「“やらかし”が世界を変えるとき ─ 海外エンジニアが知っておきたい失敗の使い方」

  1. 失敗は“能力不足”じゃない。視点不足なだけだ(約3000文字)
    1. 海外の現場は、失敗している人ほど評価が高い?
    2. 「失敗=マイナス」は、かなりローカルな発想
    3. 実は、人類の進歩は“やらかしログ”でできている
    4. 海外で働くエンジニアにとって、これは“人生保険”
  2. 歴史は“Oops”を“Aha!”に変えた人でできている(約3000文字)
    1. ペニシリン:片付けなかった人が、世界を救った
    2. ポストイット:誰も欲しがらなかった「失敗作」
    3. 「この設計、ダメだった」は終わりじゃない
    4. ゴムを焦がした男が、産業を変えた
    5. 共通点は、才能じゃない
    6. 海外の現場は「未完成ログ」を歓迎する
  3. 海外現場で気づいた、失敗に強いエンジニアの共通点(約3000文字)
    1. ① 失敗を「説明可能なオブジェクト」に変える
    2. ② 失敗を「共有前提」で扱っている
    3. ③ 「失敗=自分」にならない
    4. ④ 失敗談を「信用通貨」として使っている
    5. ⑤ 英語が拙くても、失敗の価値は下がらない
    6. 海外エンジニアの「強さ」の正体
  4. 次に転ぶとき、あなたはもう得をしている(約3000文字)
    1. 失敗は「避けるイベント」ではなく「必ず来るイベント」
    2. 次に失敗したら、こう考えてほしい
    3. 失敗は「信用残高」を積み上げる
    4. 英語が不安なあなたへ
    5. 人生術としての「Oops → Aha」
    6. 最後に、海外で働くあなたへ

失敗は“能力不足”じゃない。視点不足なだけだ(約3000文字)

海外でエンジニアとして働き始めた頃、正直に言うと
**「失敗=終わり」**だと思っていました。

コードレビューで仕様の勘違いを指摘される。
設計レビューで「Why did you choose this approach?」と聞かれ、言葉に詰まる。
英語も拙く、ロジックも十分に説明できず、
頭の中ではこう思っていました。

「やっぱり自分は、ここで働くレベルじゃないんじゃないか」

C# WPFで設計開発をしてきた経験は日本では通用していた。
でも海外の現場では、ミスの“重さ”が違って感じられたんです。
単なる実装ミスではなく、
「考え方そのものが間違っている」と言われている気がして。

日本で育ったエンジニアあるあるかもしれませんが、
私たちは無意識にこう刷り込まれています。

  • 失敗しない人=優秀
  • ミスをする=準備不足
  • 想定外=リスク管理が甘い

だから「やらかす」こと自体を、
人格や能力と結びつけてしまう。

でも海外で働き続ける中で、
ある違和感に気づきました。


海外の現場は、失敗している人ほど評価が高い?

同じチームのエンジニアを見ていると、
不思議なことがありました。

  • バグを出す人ほど、次の設計で信頼される
  • 失敗談をよく話す人ほど、発言権が強い
  • 「前にこれでやらかしたんだけどさ」と言える人ほど、会議で聞かれる

最初は意味が分かりませんでした。

「いやいや、失敗してるじゃん?」
「なんでその人がリードするの?」

でもよく観察すると、
彼らは失敗そのものを評価されているわけではない

評価されているのは、
**失敗の“扱い方”**でした。

  • 何が起きたかを言語化できる
  • なぜ起きたかを構造で説明できる
  • 次にどう変えるかを、他人に共有できる

つまり彼らは、
失敗を“個人イベント”で終わらせていない。

ここでようやく、
自分の中の価値観がズレていたことに気づきました。


「失敗=マイナス」は、かなりローカルな発想

失敗を恐れる文化は、決して悪いものではありません。
品質を守り、再現性を高めるためには必要です。

でも問題は、
失敗を“消すもの”として扱ってしまうこと

海外の現場では、
失敗はこう扱われます。

「Interesting. That’s unexpected. Why do you think that happened?」

この一言に、何度も救われました。

責められていない。
能力を疑われてもいない。
ただ、材料として扱われている

失敗=データ
失敗=学習ログ
失敗=次の意思決定の根拠

この視点に立った瞬間、
エンジニアとしての働き方がガラッと変わりました。


実は、人類の進歩は“やらかしログ”でできている

ここで少し視野を広げてみてください。

私たちが当たり前に使っているものの多くは、
最初から正解を狙って生まれたわけではありません。

  • ある科学者が、片付け忘れた実験皿
  • ある企業が、「失敗作」とラベルを貼った接着剤
  • ある発明家が、机の上でこぼした薬品

これらはすべて、
「Oops(やってしまった)」から始まっています。

でも彼らは、
そこでなかったことにしなかった

「失敗した」で終わらせず、
「なぜこうなった?」と立ち止まった。

そして、
「これ、別の使い道ないか?」と考えた。

この視点の切り替えこそが、
ブレイクスルーの正体です。


海外で働くエンジニアにとって、これは“人生保険”

海外の現場では、
避けられないものがあります。

  • 言語の壁
  • 文化のズレ
  • 暗黙知の欠如
  • 前提条件の勘違い

どれだけ優秀でも、
どれだけ準備しても、
必ず「Oops」は起きる。

だからこそ重要なのは、

失敗しないこと
ではなく
失敗した瞬間に、何を見るか

ここを間違えると、
自己否定に入ってしまう。

でもここを掴めると、
失敗は一気に資産になります。


この先の「承」では、
ペニシリン、ポストイット、加硫ゴムという
**歴史的な“やらかし”**が、
どうやって世界を変えたのかを見ていきます。

そしてそれが、
海外エンジニアとしてのあなたの
明日の失敗を、どう守ってくれるのか

「やらかした…」と思った瞬間に、
少しだけ楽しみになる。

そんな視点を、次で一緒に掘り下げます。

歴史は“Oops”を“Aha!”に変えた人でできている(約3000文字)

ここで一度、エンジニアという肩書きを外して、
**人類全体の「やらかしログ」**を眺めてみましょう。

面白いことに、
「最初から完璧な設計で生まれた大発明」は、ほとんどありません。
むしろ歴史を動かしてきたのは、

うまくいかなかった実験
失敗と判断された試作品
偶然起きた想定外の出来事

こうした「Oops」たちです。

そして重要なのは、
それを見逃さなかった人間がいたという事実です。


ペニシリン:片付けなかった人が、世界を救った

1928年、細菌学者アレクサンダー・フレミングは
ブドウ球菌の研究をしていました。

ある日、休暇から戻ると、
実験室のシャーレの一つがカビだらけになっていた。

普通ならどうするでしょう?

  • 「失敗だ」
  • 「管理が甘かった」
  • 「捨てよう」

実験の世界では、
むしろ捨てるのが正解です。

でもフレミングは、
すぐに捨てなかった。

彼はこう思った。

「……あれ?
カビの周りだけ、細菌が死んでないか?」

この「違和感」に立ち止まったことで、
世界初の抗生物質、ペニシリンが誕生します。

ここで注目したいのは、
彼が天才だったからではありません。

  • 実験を失敗と断定しなかった
  • 想定外をノイズ扱いしなかった
  • 「おかしい」を観察対象にした

つまり、
失敗を“観察可能なデータ”として扱った

これは、
海外のエンジニア現場で評価される姿勢と
驚くほど似ています。


ポストイット:誰も欲しがらなかった「失敗作」

次は3Mの話です。

3Mの研究者は、
「超強力な接着剤」を作ろうとしていました。

ところができたのは、
くっつくけど、すぐ剥がれるという
中途半端な代物。

市場価値ゼロ。
誰も評価しない。
典型的な「失敗作」です。

普通の企業なら、
ここでプロジェクト終了でしょう。

でも3Mは違った。

  • 失敗した理由を共有する
  • 社内で自由にアイデアを試す
  • 「使い道があるかもしれない」と保管する

数年後、
ある社員が教会の聖歌集に挟んだ紙が
すぐ落ちることに困っていました。

そこでふと思い出す。

「あの、弱い接着剤…使えるんじゃ?」

こうして生まれたのが、
Post-it Notesです。

ここでのポイントは明確です。

  • 技術そのものは変わっていない
  • 価値が変わったのは「文脈」
  • 失敗が、用途変更で成功に変わった

これは、
海外の現場でよく見る光景でもあります。


「この設計、ダメだった」は終わりじゃない

海外で設計レビューを受けていると、
こんな会話が普通にあります。

「This approach didn’t work last time.
But in this context, it might actually help.」

日本だと、
一度「ダメ」と言われた設計は
二度と口に出しにくい。

でも海外では、
過去の失敗が、そのまま引き出しになります。

なぜなら、

  • 失敗=状況依存
  • 正解は文脈で変わる
  • 昨日のNGは、今日の最適解かもしれない

この考え方が、
ポストイットの誕生と完全に一致している。


ゴムを焦がした男が、産業を変えた

チャールズ・グッドイヤーは、
ゴムを実用化しようとしていました。

当時の天然ゴムは、

  • 夏はベタベタ
  • 冬はカチカチ
  • とても製品にならない

何年も失敗続きで、
借金まみれ。
投獄まで経験します。

ある日、
ゴムと硫黄の混合物を
誤ってストーブの上に落とした

普通なら、
「最悪だ」となる場面。

でも彼は、
焦げたゴムを観察した。

すると、

  • 熱に強い
  • 弾力がある
  • 温度変化に耐える

これが加硫ゴムです。

またしても、
「Oops」が世界を変えた。


共通点は、才能じゃない

ここまで3つの話を見てきて、
共通しているものは何でしょうか?

  • 高いIQ?
  • 天才的ひらめき?
  • 特別な教育?

違います。

共通点は、
失敗を“確定させなかった”こと

  • すぐに捨てない
  • すぐに忘れない
  • すぐに自分を責めない

代わりにやったのは、

  • 観察する
  • 記録する
  • 文脈を変えて考える

これはそのまま、
海外エンジニアとして生き残る力です。


海外の現場は「未完成ログ」を歓迎する

海外のミーティングで、
こんな発言をよく聞きます。

「I’m not sure yet, but here’s what I’ve seen so far.」

未完成。
仮説段階。
失敗含み。

それでも共有する。

なぜなら、

  • 完成品より、途中経過の方が価値を生む
  • 他人の視点で化ける可能性がある
  • 早く出した方が、被害が小さい

これは、
歴史的ブレイクスルーと同じ構造です。

海外現場で気づいた、失敗に強いエンジニアの共通点(約3000文字)

ここまでで見てきたように、
歴史を動かしたブレイクスルーはすべて
「やらかし」から始まっています。

でも、こう思ったかもしれません。

「いやいや、それは歴史的天才の話でしょ」
「自分はただの現場エンジニアだし…」

実はここが、一番大きな勘違いです。

海外のIT現場で評価されているのは、
天才的にミスをしない人ではありません。

むしろ評価されているのは、
失敗に“強い”人です。

では、その「強さ」はどこから来るのか。
実体験ベースで、はっきり言語化します。


① 失敗を「説明可能なオブジェクト」に変える

海外の設計レビューやポストモーテム(振り返り)では、
感情の話はほとんど出てきません。

代わりに出てくるのは、

  • 前提条件
  • 判断基準
  • トレードオフ
  • その時点で見えていた情報

つまり、
失敗を“構造物”として扱う

例えばこんな言い方です。

「Given the constraints at that time,
this choice seemed reasonable,
but we didn’t anticipate X.」

ここで重要なのは、
「正当化」ではないという点。

  • なぜその判断に至ったか
  • どこが見えていなかったか
  • 次は何を追加で見るべきか

これを言語化できる人は、
一気に信頼を得ます。

C# WPFの設計でも同じです。

  • なぜMVVMをこう切ったのか
  • なぜこの責務分離にしたのか
  • なぜこのイベント設計にしたのか

結果が失敗でも、
説明可能なら価値は落ちない


② 失敗を「共有前提」で扱っている

海外のエンジニアは、
最初からこう思っています。

「これは、たぶんどこかでズレる」

だから、
失敗を「隠すもの」として扱わない。

  • 小さな違和感を早めに出す
  • 仮説段階で相談する
  • 完璧じゃなくてもレビューに出す

最初は、
この姿勢が怖かった。

「まだ詰めきれてないのに?」
「英語も自信ないのに?」

でも、
早く出した人ほど、
ダメージが小さい。

そして面白いことに、
失敗を先に出した人ほど、主導権を握る

なぜなら、

  • 議論のフレームを作るから
  • 問題定義をした人になるから
  • 「考えている人」と見なされるから

これは日本との決定的な違いです。


③ 「失敗=自分」にならない

海外で働いて一番救われたのは、
この感覚でした。

失敗しても、
人格否定に直結しない。

  • This design failed.
  • This approach didn’t scale.

主語は常に、
設計・プロセス・判断

I(私)ではない。

だから、
心理的に立て直しが早い。

日本だと、
無意識にこう変換してしまいます。

設計が失敗した
→ 自分がダメ
→ 次は黙ろう

海外では逆。

設計が失敗した
→ 情報が増えた
→ 次はどう改善する?

この違いは、
長期的に見ると
キャリアの寿命を大きく左右します。


④ 失敗談を「信用通貨」として使っている

海外のシニアエンジニアは、
よくこんな話をします。

「昔、これで盛大にやらかしてね…」

しかも、
笑いながら。

最初は驚きました。

「そんなこと言って大丈夫?」

でもこれは、
自分の地雷マップを共有している行為です。

  • ここは危ない
  • ここは過去に爆発した
  • だから今回はこうする

結果として、

  • チーム全体の事故率が下がる
  • シニアの発言が重くなる
  • 若手が安心して挑戦できる

失敗談は、
信頼を失うどころか、
信頼を蓄積する


⑤ 英語が拙くても、失敗の価値は下がらない

これは、
海外で働く日本人エンジニアに
一番伝えたいことです。

英語が完璧じゃなくてもいい。

  • 単語が足りなくても
  • 文法が怪しくても

失敗を構造で話せれば、十分伝わる

むしろ、

  • 何を考えていたか
  • どこで詰まったか
  • 何を学んだか

これが話せる人は、
英語力以上に評価されます。

私自身、
流暢とは程遠い英語でも、
失敗レビューで発言するようになってから
明らかに扱いが変わりました。


海外エンジニアの「強さ」の正体

まとめると、
失敗に強いエンジニアは、

  • 失敗を構造化する
  • 早めに共有する
  • 自己と切り離す
  • 経験知として語る

そして、
これは才能ではありません。

習慣です。

次に転ぶとき、あなたはもう得をしている(約3000文字)

ここまで長く読んでくれたあなたは、
もう気づいているはずです。

失敗そのものが、人生やキャリアを壊すわけじゃない。
壊すのは、
「失敗にどう意味づけるか」という解釈です。

ペニシリンも、ポストイットも、加硫ゴムも、
最初の瞬間だけを切り取れば、
全部「やらかし」です。

でも歴史は、
その瞬間ではなく、
**その後の“向き合い方”**を評価しました。

これはそのまま、
海外で働くエンジニアの人生に当てはまります。


失敗は「避けるイベント」ではなく「必ず来るイベント」

海外の現場で働く以上、
失敗は避けられません。

  • 言語の壁
  • 文化の違い
  • 前提条件のズレ
  • 認識齟齬
  • 暗黙知の欠如

どれだけ準備しても、
どれだけ慎重でも、
必ず転びます

だから大事なのは、

転ばないこと
ではなく
転んだあと、何を拾うか

この視点を持てるかどうかで、
海外エンジニアとしての“寿命”が変わります。


次に失敗したら、こう考えてほしい

次に「やらかした」と感じたとき、
自分にこう問いかけてください。

  1. これは、どんな前提のもとで起きた?
  2. 当時、見えていなかった情報は何?
  3. この失敗は、どの文脈なら価値になる?
  4. 誰に共有すれば、チームの資産になる?

これは反省ではありません。
設計レビューです。

しかも、
あなた自身の人生設計レビュー。


失敗は「信用残高」を積み上げる

海外の現場で、
本当に信頼される人は
「失敗しない人」ではありません。

信頼されるのは、

  • 失敗を隠さない人
  • 失敗を言語化できる人
  • 失敗を再利用できる人

こういう人です。

失敗談を語れる人は、
「何も考えずに動いた人」ではなく、
「考えた痕跡を持っている人」

だから、
発言に重みが出る。

これは英語力とは別の話です。


英語が不安なあなたへ

海外で働く日本人エンジニアは、
どうしてもこう思いがちです。

「英語ができないから、発言しない方がいい」

でも実際は逆。

失敗を構造で話せる人は、
多少英語が拙くても評価される。

なぜなら、

  • 完璧な英語より
  • 完璧なロジックより

「実体験から来る判断」が一番価値があるからです。

あなたの失敗は、
あなたにしか持っていないデータです。


人生術としての「Oops → Aha」

ここまでの話を、
一つの人生術にまとめます。

「Oops」は、
視点を変えれば
必ず「Aha!」になる余地がある

これは楽観主義ではありません。
構造的な現実です。

  • 失敗は情報を増やす
  • 情報は判断を良くする
  • 判断は信頼を生む

このループを回せる人は、
どんな環境でも強い。


最後に、海外で働くあなたへ

もし今、

  • ミスして落ち込んでいる
  • 自分の実力に疑問を持っている
  • 周りと比べて苦しくなっている

そんな状態なら、
一つだけ覚えておいてください。

あなたは、もう得をしています。

なぜなら、

  • 転んだから
  • 気づいたから
  • 立ち止まったから

その経験は、
次に同じ場所を通る誰かを守れる。

それは、
エンジニアとして、
そして一人の人間として、
とても価値のあることです。


失敗は、
キャリアの傷ではありません。

履歴です。

次に転ぶとき、
あなたはもう前より強い。

そう信じて、
今日も一歩、前に進んでください。

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