非ネイティブでも信頼される「間の取り方」と「質問の仕方」

— 英語に詰まっても“黙ってる”のが正解じゃない

黙ってるだけで損をしていた

「質問ありますか?」

──会議の終わり、そう聞かれて、僕は何度も黙っていた。

英語が聞き取れなかったわけじゃない。
疑問がなかったわけでもない。
ただ、何をどう聞いていいかわからなかった。

質問したいことは頭の中にあるのに、英語にするまでに時間がかかる。
その“考えてる時間”が、グローバル会議のテンポでは「沈黙」にしか見えない。
そしてその沈黙が、「理解してる」「納得してる」「やる気がない」「存在感がない」──と、相手に勝手な印象を与えていた。


僕が初めて海外のチームに参加したとき。
技術は通じても、人間としての信頼感がなかなか得られなかった。

同じWPFの話をしていても、英語で「すぐ返す人」はどんどん信用を得て、
英語で「考えてる人」は“何も言えない人”に見えてしまう。

この“見え方”のギャップが、想像以上に大きかった。


ある日、リーダーが言った。

“I noticed you’re often quiet. Are you unsure about the requirements, or just processing?”

ドキッとした。

沈黙していたのは、英語で正確に返したいという「誠実さ」だったはずなのに、
その誠実さが、「不安」や「無関心」に見えていたことを突きつけられた。


非ネイティブの僕たちは、英語を“正しく”話そうとするあまり、
沈黙の時間を作ってしまうことがある。
でも、グローバルな職場ではその「間(ま)」こそが、誤解を生む最大の原因になる。

英語が流暢じゃなくても、信頼は得られる。
ただし、**「間をどう扱うか」「どう質問するか」**には、ちょっとした戦略が必要だった。


この記事では、
✔️ 話せない時に“沈黙”しない工夫
✔️ 「少し時間ください」を伝える一言フレーズ
✔️ 英語が出てこなくても使える“質問テンプレ”
✔️ 「考えてる」と「黙ってる」の違いを見せる方法
を、実体験ベースで紹介します。


僕が経験から学んだのは、
**「うまく話すこと」より、「気配を見せること」**の方が大事だったということ。

次の章からは、実際にどういう「間の取り方」が誤解を減らし、
どんな「質問のしかた」が英語力以上に信頼を引き出せるのかを、具体例でお伝えします。

流暢さよりも、“気配”を出す英語

「会議中、あいつは話してることを本当に理解してるのか?」

──これは、かつて僕が参加していた海外プロジェクトで、PMがこぼした言葉です。
その「あいつ」は僕でした。

英語が聞き取れなかったわけじゃない。
むしろ、相手の意図を日本語に訳しては、自分の中で整理していた。
でも、僕の外側は“ただ黙っている人”に見えていたらしい。


◼︎ 英語で考える時間は「無言のリスク」

グローバルチームでは、無言の時間は、存在感の欠如として映ることがあります。
日本では「黙って聞く=真剣に考えている」ですが、海外では
「何も返さない=理解していないか、関心がない」と受け取られることが多い。

たとえば、こんな場面。

PM: “So, does this UI transition work for your team?”
(このUIの切り替えって、君のチーム的にOKかな?)

このとき僕は「いや、ちょっと気になる点があるな」と思いながらも、
英語でどう言うかを数秒考えてしまった。5秒くらい。

でも、その5秒が「気づかれないノーリアクション」になった。
結果、PMは「異議なし」と解釈して進めてしまい、あとから調整に追われる羽目に。


◼︎ 沈黙ではなく、“間”をコントロールする

そこで僕が身につけたのが、“英語が出てこない時間”に、気配を残す技術

以下のようなシンプルな一言を間に挟むだけで、印象がガラリと変わります。

  • Give me a sec to think.(少し考えさせて)”
  • I do have something on my mind, let me just find the words.(言いたいことはあるんだけど、うまくまとめたい)”
  • Just a moment—I want to be clear on this.(ちょっとだけ、この点は明確にしたい)”

これを言うだけで、相手は「この人はただ黙ってるのではなく、考えてくれてるんだ」と受け取ってくれます。
英語力の問題じゃない、“気配の演出”の問題だったんです。


◼︎ 質問できる人=信頼される人

もうひとつ、信頼を築く鍵になるのが「質問力」です。

会議の最後に必ず聞かれる「Any questions?」に対して、
僕は最初、うまく反応できませんでした。
「変なこと聞いたらダメかも」と思って、つい黙ってしまう。

でも、ある日、同僚のスペイン人エンジニアが、
完璧とは言えない英語で、すごく素朴な質問をした。

“So if the flow changes here, how does it affect the navigation logic?”

そのとき、PMがパッと表情を変えて、
「いい質問だね。実はそこ、まだ詰めてないんだ」と反応したんです。


僕は驚きました。
英語の上手さではなく、「気づきを与える問い」が、信頼を引き出す。

それから僕は、**「質問をする習慣」**を意識するようにしました。
完璧じゃなくていい。「気になったこと」をシンプルに伝えるだけでいい。

以下は、僕が実際によく使っていた質問テンプレです:

  • Just to confirm, does this mean we won’t need the existing handler anymore?
    (確認なんだけど、これって今のハンドラは不要になるってこと?)
  • What would happen if the user hits back before this point?
    (この前に戻るボタン押されたらどうなる?)
  • Would it be OK to walk through the flow again, just to be sure I got it right?
    (もう一回フロー確認してもいいかな?ちゃんと理解できてるか確かめたくて)

質問は、相手にとっても、自分の考えを深めるきっかけになります。
英語で何も話さなかった人は「ただの作業者」として扱われがちだけど、
質問できる人は「プロジェクトに関心を持っている仲間」になれる。


◼︎ “英語が下手でも伝わる”は本当か?

結論から言うと、「伝わるための工夫」があれば、本当にそう思います。

英語が流暢じゃなくても、

  • タイミングを逃さず
  • 質問を恐れず
  • 間を制御する

これができれば、**話す量よりも、話した“質”**で信頼されるようになります。

「話せるようになったつもり」が招いた落とし穴

ある日、ちょっとした自信を得た僕は、英語ミーティングでもなるべく早くレスポンスを返すようにしていた。

「相手に“間”を感じさせないようにしよう」
「質問も早く、テンポよく出していこう」

でも、その“テンポ重視”が、逆に信頼を損なったことがある。


◼︎ やりがちな失敗①:とりあえず返して誤解される

リーダー:「So we’re merging the two views into a single page. Does that make sense on your side?」
(この2つのビューを1ページにまとめる形だけど、それで問題ない?)

僕:「Yeah, yeah, that makes sense.」

──と、つい反射的に言ってしまった。
でも実は、「どこまで統合するのか」がよく分かってなかった。

そのまま開発に入ったら、「ここも統合される前提だったのに、なぜ分けて作ってるの?」とレビューで指摘され、信用がガタ落ちに。


この失敗から学んだのは、

✔️ “間を埋める”ことと、“分かったフリをする”ことは全く別

だった。

会話のテンポを意識しすぎて、“Noとすら言えない人”から、“Yesマン”に落ちたのだ。
これは、沈黙よりも信用を失いやすい。


◼︎ やりがちな失敗②:「質問がズレてる」と言われる恐怖

英語で頑張って質問したのに、「あ、それはもう説明したよね?」と言われてしまったこともある。

たとえば:

僕:「So, what happens when the user clicks Save here?」
(この「保存」を押したときって、どうなるんでしたっけ?)

→ PM:「I think we covered that already earlier.」
(それさっき説明したと思うよ。)

──これが結構キツイ。

「聞き逃してたのか」
「言語の問題か」
「そもそも集中してなかったのか」

…相手には理由は見えない。
でも、“同じことを繰り返し聞いた人”として、ちょっと信用が下がる。


その日以来、僕は質問をする前に、2秒だけ考えるようにした。

  • 「この質問、今の文脈に合ってるか?」
  • 「誰に向けて言ってるかが明確か?」
  • 「自分の意図は1文で言えるか?」

そして、こんな前置きを付けることで、「ズレてる感」を減らせるようになった:

  • Sorry if this was already mentioned, but could you clarify…
    (すでに出てたらすみませんが、もう一度…)
  • Just to double-check—about the save behavior…
    (確認させてください。「保存」の挙動についてですが…)
  • Based on what I understood, this happens, right?
    (自分の理解ではこうなる認識ですが、合ってますか?)

質問する勇気も大事だけど、
相手の“認知コスト”を減らす工夫も、信頼構築には欠かせない。


◼︎ すぐ返せなくても「気にしてる感」は出せる

英語で「すぐ答えられない」「内容が重い」そんな場面では、無理に話そうとせずに、
**“考えてることは伝える”**ことを優先するようにした。

たとえば:

  • That’s a great question. I’d like to give it a bit more thought and get back to you after the meeting.
    (それ、いい質問ですね。少し考えてからミーティング後に返してもいいですか?)
  • I’ll draft a short summary with my thoughts and share it on Slack later today.
    (簡単にまとめてSlackで後ほど共有しますね)

→ こうすることで、「黙って終わる人」ではなく、「考えた上で返す人」に見られるようになった。


◼︎ “信頼される非ネイティブ”の共通点

プロジェクトの中で、他にも非ネイティブの仲間が何人かいた。
中には英語がうまくなくても、明らかに信頼されている人がいた。

彼らに共通していたのは、以下のポイントだった:

  1. 聞き返すことを恐れない
     → “Sorry, could you say that again?” を迷わず言う。
  2. 沈黙の時間に“意図”を添える
     → “Let me process that for a sec.” を一言添える。
  3. 不完全でも、質問を投げる
     → “I’m not sure if this makes sense, but…” と前置きすればいい。

彼らを見ていて、僕は気づいた。
「話せるかどうか」よりも、「関わっている感」をどう出すかが、信頼の鍵なんだと。

「完璧な英語」より、「誠実なレスポンス」を武器にする

振り返ってみると、僕が最初に海外チームに入った頃、ずっと間違った「戦い方」をしていた。

「完璧な英語を話さなきゃ」
「質問は的確に、端的に」
「考えるより早く返すのがプロ」

──そう思い込んでいた。

でも現実は違った。

相手が見ているのは、「その人がどれだけ英語が上手か」ではなく、
**「どれだけ関わろうとしているか」**だった。


◼︎ 英語の流暢さは、信頼の“材料”の一つにすぎない

僕が一番信頼を得られたと感じたのは、こんなやりとりをしたときだ。

PM:「Are you okay with the deadline for this part?」
僕:「Actually, I might need a bit more time. I’m still checking the edge cases. Can I update you by tomorrow morning?」

──流暢じゃない。でも、誠実だった。

その一言で、PMの対応が変わった。
「ありがとう、そう言ってくれて助かる。朝のミーティングで状況を確認しよう」と返ってきた。

僕はその時初めて、「ちゃんと話そうとする姿勢」が評価されるという実感を得た。


◼︎ 非ネイティブ向け「信頼を得る」実践ルーティン5選

海外で英語で働く日々の中で、僕が自然に取り入れていった“ルーティン”を紹介したい。

どれも、英語がうまく話せなくてもできる、「気配」と「関与」を見せる技術だ。


✅1. 会議では「考えてます宣言」を入れる

無言が続きそうな時には、即座に:

“Let me think for a second.”
“I just need a moment to process that.”

とワンクッション入れる。これだけで印象がまったく変わる。


✅2. 質問は「完璧に言えないまま」投げる勇気を持つ

“I’m not sure if I’m framing this right, but…”
“Can I ask something that might sound basic?”

──という“免罪符フレーズ”を添えると、英語がぎこちなくても受け入れてもらいやすくなる。


✅3. わからない時は「後で返す」と“時間を買う”

返せない時に沈黙するよりも、こう言う:

“I’d like to take a closer look and get back to you after this.”
“Let me give it some thought and write up a summary later.”

→ 発言しないより、後で返す意思表示の方が信頼される。


✅4. Slackやメールで「補足コメント」を残す

リアルタイムで話せなくても、あとでSlackに:

“Just to follow up on what we discussed…”
“I had a thought after the meeting, regarding…”

と書けば、「黙ってた人」から「考えてた人」にランクアップできる。


✅5. 会議の最後に、あえて1つ質問を出す

英語が下手でもいい。とにかく1つ聞く。

“Can I just clarify one thing before we close?”
“Just curious—what happens if the input is null?”

→ 発言ゼロで終わるのと、1つでも“参加の証”を残すのとでは印象が大きく違う。


◼︎ まとめ:非ネイティブの武器は、「沈黙しない勇気」

このVol.5で伝えたかったのは、
「英語がうまくなきゃ話せない」という思い込みを壊すことだ。

英語が出てこなくても、“伝える姿勢”は見せられる。
流暢でなくても、“関わる意志”は伝えられる。

そして、沈黙は「誠実さ」ではなく、「不在」として映ることがある──その認識のズレが、信頼を遠ざけてしまうこともある。


🎯最後に:これからのあなたへ

もし、あなたがこれから海外のプロジェクトに挑戦するなら、
「正しい英語を話すこと」よりも、
「関係を築く英語」を意識してほしい。

質問する勇気を持とう。
考えているなら、その“考えてます”を伝えよう。
沈黙するより、「今は沈黙してる理由」を一言伝えよう。

非ネイティブだからこそできる、相手に寄り添ったコミュニケーションは、
いつか「こいつと仕事すると、気持ちいいんだよね」と言われる力になる。

あなたの“間”と“質問”が、武器になることを願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました