― Fluentじゃなくていい。通じる英語で戦うエンジニア術 ―
「喋れない。でも、仕事は回さなきゃいけない」
正直に言うと、僕は海外に来たばかりの頃、英語がまったく喋れませんでした。
もちろん中学・高校で勉強してたし、TOEICも取った。けど、実務で必要な“話す・伝える”スキルとは全然別モノだったんです。
文法も単語も頭にある。でも、口が動かない。
伝えようとしても、「あー…えーと…」ってなって、会議の場が静まり返る。
――あの空気、正直キツかった。
WPFでGUIの設計をしていて、仕様をチームに説明しなきゃいけない。
でも、何をどう言えば伝わるのかわからない。
頭の中では「こんなロジックで動いて、こう設計したい」とイメージはあるのに、言語化できない自分が悔しかった。
それでもプロジェクトは止まらないし、リリースは迫ってくる。
「英語ができないから伝えられない」って言い訳は通じない現場。
そこで僕は考えました。
**「Fluentじゃなくていい。伝えるための“戦い方”を自分なりに見つけよう」**って。
英語が得意じゃない人にとって、「話す」って本当にハードル高い。
でも、伝える力は英語力だけで決まらないんですよ。
ちょっとした工夫や考え方で、“通じる話し方”って実は作れる。
このVol.3では、僕がゼロから試してきた**「英語が苦手な人でも伝えられる話し方の訓練法」**をシェアします。
机に向かって勉強するんじゃなくて、現場で使えるリアルなスキルを磨く方法です。
「英語は苦手だけど、海外で戦いたい」「自信がないけど、仕事はできるようになりたい」
そんなあなたのための記事です。
僕がやってきた「通じる英語」のトレーニング法
「英語はできないけど、仕事は止められない」
その現実にぶつかった僕が、本気で“通じる話し方”を学ぼうと決めた時、やったことは意外とシンプルでした。どれも机の上じゃなくて、現場で生きるトレーニングばかりです。
① 自分ルールの“使い回し英語フレーズ”を作る
最初にやったのは、英語のテンプレを自作することでした。
ビジネスの現場って、実はそんなに多彩な言い回しは使わない。だからこそ、よく使う場面ごとに“決め台詞”を準備しておくと、迷わず言葉が出せるようになるんです。
たとえば、こんな感じ:
- 要件の確認をしたいとき:
👉 “Just to confirm, do you mean that…?” - 仕様の変更を説明したいとき:
👉 “We decided to change this part because…” - 意見を伝えたいとき:
👉 “From my point of view, I think…” - 相手に依頼するとき:
👉 “Would you mind taking a look at this?”
こういう「自分用の言い回し」を20個くらいストックして、何も考えずに口から出せるようになるまで練習しました。
発音が完璧じゃなくても、文法が少しおかしくてもいい。伝われば勝ちです。
② 会議は“実況中継”で乗り切る
英語会議って、聞き取るだけで精一杯になりませんか?
僕は最初、会議中ずっとメモしてたけど、あとで見返しても意味不明。
そこでやり方を変えました。
会議中、リアルタイムで“英語で独り言”をつぶやく練習をしたんです。
要は、自分の頭の中を実況中継する感じ。
- “Okay, she’s explaining the UI part…”
- “Now they are discussing the bug…”
- “Maybe I’ll need to ask about the schedule…”
これ、意外と効果あります。
理由は簡単で、「聞く」と「話す」を同時に訓練できるから。
最初はうまく言えなくても、「何が話されてるか」を英語で言おうとするだけで、会話のスピードについていけるようになってきます。
慣れてくると、そのまま口を開いて意見が言えるようになります。
③ “聞かれて困った質問”ノートを作る
会議や雑談で、**「うっ…それ英語でなんて言えばいいんだ…」**って詰まったこと、ありませんか?
僕はこれが多すぎて、悔しさをバネに「聞かれて困った質問ノート」を作りました。
ルールは簡単:
- その日に詰まった英語の質問やフレーズをメモ
- 帰宅後、調べて日本語・英語の両方を書いておく
- 翌日、同じ状況になったらそれを口に出す
たとえば:
- “How long will it take to implement this?”
→「それ実装にどれくらいかかる?」
→ “It’ll probably take around 3 days, but I need to confirm with the team.”
毎日1フレーズずつでもいいので続けると、**自分だけの「対応辞書」**ができあがります。
これ、めちゃくちゃ自信に繋がります。
④ “反応から逆算する”会話の組み立て方
英語で伝えるとき、内容よりも“伝わり方”が重要です。
つまり、「自分が何を言いたいか」じゃなくて、「相手がどう聞こえるか」から逆算する思考法。
たとえば、日本人エンジニアはよく「I think…」で始めるけど、それだけだと弱く聞こえることがあります。
だから僕はこう言い換えます:
- “From a technical perspective, I recommend…”
- “One option could be that we…”
- “I understand your point, but we also need to consider…”
これ、内容は同じでも「提案らしく」聞こえるので、説得力がぐっと上がります。
英語が拙くても、論理と構造でカバーできます。
⑤ 雑談トレーニングは「型+笑顔+質問」でOK
業務だけならなんとかなる。でも雑談が地獄…って思ってる人、正直多いです。僕もそうでした。
でも、雑談って「型」があればめっちゃ楽です。
- 天気:
👉 “It’s really hot today, right?” - 週末の予定:
👉 “Any plans for the weekend?” - 食事ネタ:
👉 “Have you tried that new ramen place?”
あとは、笑顔+質問。この2つだけで乗り切れます。
英語力よりも、「この人と話すの楽しいな」って思わせる雰囲気作りが大事。
🟡まとめ:英語力≠話す力。伝えたい意思が一番の武器
ここまで紹介した通り、僕がやったのは“英語力を上げる”ことじゃなく、伝えるための技術と習慣をつけることでした。
- 英語テンプレを使い回す
- 会議中に頭の中で実況中継
- 詰まった質問を記録して対策
- 相手の反応を想像して言い換える
- 雑談の型を持って、笑顔で接する
これらは全部、「英語が苦手な自分でもできる」ことでした。
訓練が生きた“あの瞬間”。通じた実感と、伝わった手応え。
「自分の言葉で、ちゃんと伝わった」
これを初めて実感したときのこと、今でもよく覚えています。
あの頃の僕は、WPFでUIフレームワークを構築するプロジェクトに参加していて、設計変更に関するプレゼンを英語でやることになりました。
“英語でプレゼン”なんて、日本にいた頃は想像もしなかった。
正直、胃が痛かったです。
前日なんて、夜中3時まで自分の“自作フレーズ”を繰り返し練習してました。
🔧ケース1:設計変更の提案ミーティング(ロンドンチーム)
プロジェクトの途中、既存のXAMLテンプレートにバグがあり、UIの再描画が異常に遅くなることが判明。
この改善策として、レイアウトの描画方式を「Grid」から「Canvasベース+コードビハインド管理」に変える必要が出てきた。
技術的には正解でも、問題は「どうチームに納得してもらうか」。
特に相手はロンドンの開発チーム。全員ネイティブ。プレッシャーすごい。
そこで僕は、自作テンプレ+実況訓練の成果を総動員しました。
プレゼンで言ったのは、例えばこんな感じの英語:
“Hi team, I’d like to walk you through the layout performance issue we found and the proposed solution.”
“From the profiling results, the current Grid-based XAML is causing a delay of over 300ms per redraw.”
“Our suggestion is to refactor this part using a Canvas model, which will give us more direct control.”
“I understand it’s a big change, but the implementation effort is reasonable, and it improves responsiveness by 60%.”
文法が完璧かは正直わかりません。でも、相手のリアクションが違ったんです。
首を縦に振りながら聞いてくれたり、口元で「OK」と言ってくれたり。
最後にはチームリーダーがこう言いました:
“Thanks for the clear explanation. That makes sense to us. Let’s go ahead with your plan.”
その瞬間、「通じた!」と心から思いました。
自分の英語が完璧じゃなくても、伝えようという構造と意図さえあれば、ちゃんと動かせるんだって。
🤝ケース2:雑談の効果で仕事がスムーズに
実は、技術的な英語以上に効果を感じたのは雑談の型+笑顔です。
プロジェクト後半で一緒になったイギリス人のPM(プロジェクトマネージャー)がいたんですが、最初はめちゃくちゃドライな人でした。
無口、反応薄め。「あ、たぶんこの人苦手だわ…」と最初は思ってた。
でも、ある日の朝、天気がよくてついこう声かけたんです。
“It’s sunny in London! Rare day, huh?”
そしたら思いがけず、パッと笑ってこう返してきたんですよ。
“Yeah, don’t jinx it!”
そこから一気に距離が縮まりました。
週末のことを少し話すようになり、次第にお互いの国の文化を語るようになって…
数週間後には、作業の優先順位調整を相談したとき、柔軟に対応してくれるようになっていました。
エンジニアリングって技術だけじゃない。
人間関係がスムーズだと、情報も支援も集まりやすくなる。
僕はこの時、「雑談は戦術だ」と本気で思いました。
🧠壁はなくならない。でも戦い方は変えられる
もちろん、今でも完璧な英語スピーカーではありません。
知らない単語もあるし、言いよどむこともある。
でも、以前と決定的に違うのは「怖くない」ってこと。
- 自分の伝え方に「型」がある
- 話す内容を「構造」で整理できる
- 言葉が出なくても、「聞き返す技術」を身につけた
つまり、英語で“戦う武器”を持てるようになったんです。
📈実感した成長の指標
僕がこの方法を半年続けて感じた変化:
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 英語会議での発言 | ほぼゼロ | 毎回2〜3回は意見を言う |
| 提案が通る頻度 | ほぼ無し | 月1〜2回は採用される |
| 雑談での会話継続時間 | 1〜2ターンで終了 | 5〜10分程度続くことも |
| ストレスレベル | 毎日ピリピリ | かなり軽減、余裕あり |
🔁伝わる英語=関係を変える力
ネイティブじゃない僕たちが、世界で仕事をしていくには、「完璧な英語」よりも**“届く言葉”**が必要。
言葉の壁はある。でも、戦い方を知っているかどうかで、結果は変わる。
非ネイティブでも成果を出すための第一歩は、
「伝えられた」という体験を1つ積むこと。
その体験が、英語に対する不安を確実に減らしてくれます。
「通じた」が「伝わる」になるまで。そしてその先へ。
英語で話すことに自信がなかった自分が、伝える力を少しずつ育ててきた日々。
その中で得た一番の実感は、
「英語はスキルじゃなくて、ツールである」ということ。
武器の扱いに慣れれば、戦える場所が広がる。
そして、誰かの助けにもなれるようになる。
🌱成長のその先にあった“変化の連鎖”
海外の現場で英語と格闘する日々の中、僕はある日ふと気づいたことがありました。
「あ、自分が困ってた時と同じ状況で悩んでる人が、チームにいる」
プロジェクトの中盤、インドから来た若手エンジニア(Amit)が加わりました。
技術力はある。でも、会議での発言は少なく、顔も強張っていた。かつての自分を見ているようでした。
ある日のチームミーティングで、Amitの設計について上司が質問したとき、彼は黙ってしまった。
その瞬間、空気が微妙になった。
僕は、かつて自分が使った言葉を、彼のために使いました。
“I think Amit has a good idea here. Maybe he can walk us through his logic step-by-step?”
彼は少し驚いた顔をした後、ゆっくりと話し始めた。
たどたどしかったけれど、論理は明確で、最後にはみんなが納得した。
会議の後、彼が僕の席まで来て、照れくさそうにこう言いました。
“Thank you… It’s difficult, but I’ll try more.”
あの時、自分の英語が彼の“安心”につながったと感じた瞬間でした。
🔁「英語ができる人」ではなく「英語で助けられる人」へ
こういう経験を重ねて思ったのは、
英語の上手さより、“味方でいる姿勢”のほうが現場で価値があるということ。
言葉を通して、“信頼”や“安心”を築けるようになると、技術の提案も通りやすくなるし、情報共有も活発になる。
プロジェクト全体がうまく回る。
実際に、僕が英語を「伝える道具」として使いこなせるようになってから、次のような変化が起こりました。
- ✅ 海外チームとのコミュニケーション役を任される
- ✅ 技術提案が採用される機会が増える
- ✅ 新人エンジニアのオンボーディング担当に選ばれる
- ✅ 日本語しか話せないチームと、英語チームの“橋渡し役”になる
英語は、自分だけのために使う言葉じゃなくなった。
誰かの声を引き出すため、チームを前に進めるための手段になった。
📚「Fluentじゃなくていい」ことの本質
このシリーズのタイトルでもある「Fluentじゃなくていい」。
これは、決して「勉強しなくていい」という意味じゃない。
本質はこうです:
流暢さよりも、伝えようとする意志と、伝える工夫が大事。
たとえば、以下の3つがあれば、英語が下手でも仕事は回ると僕は実感しています。
- 構造で話す(結論→理由→補足)
- 反応を見て言い換える
- 相手の立場で考える
これらは全部、**言語じゃなくて“コミュニケーションの設計”**なんですよね。
WPFで画面のUIを設計するように、会話もロジックで組み立てられる。
💡「自信がないから黙る」から、「不安でも一言添える」へ
僕自身が乗り越えた最大のハードルは、
「間違えるのが怖い」という思い込みでした。
でも、間違いを笑う人って、実はあんまりいません。
それよりも、「言おうとしてくれた」ことを評価してくれる人の方が多い。
ある時、コードレビューのときにうまく言えず、「I mean… like… um… kind of shortcut…」とボロボロな説明をしてしまった。
でも、それを聞いたシニアエンジニアはこう言ってくれました。
“I got what you mean. You want to simplify the logic, right? That’s a good idea.”
このとき、**「伝わるって、完璧な言葉じゃなくていいんだな」**と本当に思えました。
それ以降、「言葉に詰まっても、話すこと自体が意味ある」って自分に言い聞かせてきました。
🔚まとめ:非ネイティブの自分にしかできない“戦い方”がある
僕たち非ネイティブは、確かにハンデがあります。
でも同時に、視点の広さ、丁寧な説明力、多言語の橋渡し能力など、独自の強みもあります。
「英語ができないから…」と自分を止めていたあの頃の自分に、今ならこう言いたい。
“間違っていい。伝える努力が、未来を変える。”
そしてこれから海外に出ようとしているエンジニアへ、心から伝えたいです。
✉️最後に:あなたが話す英語は、武器になる
英語が苦手でもいい。
言葉に詰まりながらでも、何度も言い直してもいい。
あなたの中にある「伝えたい思い」こそが、最大の武器です。
僕も、今でも完璧な英語なんて喋れません。
でも、今はこう思えます。
「言葉に不自由しても、成果は出せる」
これが、非ネイティブエンジニアとして海外で働いてきた僕のリアルな結論です。

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