- はじまりの違和感。レビューコメントで、固まる指がほどけるまで
- 海外で働くなら、“英語力”より先に欲しいのは“英語の型”
- 「伝えたいのに、伝わらない」を、テンプレで救う
- 僕が“テンプレ”という武器を手に入れてから
- レビューは“言い回し力”。テンプレートで鍛える英語コメントの型
- テンプレは“使いまわし”じゃない、“使いこなし”が大事
- 伝わったはずが伝わってない? 英語レビューの落とし穴と向き合う力
- 🔄 失敗は“レビュー文化”への貢献にもなる
- コメントひとつで変わる信頼。非ネイティブこそレビューで輝ける理由
- 英語がうまいより、“伝えようとしてる姿勢”が評価される
- ✔ 英語レビューが生む“信頼残高”
- ✈ “非ネイティブのレビュー力”は海外キャリアの武器になる
- 🧩 英語レビューから広がった僕のキャリア実体験
- 🎯 最後に:あなたが書く英語コメントが、未来のあなたを作る
- 🔖 おまけ:これから英語レビューに挑戦する人への5つのミニアドバイス
はじまりの違和感。レビューコメントで、固まる指がほどけるまで
「LGTM(Looks Good To Me)って言っとけばOKっしょ?」
昔の僕は、そう思ってました。
コードレビューで「何か言わなきゃ」と思うけど、
言葉が出てこない。英語が出てこない。
頭の中では「あ、ここちょっと設計変えたほうがいいかも」って思ってるのに、
その想いが言語化されず、指が止まる。
結果、出てきたのはたったの3文字。
「LGTM」
(しかも本心じゃない)
僕は日本で10年以上、C#とWPFでアプリのUI設計・実装をやってきました。
技術的な自信はそれなりにあったし、国内の開発現場では積極的にレビューもしていた。
でも、海外でのリモート開発チームに入ってからは一転。
・SlackもGitHubもZoomも英語
・同僚はアメリカ、オーストラリア、ルーマニア、インド…
・レビューのトーンはライトだけど的確で鋭い
最初は「自分の英語が変じゃないか」
次に「この指摘で相手を怒らせないか」
最後は「もう黙ってLGTMって言っとこう」に落ち着く。
これ、あるあるじゃないですか?
海外で働くなら、“英語力”より先に欲しいのは“英語の型”
レビューコメントって、実は高度なコミュニケーションなんですよね。
- 相手のコードにリスペクトを持ちながら
- 気づいた改善点を建設的に伝える
- 時には反論したり、質問したり、迷いを共有したりする
それを非ネイティブが、非ネイティブに対しても伝わるように言語化するって、結構大変。
でも、ある時ふと思いました。
「型(テンプレ)があれば、怖くないんじゃないか?」
つまり、「内容は自分で考える。でも表現は借りる」。
英語が得意じゃないなら、まず“型”から入ればいい。
たとえば:
- ポジティブに始めたいとき:“Nice work on this implementation — I especially liked how you handled the edge cases.”
- 提案したいとき:“Would you consider extracting this logic into a separate method for better readability?”
- 反対ではないけど懸念があるとき:“Just wondering — do you think this change might affect performance under heavy load?”
こんな風に、ちょっとした“言い回し”をいくつかストックしておけば、
英語が堪能じゃなくてもレビューに参加できる。
レビューに参加できる=議論に入れる=チームに貢献できる
これ、海外で働く上ではものすごく大事なポイントです。
「伝えたいのに、伝わらない」を、テンプレで救う
このブログシリーズでは、僕が実際に国際チームで使ってきた英語レビューコメントをベースに、
- 実用的な50のコメントテンプレート
- 使う場面別(Good、Ask、Fixなど)
- ネイティブっぽく見えるちょっとしたトーンの工夫
- チームに受け入れられるコメントマナー
を、起承転結の4章構成で紹介していきます。
特に、以下のような方に役立つ内容になっているはずです:
- 「英語レビューに何をどう書いたらいいか分からない」
- 「文法ミスを気にしすぎて、コメントできない」
- 「レビューが怖くて、参加できない…」
- 「もっと英語での建設的なフィードバックをしたい」
僕が“テンプレ”という武器を手に入れてから
テンプレを少しずつ自分用にカスタマイズしながら使っていくと、
だんだんレビューが楽しくなってきました。
・英語で褒めると、思った以上に相手が喜んでくれる
・建設的に意見すると、むしろリスペクトされる
・誤解を恐れずに、言葉にする勇気が出てくる
英語でレビューするって、
単に“英語力”というより、「伝え方」のスキルなんですよね。
その第一歩として、“テンプレを覚える”のはとても有効でした。
レビューは“言い回し力”。テンプレートで鍛える英語コメントの型
日本語でも、「言い方」ひとつで伝わり方が大きく変わりますよね。
英語レビューコメントも、まさにそれ。
- 指摘なのに角が立たない言い方
- 提案だけど押し付けがましくない言い方
- 感謝や賞賛をさらっと伝える言い方
こういった“ちょっとした表現”が、チームとの信頼関係を築いていきます。
ここからは、僕が実際に海外プロジェクトで使ってきたテンプレートを、シーン別に紹介します。
🔵 1. 褒める(Positive Comments)
レビューの最初にポジティブな一言を入れると、空気が柔らかくなります。
ネイティブのエンジニアもよく使う「ちょっとした褒め言葉」、テンプレで覚えておきましょう。
| シチュエーション | テンプレート英語 | 日本語訳(意図) |
|---|---|---|
| 実装が綺麗 | Nice work! Your implementation is really clean and easy to follow. | いい仕事ですね!コードがとても読みやすいです。 |
| ロジックが洗練されている | I like how you simplified the logic here — it makes things much clearer. | このロジックの簡素化、いいですね。かなり分かりやすくなっています。 |
| 気づかいがある設計 | Good catch on that edge case — great attention to detail. | 細部までよく気づきましたね。すばらしいです。 |
| UIの工夫がある | This is a smart UI improvement. It definitely enhances the user experience. | UIの改善ナイスです。UXが上がっていますね。 |
📌 POINT:
「Nice」「Good」「I like how you〜」など、主観で伝える形を使うと、柔らかくなります。
🟠 2. 質問する・確認する(Question / Clarification)
直接的に「違うと思う」と言うよりも、“質問”という形で疑問を投げる方が対話が生まれやすいです。
| シチュエーション | テンプレート英語 | 日本語訳(意図) |
|---|---|---|
| 意図を聞く | Just curious — was there a reason you chose this approach? | 気になったんですが、このやり方を選んだ理由ってありますか? |
| 挙動の確認 | Does this handle cases where the input is null or empty? | nullや空文字のケースは想定していますか? |
| 名前づけ確認 | Would you consider renaming this variable for better clarity? | 変数名、もう少し分かりやすくできるかもしれませんね? |
| UI挙動の確認 | How does this behave when the window is resized? | ウィンドウサイズを変えたときの挙動はどうなりますか? |
📌 POINT:
“Just wondering”, “Would you consider”, “How does this behave when…”などの柔らかい疑問表現が効果的。
🔴 3. 指摘・改善提案(Suggest / Fix)
相手のコードに改善提案をする場合、直接的すぎるとキツく聞こえることも。
「提案」「提起」「代案」の順で、丁寧に構成しましょう。
| シチュエーション | テンプレート英語 | 日本語訳(意図) |
|---|---|---|
| 処理の分離提案 | Would you consider extracting this into a separate method for readability? | 可読性のために、メソッド分割を検討してみませんか? |
| パフォーマンス懸念 | I’m a bit concerned this might impact performance under heavy load. What do you think? | 高負荷時のパフォーマンスに少し懸念があるんですが、どう思いますか? |
| 再利用性の提案 | Maybe we could make this more generic for reuse elsewhere? | もう少し汎用化して、他でも使えるようにするのはどうでしょう? |
| コード規約違反 | Looks like this might not align with our coding conventions — could you double-check? | コーディング規約と少し違うかもしれないので、一度確認してもらえますか? |
📌 POINT:
「Could you」「Would you」「Maybe we could」などの協調的な提案表現が鍵。
🟡 4. 同意・共感・感謝(Agree / Support / Thanks)
「いいね!」や「ありがとう!」は、英語レビューでも文化的に歓迎されます。
| シチュエーション | テンプレート英語 | 日本語訳(意図) |
|---|---|---|
| 同意 | Totally agree with this change — it improves readability a lot. | 完全に同意です。かなり読みやすくなりましたね。 |
| 同じこと考えてた | I was thinking the same thing — thanks for updating it! | 僕も同じこと考えてました!修正ありがとうございます。 |
| 素早い対応に感謝 | Thanks for addressing that so quickly! | 迅速な対応、ありがとうございます! |
| コメント返しに感謝 | Appreciate your detailed explanation — that makes total sense. | 詳しい説明ありがとうございます。とても納得できました。 |
📌 POINT:
感謝・共感を伝えるだけで、チーム全体の雰囲気がガラッと変わることもあります。
テンプレは“使いまわし”じゃない、“使いこなし”が大事
テンプレートはあくまで出発点。
最初はそのまま使ってもいいですが、自分の語感に合うように徐々にカスタマイズしていくと、
英語でも自然にフィードバックができるようになります。
たとえば:
- “Nice work” → “Solid work!” や “Clean implementation” に置き換えてみる
- “Would you consider” → “What about trying” に変えてカジュアル寄りにしてみる
- “Just wondering” → “Quick question” でスッキリさせてみる
こうやって、「自分なりの英語コメントスタイル」ができてくると、
レビューの時間が苦痛から“会話の場”へと変わっていきます。
伝わったはずが伝わってない? 英語レビューの落とし穴と向き合う力
テンプレを使って英語でレビューできるようになると、「英語レビューが怖くなくなった」という安心感が生まれます。
でも、安心した頃にやってくるのが、**「思ったように伝わっていなかった」**という壁。
僕も実際に、**「あ、これはやらかしたな」**という経験を何度もしました。
ここではそのリアルな失敗談を共有しながら、テンプレを“使いこなす”ために必要な視点をまとめていきます。
💥【失敗1】“Would you consider〜?” で遠回しすぎて伝わらない
ある日、レビューでこう書いたことがあります。
“Would you consider renaming this method for clarity?”
「このメソッド名、もうちょっと分かりやすい名前にしたら?」という意図でした。
が、相手からの返事は:
“Thanks! I’ll keep that in mind.”
(え、修正するの?しないの?)
その後プルリクはそのままマージされ、モヤモヤが残る結果に…。
🧠【改善のヒント】“提案”には理由とメリットをセットで
単に「提案」するだけだと、ネイティブでも「ただの意見」として流されることがよくあります。
大事なのは、その理由とメリットもセットで伝えること。
◎ 改善例:
“Would you consider renaming this method to
GetUserProfileAsyncfor better clarity? It might make the async nature more obvious to future readers.”
これなら、「なぜそう思ったか」「何が良くなるのか」が明確で、判断材料としても十分。
💥【失敗2】“Just wondering…” で本気度が伝わらない
こんな質問をレビューで書いたことがあります。
“Just wondering — does this handle invalid inputs?”
すると返ってきたのは:
“Yes, it should.”
「それって“やってる”ってこと? “多分”ってこと?」
聞き方がふわっとしてたから、答えもふわっと返ってきたんですね。
結果、ちゃんと確認されないままリリース直前にバグが発覚。自分にも責任があると感じました。
🧠【改善のヒント】“曖昧な表現”は時に危険。レビューでは明確に。
レビューは曖昧にしておくと、後でチーム全体が困ります。
「ちょっと聞きにくいな」と思っても、聞くならハッキリと。
丁寧さと明確さは両立できます。
◎ 改善例:
“I couldn’t find validation logic here — could you confirm how invalid inputs are handled?”
**”I couldn’t find”(見つからなかった)+”could you confirm”(確認してもらえる?)**の形は、とても便利です。
💥【失敗3】“Looks good to me”で、実は誰もレビューしてない問題
チームのPRに対して、何も言うことがなかったので
“LGTM!”
とだけ書いたら、他のメンバーも全員LGTM。
後日バグが見つかり、「誰も気づかなかったのか?」という空気に…。
🧠【改善のヒント】“LGTM”には一言添えるだけで信頼感が変わる
「問題がなさそう」と思っていても、何も言わないよりは確認したポイントを書いておいたほうが、
チームとしての透明性や信頼が上がります。
◎ 改善例:
“LGTM — I’ve checked the new logic and confirmed it handles null values as expected.”
たった1行加えるだけで、「ちゃんと見た」感が伝わります。
💥【失敗4】「強く否定してないのに」冷たく聞こえる
英語レビューって、時々「なんか冷たいな」と感じることありませんか?
実は、自分のコメントが意図せず冷たく聞こえてしまっていた経験もあります。
たとえば:
“This needs to be refactored.”
本人としては「ここ、リファクタリングした方が良さそう」くらいのつもりでも、
読んだ側は「命令された」と感じてしまう可能性も。
🧠【改善のヒント】トーンを調整する“クッション表現”を使おう
命令形は避けて、**”I think” / “Would it be better” / “Maybe we could”**などの“曖昧だけど優しい”表現を使うと角が立ちません。
◎ 改善例:
“I think this could benefit from some refactoring for clarity — what do you think?”
これは提案+質問+相手へのリスペクトがセットになった強力な型です。
🔄 失敗は“レビュー文化”への貢献にもなる
僕が経験したこれらの失敗って、恥ずかしくもありましたが、
振り返ると全部、「英語の型」に頼りすぎた結果だったとも言えます。
- 伝わったつもりで終わる
- 質問したつもりで曖昧
- 認めたつもりが軽く見える
テンプレはあくまで“出発点”であり、そこに自分の意図を重ねることが必要だったんですね。
そして、何より大切なのは:
レビューを通じて、チームの会話を“育てる”という視点。
英語に自信がないときほど、「伝えるのが怖い」と思いがちですが、
誤解や遠慮で黙っている方が、長期的には信頼を落としてしまうこともあります。
コメントひとつで変わる信頼。非ネイティブこそレビューで輝ける理由
テンプレを使って英語レビューができるようになり、
失敗から学びながら言葉の選び方を身につけていくと、
ある日気づきます。
「あれ、レビューって英語力じゃなくて“信頼を築く場”だったんだな」って。
英語がうまいより、“伝えようとしてる姿勢”が評価される
僕が海外チームに入ったばかりの頃は、
「もっと文法合ってるか確かめてから送ろう」
「変な表現じゃないかググってからにしよう」
と、毎回レビューコメントに30分以上かけていました。
でもある日、オーストラリアのリードエンジニアにこう言われたんです。
“You’re doing great — I can tell you’re really trying to be thoughtful in your comments.”
この一言で救われました。
英語が完璧じゃなくても、「考えてくれてる」ことが伝われば評価されるんだと実感しました。
✔ 英語レビューが生む“信頼残高”
英語でレビューできるようになると、得られるのは単なる語学スキルじゃありません。
それは、チームの中で“信頼残高”を積み上げる力です。
✅ こんな“副次効果”があります:
- Slackでの相談が増える
→ 「この人はちゃんと考えてくれる人」と思われる - PRの最終チェック役を任される
→ 「任せられる信頼」が可視化される - 次のプロジェクトの立ち上げに呼ばれる
→ 「チームにとって価値のある人」として認識される
つまり、レビュー文化に参加する=影響力を持つということなんです。
✈ “非ネイティブのレビュー力”は海外キャリアの武器になる
実は、非ネイティブとしてのレビュー経験って、他の国のチームでも即戦力として歓迎されやすいです。
なぜなら、以下のようなスキルが自然と鍛えられるから。
| スキル | 説明 |
|---|---|
| 🌍 国際的コミュニケーション力 | 英語でも相手に配慮しつつ意見を言うバランス感覚 |
| 🧠 読解力 & 要約力 | コードを読み、ポイントを絞ってコメントを書く力 |
| 🗣 自分の考えを簡潔に言語化する力 | 長すぎず、でも言葉足らずでもない“中庸”な伝え方 |
| 🤝 信頼関係の構築スキル | 毎回の小さなフィードバックの積み重ねで生まれる信用 |
🧩 英語レビューから広がった僕のキャリア実体験
僕自身、C# × WPFの設計開発を続けながら、
海外案件で信頼を得る中で、次のようなキャリアチャンスが巡ってきました。
- 英語でのコードレビュー経験を活かして、コード品質ガイドライン策定メンバーに抜擢
- “丁寧なレビューをする人”として認識され、メンタリングや新人教育に指名
- 海外チームでのレビュー経験が評価されて、UIアーキテクトに昇格
すべてのきっかけは、「たった一行のコメント」だったんです。
🎯 最後に:あなたが書く英語コメントが、未来のあなたを作る
- 文法が正しくなくてもいい
- 完璧な単語じゃなくてもいい
- ネイティブっぽい言い回しじゃなくてもいい
大事なのは、黙らないこと。
そして、テンプレという“補助輪”を使ってでも、言葉にしていくこと。
コードレビューは、単なるチェック作業ではなく、グローバルな対話の場です。
そこに自分の言葉で入り込んでいくことこそ、
海外で働くエンジニアとしての大きな一歩になります。
🔖 おまけ:これから英語レビューに挑戦する人への5つのミニアドバイス
- テンプレは遠慮せず、どんどん使おう!
- 「どう見られるか」より「どう伝えるか」を意識しよう
- 読んだPRには、一言だけでもコメントを残そう(“見たよ”の意味でも)
- 自分がもらった“いいコメント”はストックして再利用しよう
- 時々、コメントに「Thanks」「Nice!」を添えるだけでチームが優しくなる

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