation today.
I really enjoyed discussing UI architecture and learning more about how your team approaches product design.
I especially appreciated the focus on collaboration between engineering and design — that’s an area I deeply care about.
Please don’t hesitate to reach out if you need anything further from me.
Looking forward to the next steps.
Warm regards,
[Your Name]
📌 ポイントは3つ:
- 「面接の中で印象に残った部分」を具体的に書く
- UI設計者としての価値観に触れる
- 短く、相手に負担をかけないトーンで
この一通があるだけで、「この人は誠実で対話力がある」と思ってもらえる。
海外企業では、こうしたコミュニケーションも選考要素のひとつとされることが多い。
🔚 言語ではなく、伝え方を“設計”する
このVol.6で伝えたかったことは、ただひとつ。
「英語を話せる」ではなく、「自分の設計を、相手に伝える術」を持て
ということ。
その術は、僕たちWPFエンジニアがいつもやっていることと同じだ。
- 複雑な要件を整理し
- ユーザー視点に立ち
- 限られた画面の中で伝えるべき情報を設計する
英語も、まったく同じだ。
**「言葉で UI を設計する」**つもりで伝えればいい。

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