伝えるから伝わるへ:非ネイティブが信頼を得る“会話以外”のコミュニケーション術

  1. 喋れない=戦えない、はもう古い。
    1. ■ 実は「喋る」よりも「見える」ことが評価される
    2. ■ 「話せない」は、構造でカバーできる
    3. ■ 非ネイティブに必要なのは「会話力」じゃなく「行動ログ力」
      1. ① Slackメッセージの書き方
      2. ② PRやコミットのコメント
      3. ③ タスクチケットの説明文(JIRAやBacklog)
    4. ■ 「英語力」は“武器”じゃない。“翻訳”こそ本質
  2. 非ネイティブに効く、“伝わるテンプレ”はこう使う。
    1. ■ Slack:非ネイティブに最も優しい戦場
      1. 📌テンプレ1|タスク開始の宣言(透明性)
      2. 📌テンプレ2|報告・共有(途中経過)
      3. 📌テンプレ3|ヘルプ要請(丁寧さ+明確さ)
    2. ■ PR(プルリクエスト)コメント:英語力より“構造力”
      1. 📌テンプレ1|プルリクの説明文
      2. 📌テンプレ2|レビューへのコメント
    3. ■ チケット(JIRAやBacklog):読みやすさ=信用
      1. 📌テンプレ:チケットの説明文
    4. ■ これらテンプレが「信頼」を生む理由
    5. ■ 英語が得意じゃなくても、“習慣で勝てる”
  3. 「話せない」からこそ得られる、“非ネイティブの強み”とは?
    1. ■ 英語が苦手な人ほど、「聞く力」が高い
    2. ■ 非ネイティブは「前提を疑う力」に長けている
    3. ■ 「話す」以外の行動が信頼をつくる
      1. 🛠 ① ドキュメントや設計書を自発的に書く
      2. 📝 ② 会議後にサマリーを送る
      3. ✅ ③ “進捗の見える化”を徹底する
    4. ■ 「翻訳する自分」こそが強みになる
    5. ■ まとめ|“話せない”を理由にしない世界
  4. 「伝える」から「伝わる」へ。そして、その先へ。
    1. ■ “伝わる”人の共通点:英語の流暢さではない
    2. ✅ 「一貫性のあるコミュニケーションを、黙々と続ける」こと。
    3. ■「英語」ではなく「前提と文脈」を共有せよ
    4. ■ “言葉を選ぶ”ことで、あなたの信用は積み上がる
    5. ■ 信頼とは、“言語”ではなく“行動の積層”
    6. ■ まとめ|“言語”を超えたエンジニアリングへ
  5. 📌 最後に──これから海外を目指すあなたへ

喋れない=戦えない、はもう古い。

英語ができなくても海外で働ける?

──この問いに、ぼくはこう答えます。

「話せなくても、伝えられればいい。」

なぜなら、ぼく自身が英語が得意じゃない状態で海外プロジェクトに参加し、信頼を得てきたから

ぼくが働いていた欧州のプロジェクトでは、ネイティブはほんの一部。
中国、ウクライナ、インド、ベトナムなど、非ネイティブが大半。

その中で、日本人のぼくは**「発音も流暢さも微妙」だけど、「理解力と整理力がある」と評価**された。

じゃあ、どうやって信頼を得たのか?
今回はそのスタート地点、「起」として**“非ネイティブが、話せなくても信頼されるための戦略”の全体像**を話していきます。


■ 実は「喋る」よりも「見える」ことが評価される

まず、グローバルなプロジェクトで評価されるコミュニケーションとは何か?

答えは、「話のうまさ」ではなく「情報の透明さ」

Slackのやりとり、ドキュメントの構成、コードレビューのコメント、タスク管理の粒度──
すべてが「あなたが何を考え、何をしているか」を**“見える化”してくれる手段**なんです。

英語が苦手でも、これらを使って「考えてること」「やってること」が可視化できれば、ちゃんと伝わる。

実際、こんな言葉を何度も言われました:

“Your message was very clear. I like how you structured the steps.”
“You always write useful commit messages. It helps a lot.”
“Even if your English is simple, your points are precise.”


■ 「話せない」は、構造でカバーできる

例えば、Zoomミーティング中に英語で話すのが苦手な人、よくこう思っていませんか?

  • 「ネイティブみたいに滑らかに話せない…」
  • 「質問されるとパニックになる…」
  • 「話してるうちに言いたいことがブレる…」

ぼくもそうでした。でもある時、**「構造で整理すれば言語力を補える」**と気づいた。

たとえば、以下のような話し方:

  • 目的 (Why):This fix is to prevent users from accessing old cache data.
  • 対応内容 (What):We added a timestamp validation in the cache handler.
  • 影響範囲 (Impact):Only affects user login and data reload.

英語が完璧でなくても、構造が明確だと“聞いてる側の負担”が激減する。

逆に言えば、言葉の流暢さよりも「頭の整理整頓力」が求められてるとも言えるんです。


■ 非ネイティブに必要なのは「会話力」じゃなく「行動ログ力」

実務で信頼を得るうえで、特に効果が大きかったのが以下の3つ:

① Slackメッセージの書き方

タスクを始めるときに必ず以下のように送る:

Hi, I’ll start on ticket #237.
Plan: Check backend response first, then test UI updates.
ETA: Today EOD

これだけで、「こいつはちゃんと考えて動いてる」と見てもらえる。

② PRやコミットのコメント

英語でのコードレビューも、最初は怖かった。でもこう書くようにしてから評価が変わった:

Fix: Added null check before saving.
Why: Prevent crash when user data is missing.
Tested: On dev environment with sample user.

これだけで、コード読まなくても内容が伝わる。

③ タスクチケットの説明文(JIRAやBacklog)

英語に自信がないなら、まずは以下のような「パターン」を持っておくと便利:

  • Goal: What does this task solve?
  • Steps: What will be done?
  • Risk: What might break?
  • Note: Any extra info

英語が苦手でも、“型”を決めてしまえば、書くスピードも精度も一気に上がる。


■ 「英語力」は“武器”じゃない。“翻訳”こそ本質

よく、「英語が苦手だから海外で働けない」と言う人がいる。

でも、英語ができる人の多くも、実は以下のように考えている:

  • 「日本語で整理してから英語にする」
  • 「まずは箇条書きで考えてから、英語に整える」
  • 「Google翻訳の出力を、構造と目的だけ見直す」

つまり、“翻訳力=整理力”が本当の英語力なんです。

この考え方を持てるようになると、「自分の言葉」で、たとえブロークンな英語でも、ちゃんと戦えるようになる。

非ネイティブに効く、“伝わるテンプレ”はこう使う。

英語で話すのが苦手でも、文章なら少し落ち着いて書ける。
そして、SlackやPR、タスクチケットといった“文字のやりとり”は、グローバルな現場においてこそ大きな力を持つ。

なぜなら、「この人はきちんと考えて動いている」と伝わるのは、話す力ではなく“記録の残し方”だから。

「英語が下手でも信頼される人」は、例外なくこの“テキスト力”が高い。

ここからは、ぼくが実際に海外プロジェクトで使って効果があった「伝わるテンプレ」と「具体的な実例」を紹介していく。


■ Slack:非ネイティブに最も優しい戦場

Slackは、“話すよりもゆっくり考えられる場所”。

だからこそ、「発言の型」を持っておくと、英語が得意でなくても十分に対応できる。

📌テンプレ1|タスク開始の宣言(透明性)

Hi team, I’m starting work on ticket #452 today.

- Goal: Prevent double submission on the login form.
- Plan: Add debounce logic to the submit button.
- ETA: End of today (EOD).

→ これだけで「何やってるのか」「いつ終わるのか」「どう攻めるのか」が伝わる。

📌テンプレ2|報告・共有(途中経過)

Update on ticket #452:

- Found that the issue happens only on slow networks.
- Will implement debounce with a 500ms delay.
- Testing on both desktop and mobile now.

→ 英語に自信がなくても、“行動ログ”のように書けばいい。

📌テンプレ3|ヘルプ要請(丁寧さ+明確さ)

Hi @Alex, can you check the logic in LoginViewModel.cs?

I’m unsure if this part is handling the error case properly:
```csharp
if (user == null) return;

→ 最小の文で、最大の意図を伝える。


■ PR(プルリクエスト)コメント:英語力より“構造力”

PRに書くコメントは、実は“設計書のエッセンス”。

読み手にとって「Why(なぜやった)」「What(何をした)」がわかれば、英語が上手かどうかはあまり関係ない。

📌テンプレ1|プルリクの説明文

## What
- Added debounce logic to prevent multiple submissions.

## Why
- Users sometimes click the login button twice quickly, causing duplicated API calls.

## How to Test
- Try clicking the login button quickly multiple times.
- Confirm only one API call is sent.

→ 「What」「Why」「How」の型を使えば、英語が苦手でも通じる文が自然に書ける。

📌テンプレ2|レビューへのコメント

Thanks for the review. I updated the logic based on your suggestion.

- Removed unnecessary null checks.
- Combined condition into a single line for clarity.

Let me know if anything else needs changes.

→ 無駄な謝罪や言い訳は要らない。淡々と「改善点+意図」を伝えるだけで、むしろ信頼感が上がる。


■ チケット(JIRAやBacklog):読みやすさ=信用

実は、タスクチケットの書き方で、その人の“整理力”と“見通し力”が伝わる。

📌テンプレ:チケットの説明文

## Goal
Prevent users from accidentally submitting the login form multiple times.

## Context
Some users experience duplicate submissions when clicking the button quickly.

## Tasks
- [x] Add debounce logic to the submit button
- [x] Test on mobile and desktop
- [ ] Review by frontend team

## Risk
May affect other forms using the same component.

→ プロダクトマネージャーやQAが読んでも意図がすぐ分かるようになる。


■ これらテンプレが「信頼」を生む理由

ポイントは、“あなたの意図”と“現状”が、言葉を交わさなくても伝わること。

ぼくが経験したあるインドの開発チームでは、英語があまり上手くないエンジニアがいたけど、
毎回PRにこのようなテンプレをしっかり書いていたため、誰よりも信頼されていた。

逆に、英語が流暢でも「レビューにコメントがない」「目的が伝わらない」人は、チームから煙たがられていた。

英語力の差を超えるのは、「丁寧な可視化」と「一貫性のある構造」なんです。


■ 英語が得意じゃなくても、“習慣で勝てる”

最後にお伝えしたいのは、これ。

英語が上手くなるよりも、「伝える習慣」を先に身につけたほうが早く信頼される。

Slackでも、PRでも、チケットでも──
テンプレを型として使えば、迷わず伝えられる。

そして何より、この「型」を毎回使うことで、次第に自分の中で“考え方のフレーム”ができていく。
英語はあとからついてくる。
まずは、“構造で伝える”ことに集中してみてほしい。

「話せない」からこそ得られる、“非ネイティブの強み”とは?

「英語を話せない=劣っている」と思っていませんか?

でも、それはグローバルな開発の現場において、実はもう古い考え方です。

なぜなら今や、多国籍・多言語のエンジニアたちが集まり、「流暢な英語」よりも「明確で一貫した意思表示」が求められる環境が普通だからです。

今回は「非ネイティブだからこそ通じる力」について掘り下げていきます。


■ 英語が苦手な人ほど、「聞く力」が高い

不思議なことに、英語が流暢な人ほど会話が「雑」になりやすく、
一方で、英語が苦手な人ほど「相手の話をよく聞く」傾向があります。

これはつまり、

❌ 英語がうまい ≠ コミュニケーションがうまい
✅ 英語が苦手でも = 話の本質を捉えようとする意識が高い

という構図です。

たとえば、会議中にこんなふうに聞き返すことは、信頼を生みます:

Sorry, just to confirm — you mean we only need to change the view, not the model, right?

→ これは英語力ではなく、「相手の意図を明確にする姿勢」そのもの。

英語の得手不得手ではなく、「確認する習慣」があなたを信頼に近づけるのです。


■ 非ネイティブは「前提を疑う力」に長けている

海外で働く日本人エンジニアがよく評価される点に、次のようなものがあります:

  • 質問が的確
  • ドキュメントの読み込みが丁寧
  • 手戻りを避けるための段取りがしっかりしている

なぜこうなるのか?

それは、「文化も言語も違うから、理解するためにまず“前提を確認”する」習慣が自然と身につくからです。

例えば:

I just want to double-check: when you say “login process,” are we talking about SSO flow or our own auth logic?

この一文だけで、「あ、この人ちゃんと背景を捉えようとしてるな」となる。

ネイティブよりも、曖昧さを許さない──
それが非ネイティブの大きなアドバンテージでもあるのです。


■ 「話す」以外の行動が信頼をつくる

非ネイティブだからこそ活きるのが、「話す以外の貢献」。

特にぼくが実践して効果があった行動を3つ紹介します:


🛠 ① ドキュメントや設計書を自発的に書く

英語が苦手でも、図解やコード例を交えたドキュメントは**全世界共通の“通訳”**になります。

たとえばこんなもの:

  • Sequence Diagram(時系列の処理の流れ図)
  • ER図(データ構造の把握)
  • モックUI(どんな画面になるかを即座に伝える)

こうした“形に残る説明”は、言葉以上に人を納得させます。


📝 ② 会議後にサマリーを送る

ZoomやTeamsでのミーティング後に、簡単なまとめをSlackで送る。

Summary of today’s meeting:

- Decision: Use debounce for all submit buttons.
- Owner: Alex will implement on login page.
- Deadline: Friday EOD.

Let me know if I missed anything.

→ これだけで「この人は会話をちゃんと追ってくれている」と強く伝わります。

特に非ネイティブ同士のチームでは、こういうまとめが非常に重宝されます


✅ ③ “進捗の見える化”を徹底する

たとえば、NotionやJIRAのタスクに以下のような進捗コメントを追記:

[July 18] Completed debounce logic
[July 19] Testing on staging
[July 20] Ready for review

→ 毎日少しでも“今ここ”を明示するだけで、PMやリーダーの安心感が全く違います。

喋らずとも“動きが見える”──これこそ信頼の鍵。


■ 「翻訳する自分」こそが強みになる

英語が得意じゃないからといって、英語にコンプレックスを持つ必要はありません。

なぜなら:

🔁 母語(日本語)で理解して、英語でアウトプットする力
👉 それ自体が価値の高いスキル

母語で深く考え、異文化に“翻訳”する力は、日本人エンジニアにしかできない視点を持つことに直結します。


■ まとめ|“話せない”を理由にしない世界

ぼくがこのシリーズで一貫して伝えたいのは、

英語が話せなくても、伝わる力・整える力・聞く力を育てれば、海外で戦える。

ということ。

実際ぼくが見てきた「信頼される非ネイティブエンジニア」は、以下のような特徴を持っていました:

  • 説明がいつも構造的で分かりやすい
  • 会話が不安でも、ドキュメントとSlackが充実している
  • 確認と要約が丁寧で、やりとりに安心感がある

つまり、“話せなくても、信頼される”という選択肢は、ちゃんとある。

そして、それは“非ネイティブだからこそ磨けるスキル”でもあるのです。

「伝える」から「伝わる」へ。そして、その先へ。

ここまで、非ネイティブのエンジニアが英語という壁にぶつかりながらも、
「構造」「習慣」「可視化」という武器を使って、どう信頼を勝ち取っていけるのかを見てきました。

この最終章では、ぼく自身の経験と周囲のエンジニアたちの実例から見えてきた「信頼される非ネイティブの共通項」と、**“伝える力”を超えた“仕事の本質”**に触れていきます。


■ “伝わる”人の共通点:英語の流暢さではない

英語がうまい人、プレゼンが上手な人、キャッチーな言葉を使う人。
もちろん、そういう力も武器にはなります。

でも、実際に評価され、任され、チームから頼られていた人たちには別の共通点がありました。

それは:

✅ 「一貫性のあるコミュニケーションを、黙々と続ける」こと。


Slackでも、PRでも、ドキュメントでも——
・話すことより「記録に残すこと」を意識している
・毎回のやり取りが“見える”ようになっている
・相手に分かりやすく“先回り”して伝えている

こういった行動の積み重ねが、**自然と“信頼される空気感”**を作っていくのです。


■「英語」ではなく「前提と文脈」を共有せよ

仕事を円滑に進める上で、重要なのは「言葉の正確さ」よりも文脈の共有です。

ネイティブスピーカーでも「伝わらない」ことはよくあります。
その原因の多くは、「話の前提や背景が見えていない」から。

非ネイティブである私たちが注意すべきは、むしろこちらです:

この仕様変更は誰に影響するのか?  
なぜこの対応が必要だったのか?
今の設計は将来どう変わる可能性があるのか?

これらを日々の言葉や文書に丁寧に織り込むことで、相手との“ズレ”を最小限にできます。

英語が完璧でなくても、文脈が伝われば、十分に通じます。


■ “言葉を選ぶ”ことで、あなたの信用は積み上がる

たとえば、Slackでちょっとした報告をする場面でも:

I fixed the issue. → 完了報告

とだけ書くのではなく、そこに少しだけ「背景」と「確認ポイント」を添えると、印象がまったく違います。

Issue was due to missing null check. Added a fix and confirmed it's working on staging. Let me know if you'd like me to add a test case as well.

この一文で:

  • 自分で問題を理解している
  • 実行したアクションが明確
  • 相手への配慮(次の確認点)がある

という 3つの信頼ポイント を自然に押さえています。

“正しい英語”よりも、“伝わる順番”と“思いやり”が大事 という好例です。


■ 信頼とは、“言語”ではなく“行動の積層”

非ネイティブが評価される理由は、発音や語彙ではなく、行動の蓄積にあります。

  • 丁寧にまとめる習慣
  • 相手の時間を無駄にしない書き方
  • 目線を合わせて歩調を取るスタンス

このような姿勢は、むしろ母語でない言語を使う人だからこそ身につくもの。

そして、そうした習慣がある人は、例外なくチームのなかで信頼され、長期的に評価されていきます。


■ まとめ|“言語”を超えたエンジニアリングへ

日本で生まれ育ち、日本語でロジックを考え、英語で伝える——
それは、決して弱点ではなく、視点を持ち替えるスキルです。

「英語ができない自分」ではなく、
「別の文化と言語のなかで、構造的に考え、伝えている自分」に目を向けてください。


📌 最後に──これから海外を目指すあなたへ

英語が苦手でも、海外で働けます。
そして、「伝えられる人」ではなく、「伝わる人」になることが、もっとも確かな強さです。

あなたの英語が完璧でなくても、
あなたのコードが、設計が、気配りが、毎日のSlackが、
確実にあなたの代わりに信頼を積み上げてくれます。

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