- 🔍 日本の空気:AI=効率化のオプション
- 🌍 海外の空気:AI=議論のスタート地点
- ⚙️ 現場で実際に使っているAIツール(リアルな例)
- 🧭 役割の変化:設計者 → 判断者へ
- 💬 会議で実際に飛び交う会話(リアル)
- 🧨 一番の気づき:AIに使われるんじゃない、AIを使い倒す
- 🧱 ベテランとの最初の衝突
- ⚠️ AIは万能ではない ― 初めての“裏切り”
- 🌀 しかし、その日の夜に起きた“逆転”
- 🔍 AI vs 人間 ― 決定的な役割の違いに気づく
- ⚡ 信頼に変わった瞬間:あるエラー事件
- 🎯 この瞬間、AI時代の設計哲学が固まった
- 🛠️ その後のチーム合言葉
- 🧭 AIが奪うのは作業、残るのは判断
- 🌏 海外で学んだ、AIと共存するエンジニアの姿勢
- 🔄 AIはツールじゃない、“再発見装置”だ
- 💡 これから海外を目指すエンジニアへ ― 必要なのはスキルではなく態度
- 🛠️ 今からできる、たった3つの行動
- 🚀 キャリアは“深さ”よりも、“問いの幅”で決まる時代へ
- 🏁 最後に ― AIと歩むエンジニアへのエール
海外でエンジニアとして働き始めて数年。最初に驚いたのは、技術というより“空気”だった。日本では「効率化しよう」「改善しよう」と言うと、どこかで「それは前例があるのか?」と聞かれる。でもこちらでは逆で、「何でまだ手作業でやってるの?」と本気で不思議がられる。特にここ2〜3年、設計やシミュレーションの現場では、その“何でまだ?”の中心にAIがいる。
AIと聞くと、日本ではまだどこかで「ChatGPTで文章を書くツール」程度で止まっている空気を感じる。でも僕が働く現場では、それこそ部品一つの軽量化から、巨大プラントのシミュレーションまで、**“AIなしでは成立しないプロセス”**が当たり前になってきている。しかもそれは、派手な研究室の話じゃなくて、普通のエンジニアが毎朝コーヒーを飲みながら触ってる日常ツールになっている。
最初に衝撃を受けたのは、**Generative Design(生成デザイン)**という概念だった。CADモデリングを一から起こすんじゃなくて、「荷重条件」「強度」「素材」「コスト上限」みたいなパラメータだけ入れて、AIに“形状を提案させる”。しかもその提案がひとつじゃない。数十、数百と出してくる。どれも人間の発想ではあり得ない“枝状”だったり“蜂の巣構造”だったり、もはや生物みたいなフォルムなのに、計算上はこっちの方が安くて強い。正直、最初は気持ち悪さすらあった。
ただ、この時に気づいた。**「あ、もう“作る人”じゃなくて“選ぶ人”になる準備をしないといけないんだ」**って。
スキルの軸そのものが変わるフェーズに入ってる。
そして次に感じたのが、“シミュレーション時間”という概念の崩壊。以前は流体解析や熱解析を回すたびに、PCが唸りながら数時間、ひどい時は一晩放置していた。それが今は?
AI補正された解析ツールだと、数分〜数十分で結果が来る。しかも「この条件なら失敗しそう」「こっちの方が良さそう」といった“予測コメント”までついてくる。つまりAIは計算だけじゃなくて、“経験”すらシミュレートして返してくる。
海外の同僚がAIシミュレーションを回しているのを見て、何気なく「そんな便利なの使ってるの?」と聞いたら、真顔でこう返された。
“便利? No, it’s just… normal.”
(便利? いや、それ普通だから。)
この「普通だから」という感覚が、一番怖くて、一番ワクワクした。
僕らが「すごい未来の機能だ」と感じているものを、彼らは「昨日も今日も使ってるツール」だと思っている。ここには大きな差がある。
さらに驚かされたのが、設計データがただの一時的なファイルじゃなくて、“未来予測の材料”になっていること。例えば工場ラインの設備。従来なら「壊れた」「止まった」からメンテに入る。でも今は、AIがセンサーからのデータを学習し、「あと何時間で、このモーターは異音を出し始める」とか「今の動きは疲労の予兆」とか、“まだ起きていないトラブル”を先に教えてくれる。
この考え方をこっちのエンジニアは、**Predictive Maintenance(予知保全)**と呼んでいる。
これを初めて会議で聞いた時、僕は冗談かと思った。でもそれを導入している工場は、実際ダウンタイムを40%減らしていた。言い換えると、“修理”ではなく“故障の回避”が仕事の中心になる時代が来ている。
このブログで何を伝えたいかというと、
AIは“仕事を奪う脅威”じゃなく、“判断しないといけない仕事だけを残してくれる存在”だということ。
そしてその判断をするのは、現場を知っている僕らエンジニアである、という事実。
海外ではすでに、このAI時代を前提とした役割の再定義が始まっている。
日本から飛び出そうとしている若手エンジニアたちには、この波の“前提”を共有しておきたい。
「AI使える方が有利」ではない。「使えないと、議論にすら入れない」。
これが、僕が現場で痛感したリアルだ。
国内外のギャップと、AIツールが「当たり前」になる現場
「AIなんて、まだ研究室レベルの話でしょ?」
日本の友人にそう言われたとき、正直どう返していいかわからなかった。
なぜなら僕が今働いている海外の現場では、**“AIを使わない設計者の方が珍しい”**からだ。
でも誤解してほしくない。
海外のエンジニアが全員、最新技術にワクワクしているわけじゃない。むしろ逆だ。彼らの多くは、ただ 「時間がもったいないからAIを使ってるだけ」 だ。
ここに、意識のギャップがある。
🔍 日本の空気:AI=効率化のオプション
日本の設計現場ではよく聞くセリフがある。
「AI? まあ、導入できたら便利かもね。」
つまり、まだ“あったら便利”のカテゴリ。それは決して間違いじゃない。でもこの考え方の延長線上には、**「AIを使うかどうか」**という議論が永遠に続いてしまう。
🌍 海外の空気:AI=議論のスタート地点
一方、こちらの現場では議論の出発点がそもそも違う。
「どのAIを使う?」
「AIに投げる仕事と、自分で判断する仕事をどう分ける?」
つまり彼らにとってAIは、パートナーの一人であり、使う前提で話が進む。
これは技術力の差ではなく、スタンスの差だ。
⚙️ 現場で実際に使っているAIツール(リアルな例)
| カテゴリ | 実際に使われているツール | 何ができる? |
|---|---|---|
| Generative Design | Autodesk Fusion 360 / Generative Design | パラメータ入力で形状を自動生成 |
| AIシミュレーション | ANSYS Discovery / NVIDIA Omniverse | 解析時間を1/10以下に短縮、条件予測 |
| 予知保全(Predictive Maintenance) | Siemens MindSphere / IBM Maximo | 故障予測&メンテスケジュールの最適化 |
🧪 導入初期はカオスだった – でも全員が慣れていった
ここで一つ、大事なことを言いたい。
最初から使いこなしていた人なんて、一人もいなかった。
Generative Designを触り始めた頃、同僚たちはよくこうボヤいていた。
“Why does it look like alien bones…?”
(なんだよこの宇宙人の骨みたいなデザイン…)
でもその中の誰かが、ふとこう言った。
“We don’t have to like it. We just need to test it.”
(好きになる必要はない。ただ試せばいいだけだ。)
この一言で空気が変わった。
“理解してから使う”のではなく、“使ってから理解する”。
このマインドこそが、日本との最大の差だと僕は思う。
🧭 役割の変化:設計者 → 判断者へ
AI導入が進むと、明らかに変わることがある。
それは 「手を動かす時間が減り、選択する時間が増える」 という変化だ。
以前:
どう作るか?(手作業)
現在:
どれを採用するか? なぜそれを選ぶのか?
つまりエンジニアに求められるのは「制作スキル」ではなく、**「意思決定の理由」**だ。
ここに気づけた人から、キャリアが一気に加速していく。
💬 会議で実際に飛び交う会話(リアル)
“Let AI generate 50 options. We’ll review only 3.”
(AIに50パターン出させて、俺らは3つだけレビューしよう)
“If AI can simulate it, don’t simulate it manually.”
(AIが試せるなら、自分で解析を回さない)
初めて聞いたとき、僕はショックだった。
でも同時に、「ああ、これがAI時代の働き方か」とも思った。
🧨 一番の気づき:AIに使われるんじゃない、AIを使い倒す
AIが来たからエンジニアの時代が終わる?
いや、全然違う。終わるのは、手を動かすだけの“作業者”の時代。
むしろ、現場を理解しているエンジニアこそが、
AIを武器にして活躍できる。
そして正直に言う。
この波は、もう止まらない。
AIを拒んだ日、そして信じた日
正直に言うと、AIの導入は全員が歓迎して始まったわけじゃない。
「新時代だ!」「効率化だ!」――そんな綺麗なスローガンだけで現場が動くなら苦労はない。むしろ実際は逆だった。
手で作ってきた人ほど、AIを信用しなかった。
🧱 ベテランとの最初の衝突
ある日、Generative Designを使って出力した構造案をレビューに出した時のこと。
20年以上設計を続けてきたベテランが、それを一目見てこう言った。
“This isn’t engineering. It’s gambling.”
(これは設計じゃない。博打だ。)
彼は続けて言った。
「形の理由が説明できない構造を、お前は採用できるのか?」
その言葉には、重みがあった。
確かにGenerative Designは“最適解”を提示してくれるが、なぜその形なのかの“理由”を語らない。
⚠️ AIは万能ではない ― 初めての“裏切り”
その数週間後、実際にAIが生成した構造案が、物理試作で大きな歪みを出した。
見た目は完璧、解析上も問題なし――ただ、振動共鳴だけが見落とされていた。
会議は荒れた。
“See? AI can’t feel risk.”
(ほらな、AIは危険を感じられない)
僕もその時、頭の中で同じ言葉を繰り返した。
“AIは完璧じゃない。じゃあ、使う意味はあるのか?”
🌀 しかし、その日の夜に起きた“逆転”
プロジェクトは中断か?と思われたその時。
若手エンジニアの一人が、AIへの“再質問”を試した。
彼はAIシステムにこう入力した。
「振動リスクを考慮して再設計して」
驚いたことに、AIは新しい設計案を数分後に再生成した。
しかも、今度は人間が見ても“理解できる補強構造”が加わっていた。
その瞬間、ベテランが黙った。
そして、低くこう言った。
“…It learns?”
(……学ぶのか?)
その一言を境に、空気が変わった。
“理解できないから拒否”から、
**“理解できるまで問い続ければいい”**というスタンスに変わった瞬間だった。
🔍 AI vs 人間 ― 決定的な役割の違いに気づく
そこから徐々に、チーム内でAIに対する捉え方が変化していった。
誰かがこう言った。
“AI isn’t replacing us. It’s exposing our blind spots.”
(AIは俺たちを置き換えてるんじゃない。見落としを炙り出してるだけだ)
ここでチームが理解したのは――
AIは“正しい答え”をくれる存在ではなく、“問い直すべき点”を見せる存在だということ。
⚡ 信頼に変わった瞬間:あるエラー事件
ある日、AIが出した構造案の一つが、
チェック中の若手によって「わざと破壊モードで解析」された。
すると、AIの設計案は特定方向に脆かった。
普通ならそこで「使えない」で終わる。
だが、若手は破壊された画像をAIにフィードバックした。
結果:AIは10分後、新しい補強案を提示した。
人間なら、徹夜コース。
AIは、1回の対話で“改善へ進む”。
その時、あのベテランが初めてこう言った。
“We should use it.
But we should never trust it.”
(使うべきだ。ただし、信じすぎるべきじゃない)
🎯 この瞬間、AI時代の設計哲学が固まった
- AIは“候補を出す存在”
- 判断するのは、現場と経験を持つ人間
- 使いこなす鍵は、質問力と洞察力
そして僕たちエンジニアの役割は、
“手を動かす人”から、“問いを投げる人”へ 変わった。
🛠️ その後のチーム合言葉
“Don’t ask AI for answers.
Ask it for questions.”
(AIに答えを求めるな。問いを増やさせろ)
AIと共に歩むエンジニアへ ― 手を動かすだけの時代の、その先へ
AIが設計やシミュレーションに入り込んでから、僕たちエンジニアの仕事は静かに、でも確実に変わった。
“作る人”から、“選ぶ人”へ。
“最適解を探す人”から、“問いを立てる人”へ。
その変化は表面的には便利さや時短のように見えるかもしれないが、本質はもっと深い。
僕たちは今、**「人間の判断とは何か?」**を、日々試されている。
🧭 AIが奪うのは作業、残るのは判断
正直、AIが出してくる設計案や解析結果は、時に僕の想像より遥かに正確で速い。
でも、それでもAIができないことがある。
- なぜその選択が“安心できる”のか
- どの案がユーザーや現場に“好かれる”のか
- その設計が“倫理的に正しい”のか
ここに答えを出すのは、いつだって人間だ。
僕たちエンジニアが握り続ける最後の武器――それは**「理由を語る力」**だと、今なら言える。
🌏 海外で学んだ、AIと共存するエンジニアの姿勢
海外で働いていて一番感じたのは、彼らはAIに感情を持ち込まないということだ。
使うか?使わないか?
そんな議論はとっくに終わっている。
議論している時間すらもったいない。
代わりに飛ぶのは、こんな会話だ。
“What can I learn from its answer?”
(この結果から、自分は何を学べる?)“How can I challenge it?”
(どう問い直せば、もっと良い答えが出る?)
ここで気づいた。
彼らはAIを“脅威”ではなく“競争相手”として扱っている。
いつも冷静に、そして遊び心すら持って。
🔄 AIはツールじゃない、“再発見装置”だ
Generative Designで奇妙な形が出たあの日。
解析で失敗したあの日。
ベテランと衝突したあの日。
あの瞬間に見えてきたのは、AIの完璧さではなく、
**「自分たち人間がどれだけ固定観念に縛られていたか」**だった。
AIは答えを与えてくれない。
AIは、僕らが見落としていた問いを突きつけてくる。
💡 これから海外を目指すエンジニアへ ― 必要なのはスキルではなく態度
もしこれを読んでいるあなたが、
- 「英語が不安」
- 「AIについていけない気がする」
- 「海外なんて無理かも」
そう思っているなら、はっきり言う。
不安は、当たり前だ。僕もずっとそうだった。
でも、そんなことで置いていかれる時代じゃない。
必要なのは、完璧な技術でも英語でもなく、たった一つ。
“分からなくても、触ってみる勇気”
AIも、海外の現場も、入口はみんな“意味不明”から始まる。
でも、触った人から世界が広がる。
🛠️ 今からできる、たった3つの行動
| 行動 | 今日からできること |
|---|---|
| 1️⃣ 遊ぶように触る | ChatGPTやGitHub Copilotに、設計やコードを相談してみる |
| 2️⃣ 理由を語る訓練 | 「なぜそれを選んだのか?」必ず口に出してみる |
| 3️⃣ 英語は完璧不要 | “Correct?” “Why?” この2つだけで議論は回る |
🚀 キャリアは“深さ”よりも、“問いの幅”で決まる時代へ
AIが台頭してくると、よく言われる。
「現場はAIに取られるんじゃないか?」
違う。
取られるのは“指示待ちで動く仕事”だけだ。
現場の声を聞き、失敗を見て、改良の道を選べる人。
その人間だけが、AI時代の現場を引っ張る存在になる。
🏁 最後に ― AIと歩むエンジニアへのエール
この先、AIはもっと速く、もっと賢くなる。
でも忘れないでほしい。
AIが設計できるのは、形だけ。
人間が設計できるのは、意味だ。
そして――
その“意味”を語れるエンジニアに、世界は必ず席を用意している。
“Don’t compete against AI.
Compete alongside it.”
(AIと戦うな。AIと並走しろ。)

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