- 雑談できないエンジニアは、損をする?
- 🔹技術以外の会話に入れない“孤立感”
- 🔹気づいた。「仕事だけやってればいい」じゃ通用しない
- 🔹文化の壁は、「意味」ではなく「笑い」で超える
- 🔹“仲間”になるには、「話しかけられやすい雰囲気」が先
- 話題に入れなくても、「場にいること」が信頼になる
- 🔹英語がネイティブでなくても、“雑談”に必要な語彙は限られている
- 🔹“話題に入る”より、“共通のリズムを刻む”
- 🔹時差を超える“雑談戦略”:沈黙しないチームの作り方
- 🔹「雑談=無駄」ではなく、「雑談=信頼コストの先払い」
- 🔹「言語より関心」が、雑談力を決める
- 雑談が、コードレビューの空気を変えた日
- 🔹“雑談でつながっていたから”できた、本音のやりとり
- 🔹“チャンネルでよく見かける人”は、仕事を頼みやすい
- 🔹雑談が“文化の違い”を越えるバッファになる
- 🔹雑談が“スキルセット以上の価値”を持ち始める瞬間
- 雑談は、スキルの前に届く信頼だった
- 🔹雑談に「入れたか」より、「思い出されるか」
- 🔹「仲間になる技術」──5つの雑談設計Tips
- 🔹日本的な「沈黙の礼儀」より、“あえて話しかける勇気”を
- 🔹結びに:技術も言語も越えて、“一緒に働きたい人”へ
雑談できないエンジニアは、損をする?
「雑談、しんどいな…」
アメリカのチームに入って数ヶ月。Slackで飛び交う軽快な会話、Zoomの雑談タイム、#randomチャンネルのノリ。
正直、技術的なレビューや実装議論よりも、この“ノリについていくこと”の方が遥かに難しかった。
みんなが自然に繰り出すジョークやミーム(そして時々差し込まれる小ネタ画像)、話題に上がるドラマ、スポーツ、ニュース。
英語が聞き取れても「ネタの文脈」が分からない。
話題に乗ろうとしても、「うん、それ知ってる!」と言えるネタがない。
そんな“透明人間感”を、僕はずっと抱えていた。
🔹技術以外の会話に入れない“孤立感”
これは僕だけじゃないと思うけど──
技術の話はできるのに、“それ以外”の会話に入れない孤立感って、けっこう堪える。
例えば:
- Slackの雑談チャンネルでみんなが「Taylor Swiftの新アルバム最高!」と盛り上がってる
→ そもそも知らないし、話題に入れず“既読スルー” - 朝のスタンドアップで「昨日のNFL試合すごかったよな〜!」と始まる
→ NFLルールすら分からず、愛想笑いだけ
もちろん、技術の話では普通にやり取りできる。
だけど、「あ、これはただの“業務の人”としてしか認識されてないな」と思う瞬間が、確かにあった。
そのうち、自分が「チームの雑談文化の外側」にいることに、じわじわと気づき始めた。
🔹気づいた。「仕事だけやってればいい」じゃ通用しない
日本でエンジニアをしていた頃は、“無駄話せずに手を動かす人”が信頼される文化だった。
でも、アメリカやグローバルチームでは、“雑談を通じて空気を読む人”が信頼されるという真逆の構図。
- 「冗談が通じるか」
- 「ユーモアを共有できるか」
- 「文化的な違いを笑い合えるか」
これらが、“この人と働いていて楽しい”という感覚=信頼感に直結する。
実際、リーダーやシニアエンジニアたちのSlackやZoomでの振る舞いをよく観察していると、彼らは業務よりも**「雑談力」で場を和ませ、チームをまとめていた**。
つまり、海外のエンジニアにとって**「雑談」は“潤滑油”ではなく“構造材”**だったのだ。
🔹文化の壁は、「意味」ではなく「笑い」で超える
あるとき、意を決して #random チャンネルで投稿した。
“Japan’s summer is brutal… I’m pretty sure my AC is plotting against me. 😅”
何気ないつぶやきだったけど、チーム内で意外なほど盛り上がった。
「Where in Japan are you?」
「It’s 108F in Arizona today… let’s trade 😭」
「Is your AC a tsundere?」
──突然、会話の扉が開いた。
ここで僕は、**雑談は「完璧な英語」じゃなく、「ネタと距離感」**で勝負できることに気づいた。
そして、その雑談こそが、“業務外の自分”を見せる一番のチャンスだった。
🔹“仲間”になるには、「話しかけられやすい雰囲気」が先
僕が雑談の壁を越えるようになったきっかけは、“自分から完璧に話すこと”を目指すのをやめたことだった。
- ちょっとだけ勇気を出して、リアクションの絵文字を1つ足す
- スタンプ1つで「それ知ってる」と意思表示
- チャットの最後に「Haha 😄」を付けることで軽さを出す
そんな小さなアクションが、“話しかけやすい雰囲気”を生む鍵だった。
SlackやTeamsの雑談で信頼を積むコツは、**「何を話すか」より「どう、そこに“居る”か」**なのかもしれない。
話題に入れなくても、「場にいること」が信頼になる
Slackの#randomにジョインするのは、まるで新しい教室に入る感覚だった。
誰も自分に話しかけてくるわけではない。
でも、ちょっとしたリアクションやコメントに、ほんの少し勇気を出して反応してみる──その繰り返しで、雑談という“文化圏”に少しずつ馴染んでいった。
🔹英語がネイティブでなくても、“雑談”に必要な語彙は限られている
雑談が難しい理由のひとつは、「何を話せばいいのか分からない」こと。
でも実際は、雑談の話題ってだいたい決まっている。
例えば僕のチームで頻出だったのは:
- 🌍 天気と季節(“Snowing again here in Oslo 😭”)
- 🐶 ペットの写真(“My cat just crashed my Zoom again.”)
- 🍔 ランチネタ(“Trying sushi for the first time! Any tips?”)
- 📺 ネットフリックスで観てる番組(“Who’s watching Stranger Things S5?”)
- 💻 PCトラブル(“Zoom froze… again. Is it just me?”)
これらの投稿には、完璧な英語も、鋭いユーモアもいらない。
**「ちょっと生活感のあるネタ」+「軽い共感」**があれば十分だった。
だから僕は、「英語で話す雑談」ではなく、「生活をシェアする雑談」に意識を切り替えた。
🔹“話題に入る”より、“共通のリズムを刻む”
ある日、アメリカの同僚が「Starbucks is now selling Pumpkin Spice Latte again 🎃」とポストしていた。
僕は、その飲み物の存在すら知らなかったけど、調べてみて、こう返した:
“Didn’t know that was a seasonal thing! Looks sweet. Does it taste like cinnamon?”
すると、数人のメンバーがワッと食いついて、「あれは最高だ」「いや甘すぎる」「僕は年中売ってほしい」と、思った以上の盛り上がりになった。
知っている話題に乗るのではなく、“知らない話題に関心を持って乗る”。
これが、雑談に入る突破口になることに気づいた。
ポイントは:
- 「知らない=入れない」ではなく、「知らない=質問できる」に変換する
- 雑談は答えを出す場ではなく、共通リズムを刻む場である
🔹時差を超える“雑談戦略”:沈黙しないチームの作り方
フルリモートのグローバルチームでは、タイムゾーンが雑談の壁になる。
日本時間の午後には、ヨーロッパは寝ているし、アメリカはまだ朝。
つまり「リアルタイム雑談」は発生しにくい。
そこで僕が意識したのは:
📌「非同期雑談」に強くなる
- ❌ 雑談=リアルタイムでポンポンやり取りすること
- ⭕ 雑談=“数時間かけてじわっと続く会話”でもOK
例:
“Caught this view from my window this morning. Tokyo summer skies. ☀️ Anyone else got favorite views this season?”
こうした軽めの“写真+問いかけ”投稿は、時差を超えてゆるく反応が広がっていく。
しかも、「あ、この人ってどんな場所で働いてるんだろう?」という興味も引きやすい。
🔹「雑談=無駄」ではなく、「雑談=信頼コストの先払い」
雑談に対して、「そんなの業務じゃない」「時間の無駄」と感じる文化も、もちろんある。
特に日本の現場で育ってきた僕にとって、「会議は目的ファースト」「Slackは報告用」という意識が染みついていた。
でも、グローバルチームではこうだった:
雑談しておく → 意見がぶつかっても関係が壊れにくい
雑談がない → レビューや設計会議での摩擦がそのまま“人間関係”に影響する
つまり、**雑談は「仕事がうまく進む保険」**でもあった。
実際、仕様のすれ違いが発生したとき、雑談で気軽に話していた相手には、DMで「ちょっと確認させて」と声をかけやすい。
業務上のストレスが、“人間関係のダメージ”になりにくいのだ。
🔹「言語より関心」が、雑談力を決める
英語が流暢じゃない自分にとって、「雑談=ハンディキャップ」だと思っていた。
でも今は、こう思う。
雑談力って、英語力より“相手に興味を持てるか”で決まる。
- 相手の使っている言葉に、ちょっと反応する
- 知らない文化に、「それってどんな感じ?」と聞いてみる
- 自分の普通を、「これって変かな?」とネタにしてみる
これだけで、英語がネイティブじゃなくても**“仲間感”が生まれる**のを、僕は何度も体感した。
雑談が、コードレビューの空気を変えた日
あるとき、コードレビューでちょっとした意見のすれ違いがあった。
僕が投稿したWPFのUIロジックに対して、アメリカのフロントエンドエンジニアからこんなコメントが来た。
“Not sure if this approach works well for screen reader support. Have you checked it?”
最初は「ん?」と思った。
WPFアプリの設計に関しては自信があったし、「アクセシビリティ対応は別スプリントでやると話したはず」とも思った。
でも、返信を書く前に、ふと思い出した。
そのエンジニア、以前#coffeeチャンネルで「妹が視覚障害を持っていて…」と語っていたのを見たことがあったのだ。
つまり、これはただの“技術的な指摘”ではなく、**「彼にとっての大切な価値観」**からくるフィードバックだったのかもしれない。
僕はこう返した。
“Great point, thanks! I remember you mentioned your sister in a post — appreciate the reminder to be more inclusive in the early design phase. I’ll review this part.”
すると即座に「🙏」のリアクションと、
“Wow, thanks for remembering. That means a lot!”
というメッセージが返ってきた。
その瞬間、僕は実感した。
雑談は「その人の背景を知るための入り口」であり、
レビューや会話を“人間味あるもの”に変えてくれるスイッチなのだ。
🔹“雑談でつながっていたから”できた、本音のやりとり
別の日、ヨーロッパチームのデザイナーとUI仕様について認識のズレがあった。
どう見てもFigmaのデザインと実装案が食い違っている。
以前の僕なら、Figmaのリンクを貼って、「こっちと違うよね?」とやんわり指摘して終わりだった。
でもそのデザイナーとは、#petsチャンネルで犬好きトークを重ねていた間柄。
軽口も言える関係だった。
だから、僕はこんな風にコメントした。
“Hey! I might be wrong, but is this layout doing some freestyle today? 😄
Looks a bit different from Figma — maybe the dog clicked something by mistake? 🐶”
冗談交じりのトーンに、向こうも乗ってきてくれて、
“LOL! My corgi is probably trying to be a designer now. I’ll fix the layout!”
──たったこれだけで、空気がギスギスしないレビューが成立した。
ここに、**雑談がもたらす“場の余裕”**を感じた。
🔹“チャンネルでよく見かける人”は、仕事を頼みやすい
プロジェクト後半になって、新しい機能開発が始まるという話が上がったとき、あるプロダクトマネージャーが僕に直接声をかけてきた。
“Hey Hiro, I feel like you’d be a great fit for this new workflow component. Mind if we tag you in?”
後で聞いたら、「雑談チャンネルでよく見るし、空気も読んでくれる印象だったから声をかけやすかった」とのこと。
このとき、「雑談=社交性アピール」ではなく、
“チームの中でのプレゼンス(存在感)を持つ”ということそのものが、機会を引き寄せる行動だったと実感した。
🔹雑談が“文化の違い”を越えるバッファになる
Slackのある雑談スレで、メキシコのメンバーが「今日祝日なんだ。独立記念日!」と投稿していたことがあった。
僕は日本の文化的背景から「祝日=家族で静かに過ごす」イメージを持っていたので、何気なくこう返信した。
“Oh nice! Do you usually have any traditional meals or quiet time at home?”
その投稿に、即座にこう返ってきた。
“Haha, not really quiet 😆 Lots of fireworks, tequila, loud music, and parties!”
そこからは一気に「日本とメキシコの祝日の違い」談義が盛り上がり、他の国のメンバーも巻き込んだ大規模スレッドに発展した。
このとき感じたのは、
“無知でも、関心さえあれば文化の壁は超えられる”という確信だった。
雑談は、英語の正しさを問われる場ではない。
むしろ、「あなたの文化に興味があるよ」と伝えることが信頼につながる。
それは、日本的な“失礼を避ける姿勢”より、「対話に踏み込む勇気」の方が強く機能するということだった。
🔹雑談が“スキルセット以上の価値”を持ち始める瞬間
あるメンバーがプロジェクト離脱することになったとき、Slackのfarewellチャンネルで僕に個別のメンションをくれた。
“Gonna miss our convos on UX and random dog memes, Hiro. Hope we work again someday!”
技術的にすごいことを一緒にしたわけじゃない。
ただ、レビューでやりとりし、雑談で軽く笑い合っただけ。
でもその“雑談の重なり”こそが、**次のコラボやリファレンスに繋がる“人としての印象”**を作っていた。
雑談は、スキルの前に届く信頼だった
コードを書く力でも、英語を話す力でもなく。
誰かと笑った瞬間の「あ、この人なら大丈夫かも」が、チームを支える一番の土台になる。
それが、僕が海外チームで“雑談”を通じて得た最大の気づきだった。
🔹雑談に「入れたか」より、「思い出されるか」
SlackやZoomの雑談タイムで目立ったり、たくさんコメントしたりする必要はない。
でも、ふとした瞬間に「この人なら安心」と思い出してもらえる、そんな**“やわらかい存在感”**をつくることが信頼の最短距離だった。
それは、たとえば──
- 初対面の場で「Nice to meet you!」だけで終わらず、「Where are you calling from?」とひとこと加えること
- 週末明けのスタンドアップで、「I survived another Tokyo summer weekend 🥵」と一言つぶやくこと
- チームメンバーの投稿に「❤️」「😂」「🙌」をつけるだけでも、そこに“いる”ことを示すこと
雑談とは、“自分の専門性を語る場”ではなく、“人として一緒に働けるか”を確かめる場だった。
🔹「仲間になる技術」──5つの雑談設計Tips
最後に、僕が実際に試して効果を感じた、“海外チームの雑談文化に馴染むための小さな工夫”をまとめておきます。
✅1|雑談は「反応側」から始める
いきなり話題を振らなくてもいい。
「絵文字リアクション」「ひとこと返信」からで十分。
雑談は“話す力”より“乗る力”で育つ。
✅2|知らない話題は「興味」で乗る
知識のなさはハンデじゃない。
“I’ve never heard of that — tell me more!” という姿勢は、むしろ場を温める。
雑談とは、情報を持っている人の独占ではなく、“開いてくれる人”の勝ち。
✅3|雑談の場には「自分の風景」を持ち込む
“Just a sunset from my balcony today 🌇” みたいな日常の一コマは、共感を生むネタになる。
背景・文化・気候の違いが、そのまま“雑談力”になるのは海外ならでは。
✅4|時差を前提に「非同期」で設計する
雑談はリアルタイムじゃなくても成立する。
“Morning from Tokyo 🇯🇵 Anyone else starting their day?” など、時差を逆にネタにするのも◎。
雑談は「投稿して終わり」ではなく、「あとで誰かが拾ってくれる設計」こそが肝。
✅5|雑談は「あとで効いてくる信頼コスト」
雑談があるとレビューが柔らかくなる。
雑談があると指摘しやすくなる。
雑談があると困ったときに声をかけられる。
──雑談とは、“仲間になるためのコードレビューの前置詞”みたいなものだった。
🔹日本的な「沈黙の礼儀」より、“あえて話しかける勇気”を
日本の文化では、「余計なことを言わない」「空気を読みすぎない」ことが良しとされる場面も多い。
でも海外チームでは、「何かを話す」「ちょっとした冗談を返す」「自分の言葉で関心を示す」ことが、“信頼のスタート地点”になる。
たとえ英語が完璧でなくても、文化を完全に理解していなくても、
“この人、会話の輪に入ってこようとしてる”という姿勢そのものが、最大の信用だった。
🔹結びに:技術も言語も越えて、“一緒に働きたい人”へ
結局のところ、どれだけスキルがあっても、どれだけ成果を出していても、
「この人と、また一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかが、海外チームで生き残る最大の資質だった。
その第一歩は、コードレビューでも、英語の履歴書でもなく、
#random のチャンネルで交わした「犬派?猫派?」の会話だったりする。
🌏あなたがもし、英語に自信がなくても、話題についていけなくても、心配しなくていい。
必要なのは、“話せる英語”じゃなく、“話そうとする態度”。
その一歩が、あなたを仲間にする。

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