「The Engineer’s Global Communication Challenge ― 言葉だけじゃない“見えない壁”との戦い」**

  1. グローバル案件は“技術力”だけじゃ勝てない世界だった
  2. ■「伝わらない」の正体は、語彙力じゃなかった
  3. ■小さな“ズレ”が、大きな事故につながる瞬間
  4. ■グローバル案件は、語学力より“解釈力”が試される
    1. ●1. 文脈の省略に対する考え方の違い
    2. ●2. 曖昧表現の捉え方の違い
    3. ●3. 優しさの方向性の違い
  5. ■エンジニアにとって、コミュニケーションは“技術力の一部”
    1. コミュニケーション = 仕様決め + 設計品質 + 生産性 + 信頼構築
  6. ■あなたが海外に出る前に知っておくと“得する”最大のポイント
    1. 「英語=会話力」だと思っていると、海外で苦しむ」
  7. ■この“見えない壁”をどう乗り越えるのか?(続きは承へ)
  8. 見えない“文化のギャップ”が引き起こす誤解と、その突破口
  9. ■1.「結論ファースト」 vs 「背景ファースト」戦争
  10. ■2.曖昧表現の“翻訳事故”
    1. ▼曖昧表現を使わないで、状態を正確に伝える“分解法”
  11. ■3.沈黙は“同意”ではない問題
    1. ▼たとえ完全に理解してなくても言える“保留の魔法ワード”
  12. ■4.前提の違いが生む“すれ違いループ”の正体
  13. ■5.今日から使える!“認識合わせフレームワーク”
    1. ① Echo Back(エコーバック)—— 相手の話をそのまま返す
    2. ② My Understanding Is…(理解の宣言)
    3. ③ Assumption Check(前提確認)
  14. ■6.誤解ゼロ化の核心は“勇気”ではなく“仕組み”
    1. **原因は“文化の違い”というシステム的要因。
  15. ■7.承のまとめ
  16. 最大の危機が教えてくれた、“伝わらない理由”の本質
  17. ■1.仕様凍結前の「重大な勘違い」
  18. ■2.“とりあえず作り始める文化”が裏目に出る
  19. ■3.プロジェクトの空気が一変
  20. ■4.誤解の根本原因を探る
    1. ▼“同じ言葉”でも文化によって意味が変わる
  21. ■5.僕がとったアクション:認識を可視化する
    1. ① 専門用語+抽象語は絶対に定義する
    2. ② 仕様の意図を質問する
    3. ③ ユースケースで確認する
    4. ④ 初期段階でモックを共有する
  22. ■6.空気が変わった瞬間
  23. ■7.転のまとめ:誤解は避けられない。でも、減らすことはできる。
    1. **誤解は避けられない。
  24. ■次の「結」では
  25. 言葉より強い、「伝える力」で世界は変わる
  26. ■1.海外エンジニアの最大の武器は「言語力」ではない
    1. **「相手の理解のフレームを読み取る力」
  27. ■2.僕が海外経験で得た「3つの戦闘スキル」
    1. ① 意図を掘り下げるスキル(Intention Mining)
    2. ② 認識可視化スキル(Alignment Skill)
    3. ③ 自分の“誤解しやすい癖”を知るスキル
    4. 自分の“間違いやすいポイント”を自覚すれば、改善は一気に加速する。
  28. ■3.海外での「信頼」は、誤解を減らすことで生まれる
  29. ■4.海外で幸せに働くための「3つのマインドセット」
    1. ① “言いにくいこと”ほど先に言う
    2. ② “伝わらない前提”で動く
    3. ③ “自分の文化”を持ち込むのは悪くない
  30. ■5.結のまとめ:
    1. **海外で戦うエンジニアの本質は、
    2. **言語ができるから信頼されるのではなく、
    3. **“文化の壁”は、理解と工夫で必ず越えられる。

グローバル案件は“技術力”だけじゃ勝てない世界だった

『海外プロジェクトに潜む“見えない壁”との最初の出会い』**

海外でエンジニアとして働き始めたとき、僕は正直、こう思っていました。

「英語さえそこそこ話せれば、なんとかなるでしょ」

でも現実は、そんな甘いものじゃありませんでした。
むしろ、英語は“ただの入口”でしかない。
グローバルプロジェクトでは、それ以外のパラメータが山ほど存在していて、最初の1〜2ヶ月はその“見えない壁”にバチバチとぶつかりまくったのを覚えています。

たとえば、日本でずっとC# WPFの設計開発をやっていた頃は、仕様の確認やレビューはほぼ同じ空気感の中で進むし、考え方のクセみたいなものも共有されていました。
でも海外に出た瞬間、それがゼロになります。


■「伝わらない」の正体は、語彙力じゃなかった

最初の会議で、僕は “英語は聴き取れているのに、内容が理解できない” という壁に衝突しました。

相手が言っている単語はわかる。
文章もわかる。
でも、意味がつながらない。

なぜか?

あとで気づいたんですが、理由はシンプルでした。

・彼らの前提と、僕の前提が全然違う
・文化的なやりとりの“空気”が違う
・曖昧さの扱い方が違う

つまり、英語の問題じゃなかったんです。

海外のエンジニアは、よく言えばダイレクトで、悪く言えば“前提を共有しないまま突き進む”ことが多い。
日本では「言わなくても察して」「言わなくても暗黙で伝わる」部分が、海外ではまったく存在しません。

実際、最初の頃こんなことがありました。


■小さな“ズレ”が、大きな事故につながる瞬間

ある日、アメリカ側の開発リードからこう言われました。

「So the feature is already fine, right? We can deploy it this Friday.」

僕は、
「fine」=「まあ問題はあるけど、許容できる範囲」
というニュアンスだと思ったので、

「Yes, I think it’s fine.」

と答えました。

ところが、彼らの「fine」は 日本でいう“ほぼ完成”に近いニュアンスだったんです。

結果、僕が“まだ課題が残っている”と認識していた部分も、彼らは“金曜にリリースできる”と受け取ってしまった。

当たり前ですが、金曜に間に合いませんでした。

そのあと言われたのが、

「Why didn’t you say it clearly?
We thought everything was done.」

僕としては「まだ完璧ではないけど、一応動く」という意味だったのに、
向こうは「完全にOK」と受け取っていたわけです。

たったひと言。
たった four letters の “fine”。
でも文化が違うだけで、ここまで意味が変わる。

このとき僕は悟りました。


■グローバル案件は、語学力より“解釈力”が試される

海外で働き始めてすぐに痛感したのは、

英語力 × 文化理解 × コミュニケーションスタイルの適応

この3つが揃わないと「伝わった気になっているだけ」という状態になってしまうということ。

特に、以下の“見えない壁”は、本気で厄介です。


●1. 文脈の省略に対する考え方の違い

日本:暗黙の前提が多い
海外:前提の共有は言語化しないと始まらない

●2. 曖昧表現の捉え方の違い

日本の「多分」「いけそう」は、海外では“Yes」と受け取られがち

●3. 優しさの方向性の違い

日本:相手の気持ちを考えて柔らかく伝える
海外:相手の時間を尊重して直球で言う


こういった文化的な前提の違いは、英語を勉強しているだけではなかなか見えてきません。

むしろ、実際の現場で失敗して初めて気づきます。
そしてその失敗は、たいてい 仕様の誤解・スケジュールの遅延・レビューの衝突 など、仕事そのものに直結します。


■エンジニアにとって、コミュニケーションは“技術力の一部”

僕は海外に出るまで、コミュニケーションというと、

「人当たりの良さ」とか「話し方」みたいなソフトスキルの領域の話
だと思っていました。

でも実際はこうです。


コミュニケーション = 仕様決め + 設計品質 + 生産性 + 信頼構築

これはもう完全に エンジニアの“技術そのもの” です。

そして、海外ではこれが想像以上にシビアに求められます。

理由は簡単で、

文化の違うエンジニア同士が、前提を共有しないまま進めると、プロジェクトが破綻するから。

だから、英語が完璧じゃなくてもいい。
でも“伝え方”と“解釈のズレを潰す力”は絶対に必要になります。


■あなたが海外に出る前に知っておくと“得する”最大のポイント

ここまで読んだあなたに、一番伝えたいことがあります。

それは、


「英語=会話力」だと思っていると、海外で苦しむ」

英語はただのツールで、
本当の勝負は “前提を正確にすり合わせる力” です。

僕はこれに気づくまで数ヶ月かかりましたが、
もしこの記事を読んでくれたあなたがこれを先に知っていれば、
海外案件のスタートダッシュは大きく変わるはずです。


■この“見えない壁”をどう乗り越えるのか?(続きは承へ)

起の部分では、海外で直面するコミュニケーションの「根本的な難しさ」「言語以外の壁」がどれほど厄介なのかを紹介しました。

次の  では、

・文化差で誤解が起きる典型パターン
・実際のプロジェクトで僕がどう乗り越えていったか
・明日から使えるコミュニケーション改善ワザ

などを具体例付きで詳しく説明していきます。

見えない“文化のギャップ”が引き起こす誤解と、その突破口

『海外で僕が学んだ“誤解の法則”と、ズレを事前に潰す技術』**

海外で働き始めた最初の頃、会議の後にこう思うことが本当に多かった。

「たしかに話したよね?でも、なんで違う理解になってるんだ?」

言語は通じている。
でも結果が噛み合わない。

その原因は“コミュニケーションの処理方式の違い”にありました。
ここでは、僕が実際に経験した「典型的な誤解ポイント」と、それをどう克服したかを紹介します。


■1.「結論ファースト」 vs 「背景ファースト」戦争

あるアメリカ人PMとの仕様ミーティングでの出来事。

僕は背景や理由、依存関係などを詳しく説明したうえで、最適だと思う案を提案していました。
ところが、話し終わったあとに彼から言われたのはこうでした。

「So… what do you want to do actually? What’s your point?」

(で、何が言いたいの?結論は?)

正直、面食らいました。
僕は論理的に説明していたつもりなのに、向こうには“要点が見えない話”に聞こえていたわけです。

あとで分かったことですが、

  • 日本:背景 → 説明 → 結論
  • 欧米:結論 → 理由(必要なら)

という思考フローの順番が 完全に逆 なんです。

そして、海外では 「背景は必要なときだけ説明して」 と考える人が多い。

この違いは、仕様レビューやタスク見積もりでとくに致命的です。


■2.曖昧表現の“翻訳事故”

海外で働いていて最も危ないワードがこれです。

  • “Maybe”
  • “I think so”
  • “Should be fine”
  • “Probably”

日本では「多分いける」「まぁ多分ね」くらいのニュアンスですが、
英語圏では ほぼ肯定 として受け取られがち。

実際に僕は、こんな誤解が起きました。

PM:「今週中にテストは完了する?」
僕:「It should be fine.(大きな問題がなければ多分終わる…の意味)」
PMはこう理解します:「OK、完了するって言ったね」

そして週末、僕が問題発生で完了できないと伝えると、
向こうは「でも君は終わると言ったよね?」となる。

完全に“文化のズレ”が原因です。

そこで僕が学んだ一番効果的な方法はこれ。


▼曖昧表現を使わないで、状態を正確に伝える“分解法”

例:
「今週中に終わる?」と聞かれたとき

Before(誤解される典型)

  • “Probably yes.”
  • “Should be fine.”

After(誤解されない伝え方)

  • “If there is no major issue, Yes. But currently I see two potential risks.”
  • “I can finish 80%, but the final confirmation needs additional time.”

つまり
曖昧な肯定 → 条件つきのYesに置き換えて、前提を明示する
これが海外ではめちゃくちゃ効きます。

相手も「この人は誠実に状況を言語化できる」と信頼してくれる。


■3.沈黙は“同意”ではない問題

海外会議で沈黙していると、こう思われます。

“彼は問題ないと言っている”

日本の「あえて反対しない=賛成ではない」は通じません。

あるレビューで、僕は曖昧だと思う仕様を指摘するか迷って黙っていました。
すると次の日、仕様は決定事項として進行してしまいました。

同僚に「え、それ気になったけど…」と話したら、

「だったらその場で言わないと意味ないよ。沈黙=同意だからね」

と一言。

日本人の「空気読む文化」では沈黙も戦略ですが、海外ではミスコミュニケーションの温床になります。

そこで僕はこんな“最低ラインの返し方”を習得しました。


▼たとえ完全に理解してなくても言える“保留の魔法ワード”

  • “I need a bit more time to understand this point.”
  • “Can you clarify this part before we proceed?”
  • “I’m not fully convinced yet. Let me check it once more.”

これを言うだけで、
「この人は意見を持っている」
という評価になります。

「Noと言うのが苦手」な日本人ほど、これは武器になります。


■4.前提の違いが生む“すれ違いループ”の正体

海外プロジェクトでは、以下のようなズレが連鎖して一気にトラブルになります。

  1. 言葉は分かるけど、前提が違う
  2. “言ったつもり”と“伝わった内容”が違う
  3. それに気づかないまま進む
  4. 最終段階で「え、それ違うよね?」となる

僕は何度もこの“すれ違いループ”にハマりました。

じゃあ、どうやって断ち切るか?

必要なのは 「認識合わせの習慣化」 です。


■5.今日から使える!“認識合わせフレームワーク”

海外で働いて最も効果的だったのは、以下の3つのテクニックです。


① Echo Back(エコーバック)—— 相手の話をそのまま返す

会議後にこう言うだけ。

“Let me confirm. So you mean…”

相手の意図を再確認することで、
違いを見つけるのが早い人=優秀な人
と評価されます。


② My Understanding Is…(理解の宣言)

仕様を共有するとき

“My understanding is A, B, C. If this is incorrect, please correct me.”

これでズレが一気になくなる。


③ Assumption Check(前提確認)

海外では“前提”は明文化しないと伝わりません。

例:

  • “My assumption is that the API response will not change.”
  • “We are assuming this feature is optional, correct?”

これを言うだけでプロジェクトの事故率が激減します。


■6.誤解ゼロ化の核心は“勇気”ではなく“仕組み”

誤解が起きるのは、性格の問題でも、英語力の問題でもありません。


**原因は“文化の違い”というシステム的要因。

だから解決も“仕組み”でできる。**


  • 曖昧を避ける
  • 前提を言語化する
  • エコーバックで認識を合わせる
  • 保留を宣言する
  • 結論ファーストで伝える

これらはすべて 再現性のあるスキル です。

僕も最初は全くできませんでした。
でも、この“仕組み”を身につけることで、海外チームとの誤解は圧倒的に減り、逆に信頼は大きく増えました。

そしてその結果、重要タスクのレビュー依頼や設計ディスカッションにも呼ばれるようになりました。


■7.承のまとめ

起では、“見えない文化の壁”がどれだけ厄介かを紹介しました。
そして今回の承では、その具体的な姿と僕の実体験に基づいた突破法を紹介しました。

次の  では、

・実際のプロジェクトで起きた大トラブル
・どう誤解が発生し、どう解決したか
・そこから得た「海外で戦うエンジニアの成長ポイント」

を、もっと深いケーススタディとして紹介します。

最大の危機が教えてくれた、“伝わらない理由”の本質

『プロジェクト崩壊寸前ーー誤解の連鎖をどう断ち切ったか』**

承までで紹介してきたとおり、「文化の差」は想像以上にコミュニケーションを狂わせます。
でも、これが実際の現場でどう影響するのか?
ここでは、僕が経験したなかでも記憶に残っている“大事件”をケースとして紹介します。

そのとき僕はまだ海外に来て2ヶ月目。
言語にも、文化にも慣れていない頃でした。


■1.仕様凍結前の「重大な勘違い」

ある日、アメリカ本社チームと行っていたWPFアプリのUIリニューアル案件で、
仕様の凍結前にレビュー会議が行われました。

その会議でリードエンジニアがこう言いました。

“This UI needs to be flexible.”

僕はすぐ理解しました(つもりでした)。

「ああ、レイアウトを柔軟に調整できるようにしたいんだな」
つまり“レスポンシブ的に、動的に幅や高さを変えられるUI”だと。

しかし後に判明したのは、彼らの「flexible」は
“ユーザーカスタマイズができる”
という意味だったのです。

つまり「画面内の各コンポーネントをドラッグ&ドロップで配置変更できるようにしてほしい」という“全く別物”でした。

レベルで言うと、

僕の理解:Grid + サイズ変更対応
相手の理解:ノーコードツール並のUIカスタマイズ

くらい違った。

このとき僕は「言葉を知っていること」と「意図を理解すること」のギャップを痛感しました。


■2.“とりあえず作り始める文化”が裏目に出る

日本の開発文化では、「仕様が曖昧でも、まず手を動かして雰囲気を見る」というやり方は一定の効果があります。

でも海外では逆です。

  • 曖昧なら絶対に進めない
  • 仕様が固まらないうちは設計を確定しない
  • 前提を共有しないまま作ることは“無駄の象徴”

今回は、僕が日本的な「まずは最低限作って形を見る」アプローチを取ったせいで問題が起きました。

途中レビューで画面を見せたところ、
リードエンジニアの顔が曇りました。

「Wait… this is not flexible at all. This is just resizable.”

(これ全然“flexible”じゃないよ。ただサイズが変わるだけじゃん)

ここで初めて、
「flexible」という言葉の意味が文化的に異なる
ということに気づいたんです。


■3.プロジェクトの空気が一変

その後、会議の雰囲気は急に冷たくなりました。

PM:「Why didn’t you clarify the requirement?」
デザイナー:「We thought we clearly explained it.」
リード:「This misunderstanding will affect the entire schedule.」

僕としては「説明されてないから聞けなかった」という感覚だったのに、
向こうから見れば、

「言われたことを勝手に日本的な解釈で受け取って動いた」
という印象だったわけです。

そのズレは、英語力とは関係ありませんでした。

“理解の前提”が違うだけで、
互いに「相手が悪い」と思い始める。

これが海外プロジェクトの怖さです。


■4.誤解の根本原因を探る

会議後、僕は落ち込みました。

でも、引きずっていても状況は変わらない。

そこでリードに直接声をかけ、1on1で聞きました。

「どこで誤解が起きたのか、一緒に探したい」

すると彼はこう言いました。

「Flexibleって言葉、チームで共通認識があると思ってた。でも君の“Flexible”と僕らの“Flexible”が違ったんだろうね。」

つまりこういうこと。


▼“同じ言葉”でも文化によって意味が変わる

  • 日本の“Flexible”:可変・調整可能
  • アメリカの“Flexible”:ユーザー操作で変更可能・拡張可能

これは「単語力」ではなく「文脈力」の問題でした。


■5.僕がとったアクション:認識を可視化する

以降、僕は次の行動を徹底するようにしました。


① 専門用語+抽象語は絶対に定義する

例:
“Let’s define what ‘flexible’ means in this context.”
→ 表を作って具体例を提示
→ 互いの理解を擦り合わせる


② 仕様の意図を質問する

“What is the purpose of this flexibility?”
(なぜ“柔軟性”が必要なのか?)

意図を聞くことで、本当のゴールが見えてくる。


③ ユースケースで確認する

“So users can rearrange the components freely, right?”
(ユーザーが自由にコンポーネントを動かせる、という理解であってる?)

抽象から具体へ落とすことで、誤解が消える。


④ 初期段階でモックを共有する

文章で伝わらないなら、
「見せる」のが一番強い。

UXモックやスケッチは
言語・文化の壁を飛び越える。


■6.空気が変わった瞬間

次の会議で僕は、
“flexible”の定義をまとめた資料を見せました。

するとリードが言いました。

“Great. This is exactly what we needed.”

そしてPMも、

“Thanks for clarifying. Let’s move forward with this.”

雰囲気が一気に好転しました。

“誤解が解かれたから”ではありません。

“前提を揃える姿勢を見せたから”
信頼が戻ったのです。

海外では、
“ズレに気づく力”と“修正する力”
がものすごく評価されます。


■7.転のまとめ:誤解は避けられない。でも、減らすことはできる。

今回の事件で僕が学んだのは、


**誤解は避けられない。

でも、誤解をそのまま放置するか、早めに拾い上げるかで
プロジェクトの未来は180度変わる。**


そして、誤解を減らすには“英語力”ではなく、

  • 抽象語を定義する習慣
  • 意図を確認する姿勢
  • 認識合わせの仕組み
  • 早期のモックアップ
  • 「言葉の裏にある前提」を読み取る力

これらが必須だということ。

海外で働くというのは、
ただ言語を変えて仕事するのではなく、

「前提を毎回ゼロから構築する仕事」
なんだと実感しました。


■次の「結」では

ここまでで、

  • 海外でのコミュニケーションの難しさ
  • よくある誤解の構造
  • 実際のトラブルとその解決

を紹介してきました。

最後の  では、

・海外エンジニアとして成長するための“本質”
・言語より大事な3つの戦闘スキル
・明日から実践できる、誤解ゼロ化テクニックまとめ
・海外で幸せに働くためのマインドセット

をまとめていきます。

言葉より強い、「伝える力」で世界は変わる

『海外で戦うエンジニアとして、“誤解されない自分”を育てる方法』**

起では、
「英語力だけでは乗り越えられない“見えない壁”」
の存在を描きました。

承では、
文化差によって具体的にどんな誤解が生まれるのか、そしてそれをどう防ぐか
を実体験をベースに深堀りしました。

転では、
プロジェクト崩壊寸前までいったトラブルをどう修正したか
という“リアルケース”を紹介しました。

そしてここ、結では、
これらの学びを通して僕が掴んだ“本質”と、
海外で働くエンジニアとして成長するための「持ち帰るべき力」をまとめます。


■1.海外エンジニアの最大の武器は「言語力」ではない

海外で働くと、必ず1度はこう思います。

「もっと英語ができたら…」

もちろん英語は大事です。
でも、それ以上に重要なのは、


**「相手の理解のフレームを読み取る力」

「前提をすり合わせる力」
「曖昧さをなくす力」**


海外チームの会議に何度も参加して学んだのは、
英語が流暢な人より、“誤解を減らす人”が最も信頼される
ということです。

言語力は“伝達手段”ですが、
理解を揃えるのは“戦略”です。

この違いを理解した瞬間、自分の成長スピードは一気に上がりました。


■2.僕が海外経験で得た「3つの戦闘スキル」

海外で戦うエンジニアに必要なのは、この3つです。


① 意図を掘り下げるスキル(Intention Mining)

海外では、「何をしたい?」より
「なぜそうしたい?」
を聞く方が誤解が減る。

例:
“Why do we need this flexibility?”
(なぜこの柔軟性が必要なの?)

背景の理解があれば、解釈のズレは激減する。


② 認識可視化スキル(Alignment Skill)

承や転で紹介した

  • Echo Back
  • Understanding Declaration
  • Assumption Check
  • モックアップ共有

これらを“習慣化”できる人は、プロジェクト崩壊を防ぎます。

会社や文化が違っても、
「認識を揃える技術」は普遍的 です。


③ 自分の“誤解しやすい癖”を知るスキル

僕の場合、

  • 抽象語を勝手に日本的に解釈する
  • 曖昧表現を使ってしまう
  • 沈黙で様子を見る癖がある

これらが大きな誤解の原因になりました。

逆に言えば、


自分の“間違いやすいポイント”を自覚すれば、改善は一気に加速する。


■3.海外での「信頼」は、誤解を減らすことで生まれる

転での大トラブル後、
僕は仕様の再確認、モック共有、認識合わせを徹底しました。

するとリードやPMから、
徐々に僕への依頼が増えていきました。

海外では、
“誤解されない”ことは、成果の一つ
なんです。

なぜなら誤解の放置は、

  • 工数のロス
  • 設計の後戻り
  • チーム内の摩擦
  • プロジェクトの遅延

など、多くのダメージにつながるから。

誤解を減らすエンジニアは、
プロジェクトのコストを下げるエンジニア

そしてこれは、どんな企業でも最も強力な価値になります。


■4.海外で幸せに働くための「3つのマインドセット」

海外で働くうえで僕が特に大事だと思うマインドがあります。


① “言いにくいこと”ほど先に言う

沈黙は同意ではない。
迷っているなら迷っていると言う。
理解していないなら理解していないと言う。

これだけで失敗の半分は避けられる。


② “伝わらない前提”で動く

  • 自分の理解は間違っているかもしれない
  • 相手も誤解しているかもしれない
  • 同じ単語を使っていても、文脈が違うかもしれない

こう考えて行動するだけで、認識合わせの意識が全く違う。


③ “自分の文化”を持ち込むのは悪くない

僕は最初、「日本的な丁寧さは海外では弱み」と思っていました。
でも実際は違います。

  • リスクを丁寧に説明する
  • 関係者への配慮を忘れない
  • 想定外が起きないように準備する

これらは海外のチームにとって“安心をくれる文化”でした。

自分の文化を否定する必要はありません。


■5.結のまとめ:

**海外で戦うエンジニアの本質は、

「文化の境界線を、自分の言葉で乗り越える力」**

コミュニケーションの壁は絶対に存在します。
でも、それを乗り越えるためのテクニックやスキルは必ずあります。

起では気づき、
承では理解し、
転では実体験を通して痛み、
結では“武器”としてまとめる。

このプロセスを経て、僕はようやく気づきました。


**言語ができるから信頼されるのではなく、

誤解を減らせるから信頼される。**


海外で働くことは、
不安や戸惑いも多いですが、
その分だけ成長のスピードは速い。

あなたがこれから海外で働くなら、
今日紹介したスキルや姿勢は必ず武器になります。

そしてもし不安になる瞬間があったとしても、
大丈夫。


**“文化の壁”は、理解と工夫で必ず越えられる。

そこから先にある景色は、必ずあなたの人生を豊かにする。*

コメント

タイトルとURLをコピーしました