― Fluentじゃなくていい。通じる英語で戦うエンジニア術 ―
「聞こえない」「理解できない」「ついていけない」その焦りの正体
正直言って、“話す”より“聞く”方が100倍ツラかった。
海外でエンジニアとして働き始めたばかりの頃、
英語で会話するってだけでもう緊張なのに、相手の言ってることが全然聞き取れない。
会議が始まると、ネイティブたちがマシンガンみたいに話し始める。
こっちは全力で耳を集中させても、こんな感じ:
“…mumble mumble…UI…mumble…deadline…mumble mumble…ASAP.”
ASAPだけわかった。でも他が何も入ってこない。
周りはうなずいてるのに、自分だけ“取り残されてる感”がやばい。
さらに厄介なのは、「聞き返せない」自分の心理ブロック。
- 「何度も聞き返したら失礼かも…」
- 「あの人の英語、早すぎてもう無理…」
- 「次の話にいってるし、もう遮れない…」
結果、何も理解できないまま会議が終わる。
「今日の会議、何の話だったんだっけ?」と自分に問いかけるしかない帰り道。
📌“話せるようになっても、聞き取れないまま”問題
英語学習って、「スピーキング」にフォーカスしがちだけど、
実務では圧倒的に“リスニング”の方が重要だった。
- クライアントの要望
- チームリーダーの指示
- デザイナーとの仕様すり合わせ
- QAからのバグ報告
どれも、「まず聞き取れないと始まらない」。
しかも会議中は、話し手のアクセントもバラバラ。
イギリス英語、インド英語、オーストラリア英語、時にはフランスなまり…。
「これはもはや言語の戦場だ」と思った。
🧠「自分の耳がおかしいんじゃないか」って本気で悩んだ時期
僕が特に落ち込んだのは、ネイティブと話してるときじゃなくて、
他の非ネイティブ(例:インド、フィリピン、フランス)のメンバーの英語が聞き取れなかったとき。
「え、ネイティブじゃないのに、なんで聞き取れないの?」
「てことは、自分のリスニング能力が終わってるってこと…?」
この考えがグルグル回って、会議に出るのが怖くなったこともあった。
でも、そこでようやく気づいたんです。
「聞き取れないのはスキル不足じゃない。経験値不足だ。」
🛠️「聞き取り」には“訓練”が必要。スキルと同じ
話す力と同じで、**聞く力も“設計して鍛えるもの”**なんだと気づいてから、
僕のリスニングに対する考え方が変わりました。
それまでの僕は、ただ耳をダンボにして英語を聞いてただけ。
でも、それじゃ全然“実務の音”には対応できない。
そこで次回からは、
- 英語が聞き取れなかった時にやって効果のあった3つの行動
- “非ネイティブ英語”を聞き取るためにやった実践トレーニング
- 「え、今なんて言った?」を乗り切る英語フレーズ集
- 会議中、聞き逃しても“内容を掴むコツ”
…などをリアルな体験と一緒に紹介していきます。
“聞き取り地獄”から抜け出すために僕がやったこと
🔁1.「聞き取れない」を“当たり前”にするマインドセット
最初にやったこと。それは自分を許すことだった。
「英語が聞き取れない自分=ダメだ」と思い込んでいたけど、
それ、自分の耳が悪いわけでも、努力不足でもない。
だって、非ネイティブにとって“聞き取れない”は自然な現象。
特に実務の会話は、
- スピード早い
- アクセント強い
- 文法崩壊してる(「I has」みたいなやつ)
- 固有名詞がバンバン出てくる
それを「一発で完璧に聞き取る」なんて、ネイティブでも難しい。
だから、まずこう自分に言い聞かせた:
「聞き取れなくてもいい。全部わからなくても、必要なところが掴めればOK。」
このマインドを入れた瞬間、英語の音への“恐怖感”がだいぶ減った。
🗣2.「聞き取れないときの即レス英語」を準備した
会議や雑談で聞き返したいのに、
「Sorry?」以外の言葉が出てこないという地獄、ありませんか?
僕はこれで何度も撃沈してきたので、“聞き返しテンプレ”を用意しました。
📌僕がよく使った3つ:
- “Sorry, I didn’t catch that. Could you say it again?”
(すみません、ちょっと聞き取れませんでした。もう一度お願いできますか?) - “I got the part about the schedule, but what did you say before that?”
(スケジュールの話はわかったんですが、その前は何でしたか?) - “Just to confirm, you said the release is next Friday, right?”
(確認ですが、リリースは来週金曜ってことで合ってますか?)
これ、準備しておくだけで聞き返しの心理的ハードルが激減します。
“英語でどう言えばいいか”を考えてる間に会話が先に進む、
という事故も減らせます。
🎧3. “実務系リスニング”を耳に慣れさせる訓練
英語の映画やドラマを見ても、
実際の会議の聞き取り力が上がらない――その理由、わかりますか?
答えは簡単:**“使われてる英語の種類が違う”**からです。
仕事で使う英語には独特の表現、語順、省略、略語があります。
だから僕は、“実務会話の素材”でリスニング訓練をやり直しました。
📌使ったリソース:
- YouTube: Google I/O / Microsoft Build / AWS Summitのセッション
→ 開発者がリアルなスピードで話してるのが◎ - ポッドキャスト: “Syntax.fm” / “Developer Tea”
→ 軽めの会話だけど、開発の話題中心 - 英語字幕付きZoom録画(社内でOKが出た場合のみ)
→ 実際の会議内容を聞き直し、自分で「聞き逃した部分」を分析
ポイントは、「最初から聞き取れる」ことを目指さない。
聞き返して、止めて、巻き戻して、“何回も”聞く。
これで、英語の“リズム”と“意味のブロック”が見えてくるようになる。
📚4.「雑談」に慣れるには、雑談を“素材”にする
会議よりキツかったのが、ランチ時間の雑談やSlackのチャンネル会話。
特にネイティブ同士が話してると、スラングも混じって超高速。
そこで僕は、Slackのやりとりや、雑談の録音(OKな範囲で)を“教材”にしました。
- 「え?今のってどういう意味?」
- 「この略語、初めて見たぞ」
- 「この表現って皮肉?それともジョーク?」
一つひとつを「調べる→使ってみる→覚える」サイクルに変換。
最初は全然意味わからなかったSlackのチャンネル(#random とか #watercooler)も、
半年後には普通にツッコミ入れられるくらいには慣れてきた。
🛡️5.「沈黙」もコミュニケーションの一部と割り切る
これは最後の砦だけど大事な話。
「聞き取れない → 黙る → 存在感がなくなる」
このループにハマって、自分を責めることが多かった。
でもあるとき、上司がこう言ってくれた。
“Silence is OK. You don’t have to talk all the time. You’re listening, and that matters.”
それで肩の力が抜けた。
“無理に全部理解しようとしない”ことが、逆に聞き取りの余裕につながった。
🔚まとめ
“聞き取れない”という感覚は、恥でも劣等感でもなく、グローバル現場での“通過儀礼”。
僕自身、失敗と恐怖を何百回と繰り返しながら、少しずつ“聞こえるようになる耳”を育ててきた。
聞き取れなかった“あの瞬間”、僕はこう乗り越えた
💥事件①:リリース日を1週間間違えた
ある日、上司との1on1でこう言われた。
“Let’s aim for the release next Friday, and get QA involved by Tuesday.”
僕は「来週の金曜日にリリース」と思って作業を進めた。
でも、Slackで流れていたメッセージには「this Friday」とある。
慌てて確認したら、**実は“今週の金曜日”**だった。
聞き間違えた単語はたった一つ。
でも、納期を1週間勘違いする大事故に発展しかけた。
そのとき上司が言ってくれたのは:
“It’s OK. English tenses are confusing. Just confirm dates next time.”
以降、**「具体的な日付で確認する」**のが僕の習慣になった。
🗓️ たとえば:
“Just to confirm, you mean August 8th for the release, right?”
“聞こえたまま”を信じず、確認する癖が、ミスを減らしてくれた。
🧠事件②:「黙ってたら何も伝わらなかった」
会議中、プロジェクトの進行についての議論が始まった。
“timeline”とか“scope creep”とか、
わからない単語が飛び交いすぎて脳がフリーズ。
「聞き返すタイミングも逃したし、もう黙っとこう……」
…と沈黙していたら、あとでPMからDMが。
“Hey, you didn’t say anything in the meeting. Is everything alright?”
この時、初めて気づいた。
「黙っていた=理解してると思われない」
それからは、たとえ聞き取れなくても、最低限こう言うようにした:
“Sorry, I lost track around the part about the risks. Could someone recap that briefly?”
**“黙る”のではなく、“追いつきたい意思を見せる”**だけで、
周囲のサポートもグッと得られるようになった。
📉事件③:Slackの“皮肉ジョーク”が理解できなかった
Slackで「うわー月曜最高!」というメッセージが飛んできた。
僕は素直に「へえ、珍しいな」と思ってスタンプを押した。
でもその直後、同僚たちが次々に “lol” や “😩” スタンプで返していて、
「あ…あれ…これジョークだったのか……」と気づいた時には遅かった。
英語の皮肉(sarcasm)って、本当に難しい。
でも、ここで学んだのは:
「意味がよくわからないリアクションは、ちょっと待つ or 聞く」
たとえば:
“Haha, I’m not sure if that was sarcasm or not 😅”
(今のって皮肉ですか?それとも本音?)
とフラットに聞いてみると、ネイティブも笑って教えてくれた。
失敗しても、“無知を笑う”文化ではないというのが救いだった。
📌小さな“事故”を重ねて見えてきたこと
- 聞き取れなかったら、即・確認する
- 黙るのではなく、状況を共有する
- 笑われるより、無言で誤解される方が怖い
こうした経験を通して僕が得たのは、
**「完璧に聞く」より「聞けないことを開示する力」**の方が重要だということ。
「聞こえない」は武器になる:非ネイティブが“聞き取り恐怖”を手放す5つの思考法
聞き取れない瞬間は、恥ずかしさや不安よりも、
**「置いていかれる怖さ」**がいちばん大きい。
でも、あのヒヤリとした会議、
あのSlackの皮肉ジョーク、
あの納期ミスの瞬間を何度も経験して、
少しずつ、**「聞き取れない自分」**との付き合い方がわかってきた。
ここでは、実務で鍛えた僕なりの**“聞き取り思考術”5つ**を共有します。
✅1. 「聞けて当然」より「聞けたらラッキー」
ネイティブじゃないんだから、100%聞けるわけがない。
“わからない=自分が悪い”じゃない。
むしろ、聞き返す勇気を持った方が**「話を止める力」**がある人。
✍️マインドセット:
「英語は聞くものじゃなく、止めるもの。」
✅2. 聞くより、「整理する」が先
長い説明や議論が理解できないとき、
実は「英語力」じゃなくて「構造の整理」ができてないことが多い。
🧭だからまず、話を聞きながらこう分類する癖をつけた:
- これは背景?目的?問題?提案?
- 今、誰が何に困ってる?
- 何を決めたい話?
整理できれば、単語がわからなくてもついていける。
構造を捉える力は、英語力より大きな武器。
✅3. 聞き取れない単語は“捨てる”
全部の単語を聞こうとするのは無理ゲー。
特にネイティブのスピード感では。
🪓そんなときは、あえてこう考える:
「今わからなかった単語は“意味のない飾り”かもしれない」
重要な単語は、だいたい何度も出てくる。
つまり、“拾えるタイミング”はまた来る。
✅4. “聞く”のではなく、“聞き返せる距離感”をつくる
一番大事なのは、英語力より人間関係だったりする。
「この人には聞き返しやすい」って思える関係性があると、
圧倒的に会話はラクになる。
僕がやっているのは:
- 会議の前にSlackで軽く雑談を振っておく
- 英語が早い人に**「よく聞き返してますが気にしないでくださいね」と先に宣言**
- 自分が聞き返されたときに、全力で肯定的に返す
それだけで、「聞き返し=迷惑」じゃなくなる。
✅5. “わからない”を、むしろ可視化する
「聞き取れませんでした」って恥ずかしい言葉じゃない。
むしろ、プロジェクトを止めないための勇気ある報告。
僕がよく使っているのは:
- “I might have missed something, but…”
- “Can I ask a quick clarification?”
- “Let me double-check if I got it right.”
聞き返すのではなく、**“確認する姿勢”**を見せると、
相手も安心して話してくれるようになる。
🎯まとめ:聞き取れなくても、仕事は進む。
英語は「わかるかどうか」より、
**「わからないことをどう扱うか」**がすべて。
聞き取りの恐怖を乗り越えるには、
“英語力”ではなく、向き合い方を鍛えること。
完璧じゃなくていい。
でも、誤魔化さない。
正直に、構造的に、勇気を持って返す。
それだけで、聞こえなかった地獄は、
ちょっとずつ“聞き取れる世界”に変わっていく。

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