なぜ俺たちの金銭管理は「地獄」になるのか?
(約3000文字)
「起」のパート、スタートします!
キラキラ生活の裏側にある「数字」の罠
海外に飛び出すって決めた時、みんな何を準備します?ビザ、飛行機、住む場所、英会話。まあ、そんなとこですよね。僕もそうでした。「お金の管理?あー、まぁ、なんとかなるっしょ。給料も日本より高いって聞くし!」なんて、完全にナメてました。
そして、現地に着任して、最初の給料日。
ウキウキで現地の銀行口座(開設するだけでも一苦労だった)のアプリを開くんですよ。お、入ってる入ってる!見たことない桁数の現地通貨!
「……で、これ、日本円でいくら?」
まずここで第一の「?」が浮かぶ。頭の中のレート換算が追いつかない。
まあ、それはいい。次にやることは、日本の家族への仕送りとか、日本のクレカの支払いのために、日本口座への「国際送金」ですよね。
ポチポチっとアプリを操作して……送金完了!……ん?
「手数料、高すぎじゃね?」
そう。まず、送金手数料がかかる。これはわかる。でも、それとは別に「為替手数料(スプレッド)」っていう、銀行がこっそり上乗せしてる「見えない手数料」がある。さらに、着金する日本の銀行側でも「受取手数料」がかかったりする。
もうね、トリプルパンチ。最初の給料の数パーセントが、銀行間のデータ(APIコール一発のはず)を移動させただけで消し飛ぶんですよ。C#で非同期処理(async/await)を駆使してパフォーマンスを0.1秒改善するのに必死な俺たちが、数千円、下手すりゃ数万円の手数料を「そういうもんか」で受け入れちゃってる。これ、おかしくないですか?
「とりあえずExcel」が招く「技術的負債」ならぬ「生活的負債」
僕らエンジニアは、問題をロジカルに解決するのが得意なはず。だから、多くの人が(僕もやった)次に取る行動は、「管理」です。
「OK、わかった。ちゃんと記録しよう」
スプレッドシートを開いて、項目を作るわけです。「日付」「項目(家賃、食費、光熱費…)」「現地通貨額」「日本円換算額」。
……うん、最悪だ。
まず、「現地通貨」と「日本円」の二重管理が地獄。
給料は現地通貨。家賃も現地通貨。でも、日本のクレカで払ったサブスク(NetflixとかAdobeとか)は日本円。日本の奨学金返済も日本円。
「今の俺の総資産、結局いくらなんだ?」
これが瞬時にわからない。WPFで複雑なMVVMパターン組んで、ビュー(見た目)とモデル(データ)をきれいに分離できてるのに、自分の資産の「ビュー」がぐちゃぐちゃ。
次に、「為替レートの変動」。
毎日レートは変わる。スプレッドシートに記録する時、「今日のレート」で換算する?それとも「送金した日のレート」?「給料日のレート」?
もうね、考えるだけで面倒くさい。本業の設計ドキュメント書くだけで手一杯なのに、なんで自分の家計簿のためにこんな複雑な仕様策定しなきゃいけないんだ、と。
そして、僕らエンジニアが一番嫌いな**「手動コピペ作業」**。
銀行アプリから明細をCSVでダウンロード(できればマシ)して、スプレッドシートにコピペ。レシートを見ながら手入力。
……アホらしい。
僕らの仕事は、そういう「手動作業」を「自動化」することでしょう?「この手作業、月1回1時間かかってるから、半日かけてツール作って自動化しようぜ!」ってのがエンジニアマインドじゃないですか。
なのに、自分の生活では、その「手動作業」を甘んじて受け入れちゃってる。
これが、僕が「生活的負債」と呼んでるものです。最初は小さな手間に見えても、蓄積すれば膨大な時間と精神的リソースを奪っていく。バグだらけのレガシーコードを改修もせず使い続けてるのと同じ。いつか破綻するんですよ。
「見ないふり」が一番ヤバい
こうなってくると、多くのエンジニアが取る次の行動は、「現実逃避」です。
「もう、わかんないからいいや」
「赤字じゃなきゃ、いいっしょ」
「とりあえず給料入る口座と、支払い用の口座だけ分けとくか」
気持ちは痛いほどわかる。本業でバグと仕様変更と戦ってるのに、プライベートまで「数字」と戦いたくない。
でも、これが一番ヤバい。
海外生活って、日本にいる時より「想定外の出費」がマジで多いんです。
ビザ更新の謎の手数料。年に一度の謎の住民税。医療費(保険でカバーされると思ったら対象外だった)。帰国時のバカ高い航空券。
「見ないふり」をしてると、こういう「クリティカルな出費(バグ)」が発生した時に、キャッシュフローが即死します。
「あれ、今月の家賃、払えるっけ……?」
こんな状態になったら、仕事どころじゃない。せっかく海外でチャレンジしようとしてるのに、お金の不安でパフォーマンスが落ちるなんて、本末転倒もいいところです。
このブログのゴール:「仕組み」で殴る
じゃあ、どうするのか。
答えはシンプルです。僕らの本業と同じ。
「手動でやるな。自動化しろ」
です。
このブログで紹介したいのは、ちまちました節約術(それも大事だけど)じゃありません。
「どの銀行が手数料安いか」を毎回ググるような、その場しのぎのハックでもありません。
僕らエンジニアらしく、**「一度作ったら、あとは勝手に回る仕組み(システム)」**を構築する方法です。
今回のテーマは「Financial Finesse(金融のやりくり術)」。
僕が提案するのは、まさに「エンジニアのためのファイナンシャル・フィネス」。
- 経費の追跡? → 自動でやれ。レシート撮影?いや、API連携で勝手に分類させろ。
- 通貨の換算? → 自動でやれ。リアルタイムレートで全資産をダッシュボードに表示させろ。
- 国際送金? → 自動でやれ。「〇〇円以下になったら自動で送金」みたいなトリガーを設定しろ。
- 予算アラート? → 自動でやれ。「今月食費使いすぎ」とか「サブスクの更新日近いぞ」とか、Slackに通知飛ばさせろ。
全部、できます。
便利なフィンテックサービスやアプリが、そのための「部品(API)」を山ほど提供してくれてる。僕らはそれを知って、組み合わせて、自分だけの「最強の金銭管理システム」を構築するだけ。
コードは書いても、家計簿は書くな。
僕らが書くべきは、自分の生活を支える「仕組み」の方です。
この連載ブログでは、僕が実際に試行錯誤して構築した「海外エンジニアのためのお金管理自動化システム」を、余すところなく全部シェアします。
「手動コピペ」と「見えない手数料」に奪われていた時間を、新しい技術の学習、現地の友達との交流、そして大事な本業(コーディングと設計!)に取り戻しましょう。
次回、「承」のパートでは、この自動化システムの「心臓部」となる、最強のツール連携と、国際送金の概念をぶっ壊す「あの」サービスについて、ガッツリ解説していきます。
お楽しみに!
システム構築編:「見えない手数料」をハックし、「手動コピペ」をCI/CDする
(約3000文字)
「起」の振り返り:俺たちは「手動」を憎む
どうも、引き続き海外でWPFいじってます、ITエンジニアです。
前回の「起」のパート、読んでくれました?
読んでない人のために一言でまとめると、「海外エンジニアの金銭管理は、手動作業と見えない手数料に満ちた『地獄』だ。だからエンジニアらしく『自動化』して『仕組み』で解決しようぜ!」って話でした。
僕らが本業で「手動デプロイ」とか「Excelでのタスク管理」を忌み嫌うのと同じ。自分の生活(特に金銭管理)で、そんな「技術的負債」ならぬ「生活的負債」を抱えちゃダメだろ、と。
お待たせしました。今回は「承」。
いよいよ、僕が構築した「自動化ファイナンシャル・システム」の具体的なアーキテクチャと、その**「心臓部」となるキラーサービス**について、ガッツリ設計思想から解説していきます。
覚悟はいいですか?もう銀行の窓口に並んだり、Excelにレシートを手打ちしたりする日々とはオサラバです。
第一の革命:国際送金(レガシーシステム)のリプレイス
まず、一番最初にぶっ壊すべき「クソ仕様」から片付けましょう。そう、**「国際送金」**です。
前回の「起」でも書きましたけど、従来の銀行を使った国際送金(SWIFTって仕組みが多い)は、マジで「レガシーシステム」そのもの。
- 手数料がバカ高い。(送金手数料、受取手数料、中継銀行手数料…どんだけ取るんだ)
- 為替レートがボッタクリ。(Googleで見るレートと全然違う「独自レート(スプレッド)」を適用される)
- 着金までクソ遅い。(数日かかるのが当たり前。ステータス追跡も曖昧)
僕らエンジニアから言わせれば、「なんでAPI一発で終わるはずのデータ送受信に、こんなコストと時間がかかるんだ?」って話ですよ。答えは簡単で、銀行が「そういう仕組み」の上にあぐらをかいて、中間マージンを抜きまくってるからです。
このレガシーシステムを使い続けるのは、もうやめましょう。
僕らが導入すべきは、テクノロジーでこの問題を解決した「モダンなサービス」です。
僕が心臓部の一つとして使ってるのは、「Wise(旧TransferWise)」。
(※注:別にWiseの回し者じゃないです。Revolutとか他の選択肢も全然アリ。ただ「思想」を理解するのに一番分かりやすいので例に出します)
こいつが何で「革命」なのか?
それは、彼らが「本当の国際送金」をしていないからです。
は?って思いました?(笑)
従来の銀行が「日本から海外へ、国境を越えてお金(データ)をバケツリレー」してるのに対し、Wiseの仕組みは超シンプル。
- 僕が「日本円を現地通貨に替えたい」とWiseに入金する。
- Wiseは、そのお金を「Wiseの日本の口座」にプールする。
- 同時に、海外にいる「現地通貨を日本円に替えたい人」がWiseに入金した「現地通貨」を、「Wiseの現地の口座」にプールする。
- Wiseは、その現地の口座から、僕の現地口座に「現地通貨」を振り込む。
- (逆も然り)
つまり、お金は国境を越えてないんです。国内送金だけで完結させてる。
これを巨大なスケールでP2P(ピアツーピア)マッチングさせてるのが彼らの技術。そりゃ速いし、安いわけですよ。
僕らがWPFでUIとロジックを分離(MVVM)するみたいに、彼らは「お金の交換」という「目的」と、「国境を越える」という「手段」を完全に分離した。結果、コスト(手数料)は最小限、レートはGoogleで見る**「ミッドマーケットレート(本当の為替レート)」**を適用してくれる。
これを使わない理由、ありますか?
【自動化の実装】
で、ここからが本題。Wiseを「手動で」使うだけじゃ、まだ70点。
僕らは「自動化」したい。
- 自動送金(Recurring Payments)の設定:Wiseには「定期送金」機能があります。僕はこれを設定して、「毎月26日(給料日の翌日)に、現地給与口座からXX万円(相当額)を、Wise経由で日本の自分の口座に自動送金する」ように組んでます。
- API連携(上級者向け):Wiseには強力なAPIがあります。やろうと思えば、「現地口座の残高が〇〇ドルを上回ったら、超過分を自動で日本円に替えて送金する」みたいなスクリプトを自作することも可能。(僕はまだそこまでやってないけど、ワクワクしますよね?)
たったこれだけ。
もう僕は「あ、今月日本のクレカの引き落とし日だ、送金しなきゃ」「うわ、今レート最悪じゃん…」なんていうノイズから完全に解放されました。勝手に最適なレートで、最小の手数料で、毎月決まった額が日本の口座に「デプロイ」され続ける。これが「仕組み」で殴るってことです。
第二の革命:家計簿(手動コピペ)のCI/CDパイプライン化
さて、国際送金という最大の敵を倒したら、次は日々発生する「面倒くさい戦闘」を自動化しましょう。そう、**「経費追跡」と「予算管理」**です。
Excelやスプレッドシートにレシートを手打ちする作業。
あれはエンジニアの仕事じゃない。あれは「手動ビルド」です。バグ(入力ミス)を生むし、時間がかかるし、何より楽しくない。
僕らが欲しいのは、コードをプッシュしたら自動でテスト(分類)が走り、ダッシュボード(レポート)にデプロイ(可視化)される、**「家計簿のCI/CDパイプライン」**です。
これを実現するのが、「自動連携できる家計簿アプリ」。
これまた選択肢がいくつかあります。
- YNAB (You Need A Budget): 海外在住者に一番人気かも。「ゼロベース予算(給料が入ったら、1円単位で使い道を先に割り振る)」という思想が強くて、マジで貯まる。ただ、月額料金がかかる。
- Money Forward ME / Zaim: 日本のサービス。日本の銀行・クレカ連携は最強。でも海外の銀行・サービス(特にWiseとか)との連携が弱い。
- Revolut / Wiseの分析機能: これらサービス自体にも、簡易な支出分析機能がついてます。デビットカードで払えば自動で「食費」「交通費」とか分類してくれる。
どれを選ぶかは、あなたの「システムの要件定義」次第です。
僕の(というペルソナの)場合は、「日本円」と「現地通貨」の二重管理を絶対に撲滅したかった。
そこで、僕が採用したのは、**「Wise(またはRevolut)のデビットカードをメイン決済にする」+「YNABで全資産を統合管理する」**というアーキテクチャです。
【自動化の実装】
- 自動経費追跡 (Automated Expense Tracking):まず、日常の支払いの9割を「Wiseのデビットカード」に寄せます。スーパーでも、カフェでも、ネットショッピングでも。なぜか?Wiseアプリが、支払った瞬間にリアルタイムでプッシュ通知をくれ、自動でカテゴリ分類してくれるから。「食費:$15.00」「交通費:$3.50」みたいに。もうレシートを財布に溜める必要がない。財布が薄くなる。最高。
- 自動通貨換算 (Currency Conversion Tools):これがキモ。YNABのような海外製アプリは、複数通貨の口座を登録できるんです。
- 現地銀行口座(現地通貨)
- Wiseの口座(現地通貨、日本円、米ドル…)
- 日本の銀行口座(日本円)
- 日本のクレカ(日本円)YNABが、これら全部の残高をリアルタイムの為替レートで自動換算して、「あなたの総資産は、今、日本円で〇〇円です」と一つのダッシュボードに表示してくれる。「起」で悩んでた「俺の総資産、結局いくら?」問題が、これにて完全解決。
- 自動予算アラート (Automated Budget Alerts):これがCI/CDの「テスト」部分。YNABで「今月の食費は$400まで」と予算(テストケース)を設定しておくと、「予算の80%使ったぞ!」とか「このままだと予算オーバーするぞ!」(テスト失敗)とアラートを飛ばしてくれます。さらにエンジニアらしくやるなら、**IFTTTやZapierと連携**させます。(サービスが対応してれば)「YNABで予算オーバーしたら → Slackの自分のtimesチャンネルに通知する」「Wiseで$100以上の決済があったら → Slackに通知する」みたいな。どうです?自分の支出が、GitHubのプルリク通知みたいにSlackに飛んでくる。ゲーム感覚で「ヤベ、使いすぎた(ビルド失敗した)」って把握できる(笑)。
【承】のまとめ:これが俺の「金銭管理アーキテクチャ」
長くなりましたが、これが僕のシステムの「承」=基本設計です。
- Data Layer (Model):
- 各銀行口座、Wise、クレカ(データの実体)
- Logic Layer (ViewModel):
- Wiseの自動送金ルール(ロジック)
- YNABの予算ルール(ロジック)
- Presentation Layer (View):
- YNABのダッシュボード(可視化)
- Wiseアプリのリアルタイム通知(可視化)
- Slack通知(アラート)
ほら、僕らが愛するC#のWPF (MVVMパターン) とそっくりでしょ?(笑)
データとロジックと見た目をきれいに分離して、疎結合にする。金銭管理もシステム開発も、本質は同じなんですよ。
この「仕組み」を一度構築してしまえば、僕らはもう「手動コピペ」や「見えない手数料」に悩まされることはありません。システムが勝手に資産を守り、増やし、可視化してくれる。
僕らは、空いた時間と精神的リソースを、新しい技術の学習、面白いコードを書くこと、そして海外生活を楽しむことに全振りすればいいんです。
…とはいえ。
「仕組み」ができただけじゃ、まだ足りない。
この「仕組み(インフラ)」の上で、どうやって資産を「運用」していくか?
海外在住エンジニアだからこそ使える「節税」や「投資」のハックはないのか?
次回、「転」のパートでは、この自動化システムを基盤にして、もう一歩踏み込んだ「資産運用(NISA/iDeCoどうすんの?問題)」と「タックス・ハック」について、エンジニア目線でディープに掘り下げていきます。
お楽しみに!
インフラ構築後の「アプリケーション」:海外在住エンジニアの資産運用とタックス・ハック
(約3000文字)
絶望の始まり:「非居住者」という名の「仕様変更」
「承」で構築したインフラで、日々のキャッシュフローは完璧に自動化されました。現地通貨の給料から、自動で日本円が送金され、支出はリアルタイムで可視化される。よし、これで余った金を「資産運用」に回すぜ!
……と、意気揚々と日本の証券会社のサイトを開いたあなたを、絶望が襲います。
「海外転勤・海外移住(出国)のお手続き」
この文字列、見たことありますか?
そう。僕らが日本を出国し、住民票を抜いた(=非居住者になった)瞬間、僕らは日本の金融システムから「顧客対象外」と見なされるんです。これは、キャリアの途中でいきなり「お前、明日からCOBOLな」と言われるレベルの、理不尽な「仕様変更」です。
この「非居住者」ステータスが、僕らの資産運用アプリケーションに、どれだけヤバい「バグ」をもたらすか。
- NISA / iDeCo の死亡(原則):「日本に住んでないなら、税制優遇(NISAやiDeCo)は使わせないよ」というのが日本政府のスタンス。これが痛すぎる。日本で積み立ててきたエンジニアほど、ショックがデカい。(※一部、継続できる証券会社も出てきましたが、新規買い付けは不可だったり、制約がめちゃくちゃ多かったり…正直、使い物にならないことが多い)
- 既存口座の「強制解約」リスク:「海外行くんすか?じゃあウチの口座、解約してくださいね」と平気で言ってくる証券会社や銀行、マジであります。「え、じゃあ俺が持ってる日本株とか投資信託、全部売らないとダメ?」そう。利益が出ていれば、その時点で「強制利確」させられ、ガッツリ税金を取られる。最悪のシナリオです。
- 新規口座開設が「不可能」:「海外在住者向けの、イケてる投資サービス見つけた!…あ、マイナンバーカード(住民票)ないと開設できない…」はい、詰んだ。
どうです?絶望的でしょう?
「承」であれだけイケてる金銭管理インフラを構築したのに、肝心の「運用アプリケーション」が日本のOS(金融システム)じゃ動かない。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」
「海外にいる間は、現地通貨で銀行預金(金利0.001%)しとけってか!?」
…落ち着いてください。
僕らエンジニアは、こういう「制約」の中で「最適解」を見つけるのが仕事でしょう?
逆転の発想:「現地のインフラ」をハックせよ
ここで発想を180度転換します。
「日本のインフラが使えない?じゃあ、今いる『現地』のインフラ使えばいいじゃん」
そう。僕らは今、海外にいるんです。
日本の古い.NET Frameworkライブラリ(NISA)が動かないなら、今いる環境の最新.NET Coreライブラリ(現地の税制優遇制度)を使えばいい。そっちの方が高機能(節税効果が高い)かもしれない。
これが、海外エンジニアにしかできない「逆転のハック」です。
例えば、僕のいる国(という体で)や、他の国を見てみると、日本よりよっぽどイケてる「インフラ」がゴロゴロ転がってます。
- アメリカ: 「401k(確定拠出年金)」、「IRA(個人退職勘定)」
- シンガポール: 「CPF(中央積立基金)」
- イギリス: 「ISA(個人貯蓄口座、こっちは海外版NISAみたいなもん)」
- オーストラリア: 「Superannuation(退職年金基金)」
名前は違えど、やってることは同じ。
「税金を優遇(控除)するから、自分の将来のために、給料から直接積み立て投資しとけよ!」という制度です。
これを使わない手はない。
日本でNISAが使えなくなったことを嘆くのは、もうやめましょう。僕らは「非居住者」であると同時に、「現地の居住者」なんです。その特権を、最大限しゃぶり尽くす。
「自動化」の真髄:給与天引き(Paycheck Deduction)
で、ここからが「承」の仕組みの「応用編」です。
「承」では、Wiseを使って「振り込まれた給料」から「自動で」日本に送金する仕組みを作りました。これは「インフラ層」での自動化でした。
しかし、これらの「現地のインフラ(401kなど)」は、もっと強力な自動化を提供してくれます。
それが、「給与天引き(Paycheck Deduction)」。
これは、僕らの給与が銀行口座に**「振り込まれる前」**に、会社(の給与システムAPI)が自動で積立先に投資してくれる仕組みです。
もう一度言います。「振り込まれる前」です。
これが何を意味するか?
僕らの「意志の力」を一切必要としない、最強の自動化です。
- 「あ、今月使いすぎたから、積立額減らそうかな…」とか、悩む隙がない。
- 「給料日だ!パーッと使おう!」という誘惑が介在する余地がない。
- 「承」で作ったYNAB(家計簿アプリ)上では、この天引き額は「存在しない金」として扱われる。(手取り額だけが収入として計上される)
これこそ、僕らが目指すべき「仕組み」の完成形。
設定は最初の一回だけ。人事部や給与システム(Workdayとか)のポータルで、「毎月の給料の〇〇%を、この投資信託Aに突っ込め」と設定するだけ。
あとは、あなたが本業でC#のコードを書いてようが、WPFのデバッグで頭を抱えてようが、システムが勝手に、自動で、あなたの資産を積み上げていく。
日本のNISA(自分で証券口座に入金して、自分で買う)より、よっぽど強力な「自動化」だと思いませんか?
忘れちゃいけない「最適化」:タックス・ハック
さて、「アプリケーション(資産運用)」を「自動化(給与天引き)」で動かすインフラができました。
最後にやることは?
そう、僕らエンジニアが大好きな**「最適化(Optimization)」**です。
コードのボトルネックを潰してパフォーマンスを上げるように、僕らのキャッシュフローの「無駄(=払いすぎてる税金)」を徹底的に潰しにいきます。
1. 「租税条約」という名の「API仕様書」を読め
日本と、あなたが今住んでいる国との間には、ほぼ確実に「租税条約」というものが結ばれています。これは、「二重で税金取らないようにしようね」という国同士の「API仕様書」です。
これを(全部じゃなくていいから概要だけでも)読んでおかないと、「日本でも税金払い、現地でも税金払う」という最悪の「二重課税バグ」を踏みます。
2. 「控除」という名の「脆弱性」を突け
税法の「控除」は、合法的な「チート」です。使えるものは全部使いましょう。
- リモートワーク費用: エンジニアは在宅勤務も多いですよね。家賃の一部、光熱費、ネット代。これらを経費(控除対象)として申告できる国は多いです。「WPFアプリの開発環境を維持するための必須コストだ」と主張しましょう。
- 自己研鑽費用: 技術書代、UdemyやPluralsightのサブスク代、カンファレンス参加費。C#の最新動向を追うのは「業務上必須の学習」です。これも控除対象になるケースが多い。
3. 「会計士」という名の「外部ライブラリ」を導入せよ
ここ、一番重要です。
僕らはコーディングのプロですが、税法のプロじゃありません。
「国際税務」という領域は、僕らが書くWPFのマルチスレッド処理よりよっぽど複雑怪奇です。
「餅は餅屋に任せろ」
これだけは「自動化」ではなく「アウトソーシング」してください。
現地の税務に詳しい、できれば日本人の国外税務にも詳しい「会計士」を雇うんです。
「えー、高いんでしょ?」
高いです。でも、ケチるところを間違えてる。
彼ら(会計士)に払う費用(コスト)は、僕らがAWSの高いインスタンスを借りるのと同じ「投資」です。
彼らは、僕らが見つけられなかった「控除(脆弱性)」を見つけ出し、僕らが払うはずだった「無駄な税金(バグ)」を潰してくれます。
その「節税効果(リターン)」は、会計士に払うコストを余裕で上回ることがほとんど。
僕らが複雑な暗号化処理を自前で実装せず、実績のある「外部ライブラリ(Bouncy Castleとか)」を使うのと同じ。税務という複雑なロジックは、プロ(会計士)という最強のライブラリに任せるのが、一番賢いエンジニアの選択です。
【転】のまとめ:「攻め」と「最適化」の自動化
どうでしょう。
「起」で問題提起し、「承」で「守り(金銭管理)」のインフラを構築しました。
そしてこの「転」で、
- 「攻め(資産運用)」: 日本のNISAが死んでも、現地の401kやIRAというインフラをハックし、「給与天引き」で自動化する。
- 「最適化(節税)」: リモートワーク費用などを控除し、最後は「会計士」という外部ライブラリに任せてキャッシュフローを最大化する。
これで、お金に関する「守り」も「攻め」も、その「最適化」も、ほぼすべて「仕組み化」できました。
僕らはもう、お金のことで悩む必要は(ほぼ)ない。
システムが勝手に、僕らの資産を守り、増やし、最適化してくれる。
じゃあ…。
この「最強の仕組み」によって生み出された、最も貴重なリソース――「時間」と「精神的余裕(メンタルリソース)」――を、僕ら海外エンジニアは、一体何に使うべきなのか?
コーディング? 新しい技術の学習?
いや、それだけじゃもったいない。
次回、最終回「結」では、このブログのテーマである「これを知ってよかったという人生術」として、僕らが本当に築くべき「真の資産」について、少し青臭いかもしれませんが、本気で語りたいと思います。
お楽しみに。
システムが解放したリソースで、僕らは「本当の資産」を買いに行く
(約3000文字)
エンジニアにとっての「最強の武器」
考えてみてください。
僕らITエンジニアが、最高のパフォーマンスを発揮できる瞬間っていつでしょう?
それは、「ノイズがない状態」で、「まとまった時間」を使って、一つのタスクに「深く集中(ゾーンに入る)」している時。
複雑なバグの根本原因を追っている時。
新しい機能のアーキテクチャを設計している時。
WPFの難解なデータバインディングと格闘している時(笑)。
逆に、最悪なのは?
コーディングしてる最中に、Slackの通知が鳴りやまない。会議が30分おきに入ってる。
そして…「あ、今月のクレカの支払い、送金しなきゃ」「ビザ更新の費用、いくらだっけ…」「なんか税務署から手紙来た、こわい」
こういう「お金に関するノイズ」が、バックグラウンドで常にCPU(僕らの脳みそ)の数パーセントを食い続けている状態。
これが、僕らの生産性をどれだけ下げているか。
「承」と「転」で構築した僕らのシステムは、この「お金ノイズ」をゼロにしてくれました。
バックグラウンドで動いていた不要なプロセス(家計簿入力、送金悩み)を、全部Killしてくれたんです。
その結果、僕らの手元には、クリーンで、空き容量たっぷりの「時間」と「メンタルリソース」が残った。
これこそが、僕らエンジニアにとっての「最強の武器」です。
じゃあ、その最強の武器(リソース)を、僕らは一体何に「投資」すべきなのか?
銀行預金(金利0.001%)みたいに、ただ寝かせておくだけじゃ、あまりにも、もったいない。
投資先①:「スキル」という名の「自己複利」
まず、一番わかりやすくて、リターンがデカい投資先。
それは「自分自身(のスキル)」です。
当たり前だろ、って思いました?
でも、お金の心配をしながらやる「学習」と、お金の心配が一切ない状態でやる「学習」とでは、その「深さ」がまったく違います。
僕らが自動化によって手に入れた「時間」。
その時間で、新しい技術を学ぶんです。
本業のC#やWPFをさらに極めて、「あのUI設計なら、あいつに任せれば間違いない」と言われるレベルのスペシャリストになるのもいい。
あるいは、AI(Python)を学ぶのもいい。RustやGoに手を出すのもいい。インフラ(Terraform, Kubernetes)を学ぶのもいい。
「お金の心配」というノイズがないクリアな頭で、週末にガッツリ技術書を読みふける。
平日の夜に、新しいフレームワークで個人開発(ペットプロジェクト)を動かしてみる。
これは、金融投資なんかより、よっぽど確実で、リターンが青天井の「投資」です。
だって、身につけたスキルは誰にも奪われないし、そのスキルが次のキャリア(もっと面白いプロジェクト、もっと高い給料)に繋がっていく。
エンジニアのキャリアって、まさに「複利」なんです。
初期の学習(元本)が、次のプロジェクト(利子)を生み、その経験(元本+利子)が、さらに大きなチャンス(次の利子)を生む。
僕らの「自動化システム」は、この「自己複利」の回転スピードを、劇的に上げてくれるブースターなんです。
投資先②:「経験」という名の「非代替性資産(NFT)」
でも、スキルだけじゃダメだ。
もし技術の勉強だけしたいなら、正直、日本にいてもできます。
僕らは、今、**「海外」**にいる。
この「環境」を最大限に活かさないのは、AWSの一番デカいGPUインスタンスを借りておきながら、テキストエディタしか使ってないようなものです。
僕らが「時間」と「メンタル」を投資すべき二つ目の先。
それは、「その土地でしかできない『経験』」です。
自動化したおかげで、「今月使いすぎたらヤバいかな…」みたいなセコい悩みは消えました。予算(by YNAB)の範囲内なら、思いっきり使えばいい。
- 現地のエンジニアコミュニティのミートアップに顔を出す。
- 週末、LCC(格安航空券)で隣国に飛んでみる。
- ガイドブックに載ってない、同僚オススメのローカルな飯屋で、食べたことない料理にチャレンジする。
- 会社の部活(あれば)や、趣味のサークルに飛び込んで、現地の人と汗を流す。
これら一つ一つは、直接「金」にはならないかもしれない。
でも、これらの「経験」は、僕ら自身の「人間としての仕様(スペック)」を、確実にアップデートしてくれます。
日本とはまったく違う文化、違う価値観、違う「当たり前」に触れること。
それが、僕らの凝り固まった思考(「このUIはこうあるべきだ」みたいな思い込み)をぶっ壊してくれる。
WPFのUI設計に行き詰まった時、ふと、旅先で見た美術館の「導線設計」がヒントになるかもしれない。
多国籍チームの進め方に悩んだ時、趣味のサッカーチームでの「多様な国籍の奴らとの連携」が役に立つかもしれない。
これらは、誰にも真似できない、あなただけの「非代替性資産(NFT)」です。
スキル(技術)はコモディティ化するかもしれないけど、この「ユニークな経験」は、あなたを「替えの効かないエンジニア」にしてくれる。
投資先③:「人(繋がり)」という名の「最強のセーフティネット」
そして、最後。
僕が、このブログを通じて一番言いたかったことです。
僕らが「スキル」と「経験」に投資して、スーパーエンジニアになったとしましょう。
でも、人間、そんなに強くない。
海外生活では、予期せぬ「クリティカル・エラー」が突然発生します。
突然の解雇(レイオフ)。
メンタルの不調。
事故や大病。
こういう時、僕らが「承」や「転」で構築した「自動化システム」は、助けてくれるでしょうか?
…残念ながら、助けてくれません。
システムは、あくまで「仕組み」。冷徹に動き続けるだけです。
僕らが本当に落ち込んだ時、絶望した時に、僕らを支えてくれる「セーフティネット」。
それは、「人」との繋がりです。
自動化によって得られた「時間」と「精神的余裕」。
この最も貴重なリソースを、僕は「人に投資する」ことに使うべきだと本気で思っています。
- 同じ職場で働く、現地のエンジニア。
- 異国の地で同じように戦ってる、日本人の仲間。
- 技術コミュニティで知り合った、尊敬できるメンター。
- 趣味のサークルでバカ話ができる、国籍も年齢もバラバラな友人。
こういう人たちとの「繋がり」を築くこと。
具体的には、ランチに誘う。飲みに誘う。週末に遊びに行く。困ってたら、見返りを求めずに助ける。
これって、すごく面倒くさい。「手動」だし、「非効率」の極みです。
でも、この「非効率」な時間にこそ、人生の「Finesse(妙味、機微)」が詰まってる。
海外で働く僕らにとって、この「人的ネットワーク」こそが、どんな金融資産や自動化システムよりも強力な、**「最強のセーフティネット」であり、「最大の資産」**になります。
キャリアに悩んだら、ヒントをくれるかもしれない。
レイオフされたら、次の職場を紹介してくれるかもしれない。
メンタルが死んだら、ただ話を聞いてくれるかもしれない。
結論:「仕組み」の先にあるもの
長くなりました。
僕がこのブログで伝えたかったこと。
それは、「海外エンジニアよ、お金を自動化しようぜ!」ということだけじゃありません。
僕らがお金を「自動化」したのは、ケチケチするためでも、ましてや「お金」そのものに執着するためでもない。
それは、僕らの貴重な「CPU(時間と精神)」を、「お金」というノイズの多いバックグラウンド・プロセスから解放するため。
そして、解放されたそのリソース(CPU)のすべてを、
「スキル」
「経験」
そして**「人」**
という、人生で本当に価値のある「アプリケーション」にフルコミットするため。
これこそが、「Financial Finesse」――お金のやりくり術であり、僕が海外で学んだ「最高の人生術」です。
コードは書きました。システムは動いています。
さあ、僕らはPCの前に座ってるだけじゃなく、外に出て、もっと面白い「人生」という名のアプリケーションを、思いっきりハックしに行こうぜ!
最後まで読んでくれて、ありがとうございました!
どこか海外のミートアップで会いましょう!

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